幼馴染の陽向葵はポジティブがすぎる 〜ネガティブ男子がポジティブな美少女幼馴染を振り向かせるまでのラブコメ〜

幼馴染の陽向葵はポジティブがすぎる 〜ネガティブ男子がポジティブな美少女幼馴染を振り向かせるまでのラブコメ〜

last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-06
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高校一年生の陰地憂(かげちゆう)は幼馴染の陽向葵に恋心を抱いていた。 だけど、陰地憂は『超』が付く程のネガティブ思考。常にジメジメしていて、その上、性格も暗い。だからいつも独りボッチ。 逆に、彼が恋心を抱いた幼馴染の陽向葵は『超』が付くほどのポジティブ思考。 悪いことが起こっても、何でもプラスに捉えてしまう、そんな可愛い女の子。 だから、陰地憂は陽向葵とは釣り合わないと諦めていた。自分の恋心をひた隠しにして。 けれど、陽向葵に好きな人ができたと知ってから、彼は彼女を振り向かせることを決意。 だが、陽向葵が好意を抱いていた相手とは――。 これは、自分の気持に素直になれない、そんな二人の幼馴初恋物語。

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บทที่ 1

第1話 幼馴染の陽向葵と僕

 蝉の声が窓の向こうから聞こえてくる、夏の午後。

 幼なじみの陽向葵ひなたあおいと、僕はいつも通り平和な気分で彼女の部屋ですごす――はずだったんだけど。

「あのさ、ちょっと訊きたいんだけど。ゆうくんって好きな女の子とかいたりしないの?」

 あまりにも唐突であり、動揺せざるを得ない質問だった。とはいえ、顔には出さない。僕は平静を装ってこう答えた。

「え!? な、ななな、なんでいきなり!? いるわけないじゃん!」

 放課後の夕日がカーテンを透かして部屋を淡く染める中、突然投げかけられた質問に僕はしどろもどろ。

 平然って、何さ。

「うーん、なんでって。憂くんってさ、正直、すっごく性格が暗いじゃない?」

「うっ……」

 グサっと一本僕の心に針が刺さった。が、葵は続けた。

「あと、つまらない人生を送ってるじゃない?」

「ううっ……」

 はい二本目。

「だからね。憂くんには恋人とかがいた方がいいと思うの」

 二本の針が心に突き刺さったことで僕はギブアップ寸前。ぶっちゃけ瀕死状態。が、そこは無理してなんとか持ち堪えた。

「く、暗いって……。しかも、つまらない人生とか……頼むからそういうこと言わないでくれよ……」

「でも、全部事実じゃん?」

 葵の言葉が再度心に突き刺さった。コイツ素直だからオブラートに包んだりしないで、常にどストレートにぶつけてくるから豆腐メンタルな僕にとってはかなりキツい。

 傷付いた! 幼馴染に『暗い』と言われて傷付いた!

 まあ、全部事実なんだけど。

 で、僕が焦った理由。

 葵に恋をしてしまっているから。

 そりゃさあ、僕だって恋人が欲しいよ。もう高校生になったわけだし。もし彼女がいてくれたらきっと楽しい毎日になるんだろうなあ、とかいつも考えてるよ。

 でも、その好きになった相手が、今、僕の目の前にいる『陽向葵』という幼馴染の同級生だから悩んでるんだよ。とはいえ、『僕の好きな人は葵なんだ!』なんて言えるはずもなく。どうせ告白しても断られちゃうだろうし。

「い、いいい、いない! いないから! 好きな人なんて! それと! 暗いとかもう言わないで! 僕が言われて傷付くワード第一位だってこと知ってるでしょ!」

「うん、もちろん知ってるよ? 憂くんのことなら私に知らないことなんてないもん。なーんにも」

 そう、笑顔で言う葵だった。お前は某小説に出てくる『なんでも知ってるお姉さん』かよと言いたい。葵に対する僕の気持ちも知らないくせに。

「そうですか。僕のことはなんでも知ってますかそうですか」

「うん、知ってる! 友達が一人もいないことも知ってる!」

「と、友達……。いや、それってきっと都市伝説だって。というかさ。これ以上僕のことを傷付けないで!」

「あははっ! ごめんね憂くん。でもさ、『友達』が都市伝説だったら世の中すごいことになってると思うの。あちこちが伝説だらけになっちゃうっていうか」

 ごもっともな意見です。そもそも、友達があちこちにいる時点で、それ、もはや伝説でもなんでもないし。むしろ、僕の存在自体が都市伝説かもだし。

「はあ……もう、こんな人生嫌だ」

「あははっ! 本当にそうだよねえー」

「いや、そこはフォローしてよ……」

 いつからだったかな。僕が葵のことを好きになったのって。幼稚園の頃からずっと一緒だったから、よく分かっていないや。『いつの間にか』と言えばいいのかな。

 例えるなら、砂時計。少しずつ、少しずつ、砂がさらさらと落ちていくように、僕も恋に落ちていった。

 叶わぬ恋に。つまりは片想いに。

 それに、葵は幼馴染だからというわけではなく、贔屓目に見てというわけでもなく、とても可愛い。すっごく可愛い。

 艶やかな黒髪ロングが似合う、とても魅力に溢れた整った顔立ち。可愛い系かな? まだ少し幼さが残ってるからかもしれないけど。それに、いつも笑顔を絶やさない。まるで、周りの皆んなを明るくする太陽のような女の子。それが陽向葵だ。

 でも、僕は別にその容姿に惹かれて好きになったわけじゃないんだ。単に、『陽向葵』という一人の人間を好きになったんだ。

 葵の、全てを。

「はあ……」

 もう溜め息しか出ない。『好きな人いないの?』とか、普通にさらりと訊けるってことは、完全に脈なしということだろうし。もし、僕に好意を抱いていたら、その気持ちに気付かれないように、そんな質問はしてこないはずだから。

「ダメだよ憂くん。溜め息ばっかりついてたら幸せが逃げちゃうよ?」

「幸せ? そんなのとっくに荷物をまとめてどこかに行っちゃったよ」

「あははっ! 確かに! うんうん、なんか分かるなあ」

「分からないでよ……。親しき仲にも礼儀ありって言うじゃん。もう、お願いだからそういうこと言わないで! 泣くよ! 本当に泣いちゃうよ!?」

「あはっ! 大丈夫! 泣いたら泣いたでちゃんと慰めてあげるから。それに、憂くんの幸せは、ちゃんと私の所にお引っ越ししてきてくれたから。だから安心して」

「何が『だから』なのかサッパリ分からないんですけど」

「で、どうなの? 本当は好きな人いたりするんじゃないの?」

 と、葵はニマニマしながら再度質問。なんで今日に限ってここまで追求してくるんだろう?

 とにかく。今はまず、この話題を変えないと。これ以上突っ込んで訊かれたりしたらマズい。僕の葵に対する気持ちがバレてフラれちゃったりしたら、絶対に再起不能になる自信がある。

「そ、それよりもさ、葵。今日返却されたテストの結果はどうだったの?」

「えへへー。結構良かったよー」

 そう言って、葵は通学用カバンの中から折り畳まれた一枚の用紙を取り出して、僕に向けて広げてきた。それを見て、我が目を疑った。

「じゅ、十八点!? 赤点どころの問題じゃないじゃん!」

 逆に知りたい。どうやったらこんな点数を取れるのか。

 が、しかし。葵は「ふっふっふ」と、余裕綽々といった感じで不敵な笑みを浮かべるのであった。なんで? なんで笑っていられるの?

「これを見たまえ憂くん」

 胸を張りながら、葵はテスト用紙をくるりと逆さまにした。どういうこと?

「ほら! こうして逆にすると、なんと! 八十一点になるのですよ!」

「あー、なるほど。『18』というアラビア数字を逆さまにすると、確かに『81』になる。うん、この点数なら優秀だね。って、違う! 違うから! 逆さまにして八十一点にしても意味ないから! 赤点である事実は全く変わらないから! 十八点のままだから!」

 ここまでのやり取りで、なんとなくお気付きだと思う。

 そう。陽向葵は『超』が付く程のポジティブ人間なんだ。

 逆に僕――陰地憂かげちゆうは『超』が付く程のネガティブ人間。つまり、僕と葵は真逆な性格ということ。磁石でいうと、N極とS極って感じ。

 が、葵はいきなりの土下座。そして僕にお願いしてきたのである。

「ど、どど、どうしたのいきなり!?」

「お願いです憂くん様! 私に勉強を教えてください! このままだと大学に行けないどころか留年してしまいます!」

 あ、一応それは理解してるんだ。

「ま、まあ、それは構わないけど……」

「ありがとう憂くん! いやー、持つべきものは幼馴染だね。あと、私の日頃の行いがいいからかなー。それじゃ、これから毎日よろしくお願いします!」

「分かった分かった。これから毎日――え? ま、毎日?」

「うん! 休みの日とかは泊まっていっても構わないからね!」

「と、とま……」

 そのまま、しばし呆然とした僕だった。

「どうしたの憂くん? ボーっとして。私の顔、ちゃんと見えてる? 性格が暗すぎてダークサイドの世界にでも行っちゃった?」

 僕の目の前で手のひらをフリフリとさせ、そんなことを言いながら僕の意識を確認してきた。まだダークサイドには落ちてないってば。『まだ』って言ってる自分が悲しすぎるけど。

 て、今はそんなことはどうでもいい。

「い、いやさ。さすがに泊まったりするのはちょっと……」

「ちょっと? ちょっと何?」

「だ、だからさ。高校生の男女二人が一緒に寝るとか……ちょっとマズいんじゃないかなあって。ほ、ほら。幼馴染とはいっても、そこはちゃんと線引きしておかないとさ」

「そんなの大丈夫だよ、別々の布団で寝ればいい。それとも憂くん、私と同じ布団で一緒に寝る? そしたら昔みたいにいい子いい子して撫でてあげるから」

「む、昔って……そ、それって小学生の頃の話でしょ? あと、いい子いい子して頭を撫でてあげてたのは僕だからね? 勝手に思い出を書き換えないでよ」

「うふふっ、そうだったねえ。なんだか懐かしいなあ。と、いうわけで。これから毎日勉強を教えてね。で、一緒の布団で寝ようね。冗談だけど。あははっ!」

 じょ、冗談って……。僕、完全に遊ばれてる。

 でも、なんでだろう。

 冗談だって聞いた途端、残念に思った。そして、それをすごく寂しく感じてる僕がいる。きっとそれは、僕が葵のことが大好きで仕方がないからなんだろう。

 葵に本物の恋をしてるんだから。

【続く】

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第1話 幼馴染の陽向葵と僕
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第2話 二人きりのお勉強会【1】
「ゆ、憂鬱すぎる……」 朝の青空がやけに恨めしい。 理由は分かっている。今日から葵の家で勉強を教えることになっているから。それを考えるたびに、心の体温が三度ずつ下がっていく。「脈がないって、知っちゃったからなあ」 恋をした相手に脈がないと分かっているのに、二人きりでいなければならないなんて地獄以外の何物でもないよ。「はあ……こうなったら転校しよ。もうそれしかないでしょ。いや、無理なのは重々承知してるけど」 季節としては夏の入り口にいるというのに、僕の梅雨は明ける気配もない。早く僕の心の『梅雨明け宣言』を聞きたい。でも、一生ないんだろうなあ、そんなこと。性格なんてそんなに変わるものじゃないし。暗い。ジメジメしてる。打たれ弱い。友達がいない。それが僕、陰地憂という一人の高校生男子である。 うん。青春の色が全くないね……。自分で言っておいて泣きそうになってきちゃったよ。 そんなことを考えながら、僕は教室前に到着。がらがらと後ろ扉を開いた。「あ! 悠くん! おっはよー!!」「お、おはよう……」(辛い……) 僕とは真逆に、朝からハイテンションの葵が声をかけてきた。やめてくれ! これ以上、僕に精神的ダメージを受けさせないでくれ! 本当に泣く! 泣きながら転校する! それで、転校先でも泣く!「ん? どうしたの憂くん? 朝から元気ないみたいだけど。あ、でもそれが憂くんにとっては通常運転か。あははっ!」 純粋で屈託のない陽気な笑顔だから余計に傷付く。ただでさえ、葵は太陽みたいな存在なんだから。 ――なんだろう?「あれ? どうしたの憂くん?」「あ、いや、ちょっとね」 やけに周りから視線を感じるんだけど……。僕は生まれてからのこの十六年間、注目されたことなんて皆無と言っていいから、過剰な程に感じるんだ。 で、その視線を向けてきていた相手が分かった。しかも一人じゃない。複数人からの視線だった。 嫌な予感が……。「ねえねえ葵ちゃーん! 良かったねえ。今日も白馬に乗った王子様が来てくれたみたいだよ?」「……は?」 いつも葵と一緒にいるグループの一人――確か名前は竹田さん――が、そんなことを言っている。ニヤニヤしながら。僕が王子様? はて?「あ、憂くん。気にしないでね。皆が勝手に言ってるだけだから。それに、憂くんが王子様なわけがないし
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第3話 二人きりのお勉強会【2】
「あははははっ! この漫画すっごく面白い! あーもうお腹痛いよー!」 その日の放課後。勉強を教えるという名目で呼ばれたはずなのに、部屋に入るや否や、葵はすぐに床に寝っ転がりながら漫画を読み耽って完全に伸び伸びモードに突入。今はモードがちょっと変わって笑い転げモードに入ってるけど。 葵、なんて自由な子。「……ね、ねえ葵? 本当はお前、勉強する気全くないんじゃないの?」「そんなことあるわけないじゃん。私、今もちゃんと勉強してるもん」「勉強? どこが? 漫画読んでるだけにしか見えないんですけど」 葵は人差し指を左右に動かして「チッチッチッ」とジェスチャーを見せた。何? そのリアクションは? ちょっとだけイラッとしたんですけど。「分かってないなあ憂くん。私はね、今、人生のお勉強中なの」「人生のお勉強中?」「そう、その通り! あのね、漫画ってね、意外と馬鹿にできないんだよ?」「はあ」「人生についてだとか、社会に出る前に人として覚えておかないといけないことだとか、色んなものが詰まってて、たくさんの大切なことを読む人に教えてくれるの。ある意味、道徳ってやつなのかな? だから憂くんも一緒にお勉強しようよ? ていうかさ、これ本当に面白いんだけど! あははっ!」 いや、葵さあ。お前が今読んでるのはお下品なギャグ漫画だから、そんな道徳やらなんやらは読んでても絶対に何も学べないと思うよ? 仮に学べるとしたら、ギャグセンス? あと下ネタ? 下ネタを言いまくる幼馴染の女の子とか、すっごく嫌すぎるんですけど。 このままじゃ駄目だな。うん。ちょっと厳しい現実を突き付けるとしよう。「あのさ、葵? 今のままだと人生云々の前に、確実に留年することになると思うんだ」「……え? リュウネン?」 あまりにもいきなりすぎたからなのか、はたまた現実感が湧かないからなのかは分からないけど、何故に片言に。「そう、留年。もちろん、大学に行くこともできないと思う。だから、その『学んだこと』を発揮する機会もないと思うんだけど」「だ、大学に行けない……? こんなに人生のお勉強をしてるのに?」「うん、そう。あ、いや、そうでもないのかな? 高校中退になったらすぐに社会に出ることになるわけだもんね。うんうん、なるほど。そのための漫画でお勉強ってことでしたか。さすがは葵様。それじゃあ、人生のお
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-01
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第4話 二人きりのお勉強会【3】
 葵が作ってくれたのは、いつも通りのチャーハンだった。何年経っても変わらない。味だとかそういうことではなく、レパートリーが。そう。葵は料理が苦手なのだ。 この前なんて『いやー、久し振りに頑張っちゃったよー』と言って僕に夕飯を用意してくれたんだけど、出てきたのはカップ麺だったというね。 一体、葵は何を頑張ったのか気になるので訊いてみたら、『後入れのスープ! 最高のタイミングで入れることに成功したのだよ憂くんさん! さっすが私!』とか言ってたし。 いい加減、色んな料理を作れるようになって女子力上げた方がいいよと言いたい。いや、女子力の問題じゃない気もするけど。 でも、何故か飽きないんだ。葵が作ったチャーハンは。とても美味しいし、ホッとする味がするんだ。 なんなんだろう。 もしかしたら、葵は料理の時に魔法でもかけているのかもしれないな。 そして、僕もその魔法にかかってしまったのかもしれない。 葵の『魅力』という名の魔法に。 と、思ったのは数時間前のことである。 僕は今、どんな感じでどんな状況なのかというと、これです。(ね、眠れない……) 全く眠れずに布団の中にいる僕である。 一体何があったのかというと、こんなやり取りがあったのだ。 *   *   *「さて、葵。勉強の続きでもしようか?」「え? 勉強? 何言ってるの? もう寝る時間だよ?」「……ね、寝る時間?」 ふと、掛け時計を確認。まだ二十一時を回ったばかりだった。「は、早すぎないかな? そもそも勉強は? 全く進んでないと思うんだけど」 僕の質問を聞いて、葵は正座。そして太ももをパンッと叩いてみせた。 なんか、小さ
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第5話 ボッチはボッチなりに【1】
(結局、一睡もできなかった……) あれから、僕は全く寝付くことができなかった。それで今、掛け時計を見ると、午前5時を回ろうとしていた。朝の光がカーテンの隙間から入り込んできて、今日はやけに眩しく感じる。そして、暑気も。夏が近付いてきているのを肌で感じられた。 けれど、僕の気分は相変わらずの梅雨のまま。心の中がジメジメとし、全く明ける気配を見せてくれない。 そして、思い出す。昨夜の出来事を。その度に、胸の中がざわついて感情の渦の中に呑み込まれていく。『憂くんの、バカ』 葵のあの一言が、脳裏に焼き付いて離れない。何度も何度も頭の中で繰り返される。怒っていたのだろうか。照れていたのだろうか。悲しかったのだろうか。その真意は、今の僕には分からない。 でも、人間が発する言葉には、必ずその人の感情という名のフィルターがかかって、何かしらの意味や意図が含まれているもの。浅いか深いかは別として。(駄目だ、全く分からない) 様々な感情が頭と心の中でぐちゃぐちゃになり、上手く思考ができなくなってしまっているのだろう。半分混乱気味と言ってもいい。 自分自身の気持ちですら理解できないだなんて。情けない……。(でも、葵のやつ、本当に一体何を考えてるんだろう?) あの時の囁きが、僕の中でどんどん大きくなっていく。生き地獄だとは言ったけど、まさか悪魔まで出てくるなんてね。 葵の言葉。 あれはまさに、小悪魔の囁きだ。 チラリと葵の方を見やる。すーすーと、気持ち良さそうに寝息を立てていた。 僕は葵の寝顔を見るために、起こしてしまわないよう気を付けながら静かに近付いた。葵の寝顔は少し笑っているように見えた。楽しい夢でも見てるのかな。(やっぱり可愛いな。見なきゃよかった) 寝込みを襲うなんてことはもちろんしない。でも、一ヶ月間だよ? これがずっと続くのかもしれないんだ。果たして僕は、どこまで我慢できるのだろうか。(この笑顔を独り占めできる男子ができるかもしれないんだ。羨ましいよ) 僕はすくっと立ち上がり、静かに着替えを済ませる。そして、葵に気付かれないように、一度自宅へと戻ることにした。 自分の心を、葵の枕元に置きっぱなしにしたまま。 *   *   *「うう……どうしたらいいんだよおーー!!」 家に着き、自室に入るや否や、僕はベッドの上で号泣。こんなにも泣
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第6話 ボッチはボッチなりに【2】
 そんなわけで。 僕は早速、チクタくんにメッセージを返信。内容はこんな感じで。『めっちゃ落ち込んでる。ずっと好きだった女の子がいたんだけど、片想いでした……。僕以外に好きな人ができたみたい。だからさっきまで号泣してた』 うーん……我ながら思うけど、ちょっと情けないこと送っちゃってるな。でも、仕方がない。そんな僕を僕自身が認めてあげないと。『それだけじゃわからん。もっと詳しく』『いやね、昨日というか今日というか。その女の子の家に泊まったんだ。そしたらその夜に、なんというか……。『馬鹿』って言われたし』『……ど、どういうこと?』 それから。僕は昨夜の出来事をなるべく詳細にチクタくんに伝えた。かなりの長文になっちゃったけど仕方がない。一言や二言で説明できる内容ではないから。 と、そのメッセージを送ったところで、チクタくんからの返信がなかなか送られてこなかった。 な、なんか変なこと書いちゃったのかな。一応、既読にはなってるみたいだけど。もしかして僕、嫌われちゃった? 呆れられちゃった? もしそうだったら、僕の居場所がなくなっちゃう。僕にとっての心のオアシスなのに。 でも、返ってきた。めちゃくちゃ長文で。あー、だから返信が遅かったのね。さすがは僕。全てをネガティブに捉えてしまう。この性格、変えたいなあ、 でも、チクタくんからもらった返信メッセージの中にあった一文。それが、僕の心を動かした。勇気をくれた。 言うなれば、転機。「――豆腐くんは逃げてるだけだ。その女の子の気持ちからも、自分の恋心からも。玉砕覚悟でいい。それでいいからぶち当たれよ。振り向かせようと意地を見せろよ。『物語』を進めようとしろよ。それができないなら――』 豆腐くんは、男として最低な人間だ――と。 チクタくんは言ってくれた。「その通り、だな」 そうだ。僕は逃げていたんだ。今回の葵の件だけじゃない。人生の全てからだ。何もしないで、何も努力もしないで、ただただ僕は自分の心の隙間に隠れていたんだ。そんなもの、他力本願以外の何物でもない。 だったらどうするか。 こんな僕だけど、さすがに分かる。これからどのように動けばいいのかどうか。 僕に与えられた選択肢はひとつだけだ。「――葵に会いにいこう」 *   *   *「何しに来たの」 葵が眉間に皺を寄せた顔を見た途端、僕
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-03
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第7話 二人だけの秘密
(き、気まずい……) あれから、僕と葵は勉強をすることにした。自分の気持ちを誤魔化すように。隠すように。 そして、自分の気持ちに嘘を付くように。「――ねえ、憂くん。さっき言ってたのってほんと?」「な、何が?」「だ、だから。私のこと、可愛いって言ってくれたこと」「そ、そうだって言ったじゃん。とにかく今は勉強に集中しようよ」「――できるわけないでしょ」 僕達はまた、心に壁を作り、そこに隠れるようにして黙り込んだ。 僕も葵と同じだ。集中なんてできるわけがない。ずっと、ずっと言いたかった心の中の自分の気持ちを言葉にしてしまったから。 でも、それでいい。後悔はしていない。覚悟を決めたんだ。それをまた捨ててしまったら男として失格だ。 部屋の中に、二人がシャープペンで文字を走らせる乾いた音だけが広がった。小さな音のはずなのに、それがやけに大きく聞こえた。「憂くんって、私のこと、す――ううん。私のこと、嫌いじゃない?」「だ、だから、さっきそれは言ったじゃん」「そうなんだけど――」 僕も葵も、『好き』という言葉を口に出さないようにしている。逃げるかのように。でも、何かを確かめるかのように。静かさの中、僕達は言葉を交わし合った。 窓から夕日が差し込んできて、部屋の中を黄金色に染めていく。掛け時計を見て時間を確認。もうとっくに十八時を回っていた。 いつの間に、そんなに時間が経ってたんだろう。僕には、足を忍ばせるようにして、ゆっくりと、ゆっくりと、時間が流れていくのを感じてたのに。「――私ね。本当は、憂くんに嫌われてると思ってたの」「え? な、なんでそう思ったの?」「だってさ。ずっと憂くんのことをからかってばっかりだったから。でも、そうするしかなかったんだ。私って、不器用だから。ほんと、自分のことが嫌になっちゃうよ」『そうするしかなかった』、か。僕も葵も似た者同士だな。臆病なんだ、二人とも。 だけど、何を言ってるんだよ葵。僕はそのおかげで救われていたんだ。太陽の日を浴びているような気がして、心を温めてもらってたんだ。 嫌いになるわけがないじゃないか。「痛っ」「バーカ」 僕は葵に近付いて、中指で彼女のおでこをピンとはねた。とても軽く、優しく、僕の気持ちを届けるようにして。「今までのお返し」「ひっどーい。いきなりだなんて卑怯だよ」「い
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-04
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第8話 変わっていく葵と僕と
「おっはよー憂くん! 今日も朝から陰気な顔してるねー。あははっ!」 教室に入るや否や、幼馴染の陽向葵が元気ハツラツな朝の挨拶を口にした。朝からテンションが高いなあ。「おはよう葵。でもさ、陰気な顔とかほっといてよ! せっかくの清々しい朝が台無しじゃん!」「あはっ! ごめんごめん。私って正直だからさー」「正直って……これ、余計に傷付くんですけど」「いいじゃん別にー」 言って、葵は笑顔のまま僕の肩をバシバシと叩いた。コイツ、結構力あるな。ちょっと痛いんですけど。「あー! 葵ちゃんボディタッチしてるー! あの二人、やっぱり絶対怪しいよ」 恋愛話が好物の竹田さんが、僕達の様子を見てそんなことを口にした。いや、ボディータッチってもっとソフトな感じだと思うんですけど。けど、葵の場合、ほとんど掌底だし。僕の肩を破壊する気かい葵さんよ。「だ、だから竹ちゃん。それは二人だけの秘密なんだって。ね、ねえ、憂くん?」「そ、そうだね」 僕と葵は何かを確認するように、お互いの顔を見やった。どちらも赤面状態。顔が熱っているのが自分でも分かった。 学校ではいつもと変わらないように葵と接しようと思ってたのにな。なのに竹田さんが変なことを言うから嫌でも意識しちゃうじゃん。 でも、こんな小さなことだけでこれだ。葵に対する気持ちがどんどんと大きく膨らんでるからだろう。「ま、まあ竹田さん。これ以上は葵に突っ込まないであげて」「えー、つまんないよー」 あの夜を境に、僕と葵にちょっとした変化があった。 別に付き合い始めたりしたわけじゃない。言葉にはしないけど、でもお互い、自分自身の心のカタチが少しずつだけど変わっていくのを感じていた。はず。少なくとも僕はそう。 でも、事実、僕が葵の家に泊まるのは土日限定になったし。理由は二人とも気付いてる。仮に、毎日のように泊まることになったら、僕と葵の関係性が変わる。絶対に。下手をしたら僕達は一線を超えてしまうかもしれない。そうしたらどうなってしまうのか、今の僕には分からない。 だからこそ、怖いんだ。 幼馴染として、今まで築き上げた大切なものが全て壊れてしまうのではないかと。 まるで、積み上げたジェンガが崩れるように。 結局、臆病者だ。僕も、葵も。「で、あ、葵。朝から元気そうで何よりだけど、ちゃんと自分でも勉強してる? そろそろ期
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-05
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第9話 心の足跡【1】
「あーもう! したくないー! 勉強したくないんだけどー!」 葵の家に帰ってくるや否や、僕達は勉強を始めた。わけなんだけど……葵は三十分程でギブアップ。そして床に寝転びながらばたばたと足を動かして駄々をこね始めた。いや、だからいつも早いってば。「葵さあ。もうちょっと頑張ろうよ。赤点さえ回避できればいいんだから、そこまで難しいことじゃないでしょ」「そんなわけないじゃん! 高校生になってから赤点しか取ったことがない葵様だよ? 舐めちゃいけませんなあ憂くん。ふっふっふ」「胸を張って威張ることじゃないでしょ……」 受験の時はあんなに必死に勉強を頑張ってたのに。海に行くというご褒美に、そこまで魅力を感じてないのかな?「ねえ葵? 高校受験の時はあんなに頑張ってたじゃん? 何でだったの?」 何気なく。そして、深い意味もなく。ただただ興味本位で訊いただけだった。 だけど葵は、僕の質問を聞いて頬を紅色に染めた。「え、えーっと……あ、あのね。あの時は、今の高校にどうしても入りたかったから頑張れたの。ゆ、憂くんと同じ学校に行きたくて」「――え?」 その言葉を聞いて、僕も一気に赤面した。 鼓動が、高鳴る。 この狭い空間の中、僕の鼓動音が響き渡るんじゃないかという程に、大きく。 でも、そうだったんだ。今朝、僕が抱いた疑問は当たってたんだ。別に、葵は遊園地に行きたかったから勉強を頑張ったわけじゃない。 ずっと、僕と一緒にいたいと思ってくれていたんだ。「な、なんか熱いね」 葵は両手でパタパタと仰ぐ仕草を見せた。「ま、まあ、もうほとんど夏だからね。あ、暑いよね」 この前の夜の時のように、お互いが背を向けて顔を隠すようなことはしなかった。 今の僕達は、心を裸にして全てを曝け出そうとお互いに思っているから。 *   *   *「ね、ねえ憂くん? き、今日、このまま泊まっていかない?」「え!? ど、土日限定にしたんじゃなかったっけ?」「そ、そうなんだけど……。あ、あの、い、いい、一緒にいたくて。憂くんと」 断る気分になれなかった。葵の表情が、とても寂しそうだったから。「べ、別にいいけど。でも、なんで急に?」「あ、あのね。勉強を頑張りたいから。一緒に遊園地にも行きたいし。 でも、それって別に、ただ単に遊びたいからじゃないの。憂くんと一緒の思い出を作りたか
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第10話 心の足跡【2】
 あれから――。 僕と葵は晩御飯を済ませた後、少しの談笑をしてから床に就くことにした。いや、少しじゃないか。だってもう、時刻は二十三時をとっくに回ってたから。二人とも夢中になってずっとお喋りをしていた。時間を忘れてしまう程に。 とても楽しい時間だった。 お喋りをしながらお互いに笑い合って、冗談を交わし合った。ケラケラと笑う葵の屈託のない純粋無垢な笑顔を見ていると、これ以上ない程に幸せな気持ちになることができた。葵の太陽のような温かな笑顔が、僕の心を温めてくれた。その笑顔をずっと見ていたかった。 そう、素直に思える、楽しくて幸せな時間だった。 *   *   *「憂くん、もう寝ちゃった?」「ううん、まだ起きてるよ? どうしたの?」 光量を落とした薄暗い部屋の中、僕と葵は布団に入りながら言葉を交わす。 まだ起きてるとは言ったけど、この前のように緊張して眠れないわけじゃなかった。ただただ、寝るのがもったいないと思えたんだ。 一分でも二分でもいい。 葵と一緒にいられる時間を大切にしたかったから。「じゃ、じゃあさ、憂くん。こっちで一緒に寝てくれない……かな」「それはしないって約束でしょ? ダメダメ」 正直言って、本当は断りづらかった。葵の言葉にはたくさんの寂しさが含まれてたから。 でも、仕方がなかった。直接は言っていないけど、僕も葵も、お互いを意識してしまってるんだから。一緒に寝た時、僕達はきっと一線を超えてしまう。「――そっか。分かった」「ごめんね、葵。って、ど、どうしたの!?」 ベッドからむくりと起き上がった葵は、そのまま僕が寝ている布団に潜り込んできた。鼓動が高鳴るとか、心臓が激しく動くとか、そんなレベルじゃない。 胸が早鐘を打つ。 まるで、警鐘を鳴らされているみたいに。「だ、ダメだって言ってるじゃん」「いいの。自分の部屋なんだから。私の勝手でしょ」「勝手でしょって……」 持ってきた枕を横に並べて、布団の中に入ってきた葵は仰向きのまま動かない。ずっと天井を見上げていた。まるでそこに、僕の心の中にある本音が露わになっていて、それを確かめるかのように。「久し振りだよね。憂くんとこうやって一緒に寝るのって」「こ、子供の頃の話じゃん。僕達はもう――」「いいの。私はまだ子供だから」 すぐ隣に葵がいると思うだけで、否が応でも
last updateปรับปรุงล่าสุด : 2026-07-06
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