会社内恋愛は禁止されているため、私たちは10年間、秘密の関係を続けていた。この10年、彼・白川悠人(しらかわ ゆうと)の辛い時期も支えてきたし、両親の介護だってしてきた。あまつさえ、彼の子供を宿してさえいた。交際10周年の記念日の当日、ちょうど会社の創立記念パーティーが開かれた。いつも無口な彼が、急に「愛する人にプロポーズしたい」と言い出した。その瞬間、周囲の人たちは何かを察したように、私・秋月小夜(あきづき さよ)の方を驚きと憧れの眼差しで見つめた。しかし、期待に胸を膨らませ、瞳を潤ませたその直後だった。彼は指輪を手に取ると、そのまま親友の二宮寧々(にのみや ねね)の前で膝をついた。みんなの視線が一斉に、私に集まった。さっきまでの幸福感は一瞬にして消え、心臓の奥まで凍りつくような冷たさが広がった。同僚たちの驚いたようなささやき声が聞こえる。「あれ?白川部長の秘密の恋人って秋月部長じゃなかった?」「そうだよ……私もてっきり秋月部長だと思ってたけど、どうして二宮さんなの?」「信じられない。何年も噂を信じてたのに!」「気まずいな……」気まずい?私はかすかに震える指先を袖の中に隠した。気まずいのは同僚たちではなく、この私だ。同僚たちが長年噂していた通り、悠人と10年付き合ってきた恋人は確かに私だ。私たちは大学時代からの付き合いで、悠人は当時から学内で有名な男の子で、私は金融学部の華だとよく言われていた。学生たちのあいだでは、公認の美男美女カップルとして知られていた。夏の夜、寮の近くの庭で、花の香りが漂う中、悠人は私の顔を包み込んでキスをしてくれた。若かったあの頃の思い出だ。あれが私のファーストキスであり、初恋だった。卒業後、私たちは同じ会社に応募して入社した。今日で、丸10年になる。つまり、今日は彼と交際を始めてからちょうど10周年の記念日だ。職場恋愛禁止のルールを守るため、私は喜んで陰に隠れ、ずっとひっそりと付き合ってきた。公にできず、人前で手をつなぐことも叶わなかったが、10年間ずっと不満一つなかった。10年間の苦しい時期も、私はいつも彼のそばに寄り添った。彼の父親が病に倒れたときは、何日もまともに寝ずに看病した。そればかりか2週間前、突然体調を崩して産
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