蝉の声が窓の向こうから聞こえてくる、夏の午後。 幼なじみの陽向葵と、僕はいつも通り平和な気分で彼女の部屋ですごす――はずだったんだけど。「あのさ、ちょっと訊きたいんだけど。憂くんって好きな女の子とかいたりしないの?」 あまりにも唐突であり、動揺せざるを得ない質問だった。とはいえ、顔には出さない。僕は平静を装ってこう答えた。「え!? な、ななな、なんでいきなり!? いるわけないじゃん!」 放課後の夕日がカーテンを透かして部屋を淡く染める中、突然投げかけられた質問に僕はしどろもどろ。 平然って、何さ。「うーん、なんでって。憂くんってさ、正直、すっごく性格が暗いじゃない?」「うっ……」 グサっと一本僕の心に針が刺さった。が、葵は続けた。「あと、つまらない人生を送ってるじゃない?」「ううっ……」 はい二本目。「だからね。憂くんには恋人とかがいた方がいいと思うの」 二本の針が心に突き刺さったことで僕はギブアップ寸前。ぶっちゃけ瀕死状態。が、そこは無理してなんとか持ち堪えた。「く、暗いって……。しかも、つまらない人生とか……頼むからそういうこと言わないでくれよ……」「でも、全部事実じゃん?」 葵の言葉が再度心に突き刺さった。コイツ素直だからオブラートに包んだりしないで、常にどストレートにぶつけてくるから豆腐メンタルな僕にとってはかなりキツい。 傷付いた! 幼馴染に『暗い』と言われて傷付いた! まあ、全部事実なんだけど。 で、僕が焦った理由。 葵に恋をしてしまっているから。 そりゃさあ、僕だって恋人が欲しいよ。もう高校生になったわけだし。もし彼女がいてくれたらきっと楽しい毎日になるんだろうなあ、とかいつも考えてるよ。 でも、その好きになった相手が、今、僕の目の前にいる『陽向葵』という幼馴染の同級生だから悩んでるんだよ。とはいえ、『僕の好きな人は葵なんだ!』なんて言えるはずもなく。どうせ告白しても断られちゃうだろうし。「い、いいい、いない! いないから! 好きな人なんて! それと! 暗いとかもう言わないで! 僕が言われて傷付くワード第一位だってこと知ってるでしょ!」「うん、もちろん知ってるよ? 憂くんのことなら私に知らないことなんてないもん。なーんにも」 そう、笑顔で言う葵だった。お前は某小説に出
Last Updated : 2026-06-29 Read more