All Chapters of キジも鳴かずば撃たれまい!: Chapter 21

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アフター/パーティ 3

 来訪者は三階の窓から入ってきた。三階と言っても一階は小さな喫茶店で二階は住居スペース、そして最上階は単なる埃っぽい屋根裏部屋だ。 屋根伝いにこの部屋は来たのならそれは侵入者なのだろうか。その場合侵入者は口にペンライトを咥え、右手にハンバーガーチェーンの袋、左手にウイスキーの瓶を持っていた。「……欲しい?」「いらない」 堅いこと言うなよ、と侵入者──嶌崎志麻は遠慮なく窓を飛び越えて薄暗い部屋に入った。数日前に掃除したとは思えないほど書類が散乱した床を踏み、ベッドに腰掛ける。円形の小さなテーブルにカップを置いてフタを開け、三分の二ほど入ったコーラがなみなみ浸るまでウイスキーを流し込んだ。「ハンバーガーにはコークでしょー、コークといえばウイスキー。ねえライムかレモン汁ない?」「何の用だ」「サービスだよ。アフターサービス」 ストローをマドラー代わりにしてぐるりと氷を持ち上げるようにかき混ぜ、「やっぱ紙ストローあんま好きじゃねーな」と直で飲む。「殺し屋派遣企業〈エリス〉は顧客満足度ナンバーワンを目指してるもので」「……」「この度はご利用ありがとうございました。一色豹虎は無事だしシータのボスと殺し屋の撃破にも成功。偽造ライセンスも手に入って重畳《ちょうじょう》」 ポケットからタバスコの小瓶を取り出し、袋を剥いたハンバーガーにたっぷり垂らし齧り付く。赤いソースと肉汁が染み付いたパン屑がこぼれた口元を舌でなぞり、残った汚れを親指で拭う。「三百万で雇った殺し屋シマはいかがでしたか、錠ヶ崎様?」 わざとらしい声色と指先が向けられていたのは姉崎の探偵、錠ヶ崎灘子。喫茶ケチャップの屋根裏部屋に住み着いた豹虎と花火の同居人。「……完璧だった。セイもガスも花火くんだけで対処できる相手じゃない」「だろぉ〜?」「その接客態度を除いては、だが」 灘子は志麻が差し出した塩味のきついフライドポテトを一本だけ貰って自らのゲーミングチェアに座り直した。「えー、あたしと錠ヶ崎の仲じゃん」「そこまで君と仲良くなった気はないが」「三年付き合って一回寝たらマブよマブ」 裏社会の深層に一度でも触れたら死神は向こうから勝手にやってくる。灘子は派手に動くことをこれまで嫌っていたからせいぜい目の前のふしだらな女くらいしか寄ってこなかったが、殺し屋はダークウェブの残留物《アドレ
last updateLast Updated : 2026-09-19
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