「先回りしていうとね、トゥルーンはもうすぐ戦争に巻き込まれるわ」「それは予言ですか?」「そうね。そう解釈して問題ないわ」 ちょっと考えてからイヴォンヌはうなずく。 どう説明するのが良いか言葉を選んでいるような感じだった。「ゲーム世界なんていっても理解できないでしょうし」「はい。普通に理解できません。ゲームというのは盤上遊戯みたいなものですか?」「似て非なるものよ。あんまり気にしなくて良いわ。わたくしは何度か同じ時間を繰り返している、くらいの解釈で大丈夫よ」「すごい。なにが大丈夫なのかさっぱり判らない」 ツッコミはするけど、私は軽く頷いて先を促した。 同じ時間を繰り返しているとか、頭おかしい人の妄想みたいだけど、そこを否定しちゃうと話が一歩も先に進まないからね。「攻めてくるのはランバード王国とルメキア帝国」「北と南から同時にってことですか」「さらに、東部の国民たちが反乱を起こすわ」 もちろん仕組まれたものだとイヴォンヌは肩をすくめた。 軍事はさっぱり判らない私だけど、さすがにそれはトゥルーン王国が負けちゃうんじゃないかなってことくらいは判る。「それはかなりまずいんじゃないですか?」「まずいというか普通に負けるわね。序盤はまだなんとか戦えていたけれど反乱が起きてからはボロボロで、最終的に王都コーヴは陥落するの。国王は処刑され国土はランバードとルメキアに分割支配されるわ」 もちろん殺されるのは王様だけじゃない。 主だった貴族は殺されるし、その子女も同じ運命をたどる。「わたくしは敵兵に囚われ、数日にわたって陵辱されたあとに処刑されるの」「うっわ……」 戦のならいとはいえ壮絶だ。 敵兵に侵入されちゃった町や村の女がどうなるか、というやつである。「コーヴの悲劇は、でもひとりの復讐者を産み落とすの。それがロベール」「なんと……」 家族も恋人も家も、何もかもを奪われた青年騎士ロベールが力を蓄え、仲間を集め、数年の歳月をかけてランバードとルメキアの支配からトゥルーンを解放するらしい。「それって私は死んでるんでしょうねぇ」 しみじみと呟いてしまう。 殺された恋人ってのがたぶん私のことなんだろうね。 物語でいうなら、名前すら登場しない脇役である。 イヴォンヌのように死に様が描写されるよりは、すこしはマシって
Dernière mise à jour : 2026-07-25 Read More