昨日から重苦しい空気はさほど変わっていない。それでも村人たちは、慰霊祭の準備に追われていた――。 木を幾重にも組み上げ、長く火が保たれるよう考え抜かれた組み方で、台は徐々に高くなっていく。 弱肉強食――自然の摂理のもとでは、狩る側も狩られる側も、等しく代償を支払う。だが、今回の代償はあまりにも大きかった。 村人たちは「死人に口なし」どころか、まるで生者にも口がないかのように、物静かに作業を進めていた。「……静かだな。」 ラルクが、ぽつりとソウに言った。「それくらいで、ちょうどいいんじゃねえの。昨日みたいに、誰かがドヤされるよりはさ。」 ソウは肩をすくめる。「ソウ、お前、まだ根に持ってるのか。昨日のこと。」「べっつに。……でも、本当のことを言っただけだし。辛いのは、みんな同じだろ。」「まあ、そうだが……あ、そうだ。ヤンの好きだった物、ヤンガの爺さんの所に取りに行こうぜ。」「お、それいいな。ちょうど暇だったし。」 二人は村長宅へ向かった。 ――すると、外からではあったが、扉越しにヤンガとゲンの会話が聞こえてきた。「爺さん、怪物が出たんだ。しかも、俺たちが知ってる類じゃない。策を固める必要がある。今までは自由に動いてきたが、今は有事だ。いち民草として言わせてもらう。この村の防御網は、あまりにも脆い。」「……それは、そうじゃのう。じゃが、周辺の索敵も疎かにはできん。怪物の動きが分からんし、食糧の問題もあるからのう。」 二人は山積する課題に、頭を悩ませていた。 ――キイ、バタン。「お、取り込み中だったか。……おっ、地図じゃん。」 ソウは遠慮なく中へ入り、地図に手を置いた。「ここが村。狩りに出た進路は西。森林を抜けて高原、中央に二対の巨木。その先、北西へ進むと荒地で、さらに行けば河。向こう側は山陵――こんな感じか。」 指でなぞりながら、状況を整理していく。「なるほどな……。奴と遭遇したのは、高原と荒地の境目、河に近い場所ってわけか。」 ラルクは口早に言い、ゲンは頷いた。「防御じゃなく、行動範囲を制限する。……つまり、これだ。」 彼は地図の河を指差す。「河に毒でも流す気なの?」 ソウが眉をひそめる。「違う。そんなことをすれば、下流の生態系が死ぬ。追う必要もない。奴の行ける場所を減らすんだ。河を使って、隔てる。」「じゃが、
Last Updated : 2026-07-13 Read more