ロシェとカタリナは、グレートニールへと向かっていた。アクアリングの効力のおかげで激戦の傷は癒えてはいるのだが、疲労感までは拭うことができないようで、ほとんど会話もないままに静かな時間が二人を包み込んでいた。「あ。あそこに洞窟がある。今日はこの辺で休まないか?」 ロシェは入り組んだ山道の中の小さなトンネル道を指差してそう言った。「そうね。」 カタリナは周囲に誰もいないことを確認した後に、そう答えた。トンネル道の中へ入ってみると、どうやら工事途中で放棄された物のようで、少し進んだだけで行き止まりになっていた。「あとどのくらいなんだ?」 ロシェはそう尋ねながら、行き止まり付近に捨ててあった職人用のパイプ椅子に腰をかけた。「山を降り始めて随分になるから、もう間も無く街に着く頃だと思うわ。」 カタリナはそう答えたあと、もう一つ置いてあったパイプ椅子に腰掛けた。「かなり歩いたからさすがに疲れた。」 ここに来るまでにすでに十五日ほどが経過している。「そうね。」「明日中には着くといいんだけど。」「それはどうかしら。私も歩いて行くのは初めてだから。はっきりとは分からないわ。」 二人が歩いて移動しているのは理由がある。この国には機械による様々な移動手段が設けられているのだが、その理由のために二人は歩いての移動を余儀なくされているのだ。一つ目の理由は、震災によって国の大半が崩壊していること。二つ目の理由は、二人が特殊警察と呼ばれる人型機械を葬ってしまったこと。これよって言わば二人は指名手配犯のようなものだ。呑気に公共の機関を使うわけにはいかなくなっている。「カタリナは大丈夫か?アクアリングで癒えたとはいえ、あれだけの傷を負っていたんだから。苦しかったらいつでも言うんだぞ。」「私は平気よ。ロシェもね。」 カタリナはそう答えた。カタリナからすればロシェの方がよほど不安が大きい。あまり表に出さないタイプのようで伝わりにくいが、内心はとても焦っているように感じる。その焦りは、万が一戦闘になった時に悪い方向にしか働かないことを、カルトゥナとの戦いで痛いほどに知らされた。「僕は気を失って倒れていただけだから。」「私が最初にそうなった時。ロシェは一人で戦ってくれたじゃない。」「そうだけど。結局何もできなかった。僕も君の奥義が見たかった。」 ロシェがそんなこと
Última actualización : 2026-06-30 Leer más