船旅は実に優雅だった。誰にも追われることなくゆっくりできる。移動は、風魔法の力を込めた魔石を埋め込み「歯車」とそこに繋がっている「ぷろぺら」に風を送り込むだけである。「また便利なものを作りましたね。どこでこの知識を?」「母さんに小さい頃教えてもらった!」エルはテネレッツァと話しながら、彼女の話し方が少し年相応に戻っている気がした。「あと何日かな?」「もう一日ほどでしょうか。あっちでは私たちのことも指名手配されていないので、外していいですよ。」エルは仮面を外し、私に返してきた。「え、いいよ、持ってて。お守りみたいなものだから。」荷物にもならないので貰っておくことにした。さらに一日、だんだん大地が見えてきた。「スピードを落としてどこかに止めましょうか。」ゆっくりと浜辺に近づいてく。その時、エルはなにか違和感を覚えた。(ん?なにかに当たったような…)岸に着くと近くにあった木に紐を括り付けて、流れないようにした。「さて、まずは獣人族の方を探さないとね。エル、どこにいるか知らない?」「さあ、私も始めて来ましたので。まあ観光のつもりでゆっくり探しましょう。」そんな緩い感じで、ベラリアの旅が始まった。「母上!」
Last Updated : 2026-08-24 Read more