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All Chapters of 菊池まりな童話集: Chapter 11 - Chapter 17

17 Chapters

第11話 愛の翼で飛ぶ小さな鳥

 むかしむかし、遠い森の奥に、翼が折れて飛べなくなった小さな鳥のチュンチュンが住んでいました。チュンチュンは美しい声で歌うことができましたが、空を飛べないことをいつも悲しんでいました。ある日、森の中で迷子になった小さな女の子のミアと出会いました。ミアは家に帰る道がわからず、泣いていました。「なぜ泣いているの?」とチュンチュンが尋ねました。「道に迷ってしまったの」とミアは涙を拭きながら答えました。「でも、あなたは話せる鳥なの?」「はい、私はチュンチュン。この森で生まれたの。でも翼が折れているから飛べないの」ミアは優しい心を持った女の子でした。「大丈夫よ、一緒に助け合おう。私は歩くことができるし、あなたは森のことをよく知っているでしょう?」そうして二人は友達になり、森の中を歩き始めました。チュンチュンはミアの肩に乗り、道案内をしました。途中、彼らは多くの困難に出会いましたが、お互いを助け合いながら乗り越えていきました。深い川を渡るときには、ミアが木の枝を使って橋を作りました。暗い洞窟を通るときには、チュンチュンが美しい歌声で恐ろしい動物たちを魅了し、安全に通れるようにしました。旅の終わりに近づいたとき、彼らは森の魔法使いに出会いました。魔法使いは二人の友情に感動し、「真の友情は不可能を可能にする」と言いました。そして魔法使いはチュンチュンの折れた翼に触れ、光り輝く魔法の粉をかけました。突然、チュンチュンの翼が癒え、再び飛べるようになりました。チュンチュンは喜びのあまり空高く舞い上がり、美しい歌を歌いました。そして上空からミアの家を見つけ、彼女を無事に家まで導くことができました。「ありがとう、チュンチュン」とミアは言いました。「あなたのおかげで家に帰れたよ」「いいえ、ありがとうはこちらこそ」とチュンチュンは答えました。「あなたの優しさが私に飛ぶ勇気をくれたんだよ」それからというもの、チュンチュンはよくミアの窓辺に訪れ、二人は末永く友情を育んでいきました。
last updateLast Updated : 2026-07-13
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第12話 星の声

深い緑色の森の中に、小さな村がありました。村には小さな木の家がたくさん並び、その一番端っこに住んでいたのは、「ヒカリ」という名前の女の子でした。ヒカリは7歳で、大きな丸い目と、いつも笑顔の優しい顔を持っていました。ヒカリは一人っ子で、お父さんとお母さんと三人で暮らしていました。お父さんは森で木を切る仕事をしていて、お母さんは美しい布を織る名人でした。 ある夏の日、ヒカリは庭で遊んでいました。空は青く澄み渡り、白い雲がゆっくりと流れていきます。「ヒカリ、もうすぐご飯だよ」とお母さんが呼びました。「はーい!」ヒカリは元気よく答えました。でも、ちょうどそのとき、キラキラと光る小さな何かが空から落ちてくるのを見つけました。「あれ、なあに?」ヒカリはその光るものに近づきました。草むらの中に落ちたそれは、指先ほどの大きさの、小さな星のようでした。ヒカリは恐る恐る手を伸ばし、光る小さな星に触れました。すると驚いたことに、星がぽっと明るく光り、小さな声が聞こえてきました。「こ、こんにちは...」ヒカリは驚いて手を引っ込めましたが、すぐに好奇心が勝ちました。「あ、あなたは誰?」とヒカリは尋ねました。星は小さくため息をついて答えました。「ぼくは、ホシノ。空からおちてきちゃったんだ...」「星さんが話すの?」ヒカリは目を丸くして聞きました。「うん、ぼくたち星は空にいるときはみんなに話しかけているんだよ。でも、地上の人には聞こえないんだ」とホシノは答えました。「わたし、聞こえるよ!」ヒカリは嬉しそうに言いました。「それは、ぼくが空から落ちてきたからかもしれないね」とホシノは少し悲しそうな声で言いました。「でも、ぼくは空に帰らなきゃいけないんだ...」「ヒカリ!ごはんよ!」再びお母さんの声が聞こえました。「行かなきゃ...」ヒカリはホシノを見ました。「でも、あなたをここに置いていくの、心配だな...」ホシノは小さく瞬きしました。「大丈夫だよ。ぼく、ここで待ってるから」ヒカリは考えて、そっと手のひらにホシノを乗せました。「一緒においでよ。こっそり部屋に連れて行くね」ヒカリはホシノを小さなポケットに入れて、家に戻りました。夕食の間、ポケットの中のホシノはじっとしていました。食事が終わると、ヒカリは急いで自分の部屋に戻り、ホシノを取
last updateLast Updated : 2026-07-14
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第13話 森の魔法の秘密

 森のはずれに、小さな小屋がありました。そこに住んでいたのは、クマのクゥくんとウサギのピョンちゃんです。ある日、クゥくんは森の中から不思議な音 を 聞きました。「ピョンちゃん、聞こえる?キラキラ、シャラシャラって音…」ピョンちゃんは大きな耳を立てて聞きました。「本当だね!あの音、前にもどこかで聞いたことがあるような…」クゥくんは机の引き出しから、おじいさんに昔もらった古い地図を取り出しました。地図には「聞こえないと 見えない 魔法の泉」と 書いてありました。「この地図、おじいさんが『必要な時がきたら 開けなさい』って言ってたんだ」ピョンちゃんは不思議そうな顔をしました。「でも、どうして今日、、、その音が聞こえたのかな?」そのとき、窓の外で金色の葉っぱがひらひらと舞っていました。普通の葉っぱとちがって、夜なのに光っていました。「この 葉っぱを 追い掛けてみよう!」次の朝、クゥくんとピョンちゃんは地図を持って森に入りました。金色の葉っぱは見付かりませんでしたが、地図に描かれた道を進みます。途中、森の中で迷子になったキツネの子どもを 見付けました。「おかあさんがどこかに行っちゃったの…」クゥくんは 言いました。「僕たちと一緒に行こう。きっと、 お母さんも見付かるよ」キツネの子どもコンくんは、首に 不思議な 青い石のペンダントをかけていました。「これはおかあさんからもらったの。『困った時はこの石を握りしめて』って」その石は 時々、微かに 光るのでした。3人が歩いていると、森はだんだん暗くなってきました。木々が密集し、日光が ほとんど届かなくなりました。「こわいよ…」とピョンちゃんが 言ったとき、コンくんの 青い石が不意に明るく光りました。すると、木々の間から あの「キラキラ、シャラシャラ」という音が聞こえてきたのです。「あの音のほうに行こう!」音のするほうに進むと 、小さな空き地に出ました。そこには フクロウのような、にんげんのような、不思議な 老人が座っていました。「やあ、待っていたよ」と 老人は いいました。クゥくんたちはびっくり。「僕たちを 知っているの?」「もちろん。クゥくん、それは 君の おじいさんの だね。そしてコンくん、その 青い石は『呼び石』。持ち主が困った時に、助けを呼ぶ石なんだ」老人は 続けまし
last updateLast Updated : 2026-07-14
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第14話 小さな灯台

海の見える町に、ちいさな灯台がぽつんと立っていました。灯台の名前は「ルミ」。赤と白のしま模様の、丸っこくて愛らしい姿。人々からは「キャンディ灯台」と親しまれていました。大きな船が行き交う航路からは外れた、小さな港町。観光客も少なく、町の人々は皆顔なじみ。港では毎朝、漁師たちが元気な声で網を投げ、夕方には家族の待つ家へと帰っていきます。ルミの仕事は、夜になると明かりを灯して、海に出た人たちが道に迷わないように見守ること。けれど──ルミの光は、あまり遠くまでは届きませんでした。古くて、小さくて、ちょっぴり弱いのです。「また灯りがかすれてるなあ」「まあ、でもあのへんに町があるってのは分かるさ」「いつか、もっと大きくて立派な灯台が建つんじゃない?」そんな声を、ルミは聞こえないふりをして聞いていました。自分の光が頼りなく見えることに、気づいていないわけじゃないのです。でも──それでも、毎晩欠かさず、灯りをともしていました。どんなに小さくても、誰かの役に立てたらと思いながら。ある日、天気予報が「大きな嵐が近づいています」と町に知らせました。「こりゃ、漁も早めに切り上げないとな」「港のロープ、ちゃんと結んでおこう」人々は忙しく立ち回りながら、空をにらみつけていました。空気がぴりぴりと張りつめていきます。海は昼からざわめき、午後には空がどんよりと灰色に変わりました。夕方、空が怒ったような音を立てて、嵐が町をのみこみました。雷が鳴り、風が木々を揺らし、海はまるで獣のようにうなっています。そのなかで、ルミはひとり、必死に光をともしていました。雨に濡れても、風にあおられても、小さな体でぐっと耐えながら、精いっぱいの力で海を照らしました。──でも、「……ダメ、見えない……わたしの光、届いてない……!」ルミの心に、不安が押し寄せます。港の方角が見えない。空も海もすべてが黒く、風と波の音しか聞こえない。自分の光は、海の上の誰にも届いていないのではないか。自分は、無力なのではないか──。そのときでした。「ルミーっ! 見えてるぞーっ!」遠くから、力強い声が聞こえました。風に消されそうになりながらも、ルミの小さな窓に届いたその声。声の主は、町の老漁師「タケじいさん」でした。タケじいさんは長年この町で漁をしてきた、頼りになるおじいさ
last updateLast Updated : 2026-07-14
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第15話 夜のパン屋さん

ひっこしてきて、まだ二週間もたっていない。段ボールが、まだ三つも部屋のすみに残っている。ひなたは、その一つに寄りかかって、天井のしみを数えていた。時計は、もう夜中の一時をまわっていた。カーテンの隙間から、なにかがちらちら光っている。オレンジ色の、火みたいな光だった。サンダルをつっかけて、外に出た。昼間は工事のトラックが通るだけの、なんでもない路地。そこに、見たことのない店が、あたりまえの顔をして建っていた。ドアを押すと、ベルも鳴らずに開いた。奥から、低い声がした。「……いらっしゃい」くまは、ひなたのほうを見もしなかった。棚には、パンの札が、字もばらばらに手書きされていた。「言えなかった、ごめん」「言えなかった、ありがとう」奥の棚には、値札のないパンもあった。くまが、ぼそっと言った。「それは、まだ焼けてない」「これ、ください」一番小さいパンを指さすと、くまは無言で紙に包んだ。レシートも、値段も、何もなかった。かじると、少しぱさぱさしていた。おいしくは、なかった。でも、なんでか、前の学校で最後に話した女の子の、困ったような顔が浮かんだ。くまは、そのままカウンターを拭いていた。何も言わなかった。ひなたも、何も言わなかった。気がつくと、自分の部屋だった。カーテンの隙間から、朝の光が入っていた。手のひらを見ると、パンくずが、ひとつだけ。教室に入ると、いつもの席に、いつもの子がいた。一度も、名前を呼んだことのない子。ひなたは、机のあいだを歩いていった。心臓が、変な音を立てていた。「あの」その子が、顔を上げた。「……なに?」ひなたは、少し笑って、隣の椅子を指さした。「ここ、座っていい?」
last updateLast Updated : 2026-07-14
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第16話 星のかけらと小さな花

昔々、山奥の小さな村に、リリという名前の少女が住んでいました。リリは生まれつき足が不自由で、みんなのように走り回ることができませんでした。でも、彼女にはとても優しい心と、花を愛する気持ちがありました。村の人たちは皆親切でしたが、リリはいつも一人で家の庭で小さな花たちの世話をして過ごしていました。特に、庭の隅に咲く小さな青い花が彼女のお気に入りでした。その花は他の花よりもずっと小さくて、誰も気に留めない存在でしたが、リリはその花に「ほし」という名前をつけて、毎日話しかけていました。「おはよう、ほし。今日もきれいに咲いているね。私も頑張るから、あなたも頑張って咲いていてね。」ある夜、リリが眠っていると、窓の外から優しい光が差し込んできました。目を覚ますと、庭に美しい女性が立っていました。その女性は星のような輝きを身にまとい、微笑みながらリリに話しかけました。「リリちゃん、私は星の精です。あなたの優しい心と、小さな花への愛情を見ていました。あなたに一つ、魔法をかけてあげましょう。」星の精は手を伸ばし、リリの胸に温かい光を宿しました。「明日の朝、あなたの愛する小さな花を見てごらんなさい。そして、その花の名前を呼んでみてください。」翌朝、リリが庭に出ると、小さな青い花「ほし」が、昨日よりもずっと美しく輝いて見えました。リリが「ほし」と呼びかけると、不思議なことが起こりました。花びらが光り始め、その光がリリの足を包み込んだのです。すると、リリの足に力が戻り、立ち上がることができました。彼女は驚きと喜びで涙を流しながら、初めて自分の足で庭を歩き回りました。でも、一番驚いたのは次のことでした。リリが歩いた跡に、美しい花々が次々と咲き始めたのです。彼女の優しい心が、大地に花を咲かせる力となったのでした。村の人たちは、リリが歩くたびに咲く美しい花々を見て、とても驚きました。そして、リリの持つ特別な力に気づきました。それは足が速いことでも、力が強いことでもありません。他者を思いやり、小さなものも大切にする、純粋で優しい心の力でした。リリは村中を歩き回り、至る所に美しい花を咲かせました。病気の人のお見舞いに行けば、その人の心に希望の花が咲き、悲しんでいる人のそばを歩けば、慰めの花が咲きました。やがてリリの村は「花の村」と呼ばれるようになり、多くの人々が美しい花々を
last updateLast Updated : 2026-07-14
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第17話 影を売った少年

 昔、貧しい村のはずれに、トビという名の少年が住んでいました。両親を早くに亡くし、たった一人で小さな小屋に暮らしていました。 その冬は、村始まって以来の寒さだと言われていました。薪はとうに尽き、パンを買う銅貨も残っていません。トビは震えながら、空っぽの戸棚を何度も開けては閉じました。このままでは、春を迎える前に凍えてしまう。そんな恐ろしい考えが、夜ごと頭から離れませんでした。 霧の深いある夕暮れ、トビは薪になりそうな枝でも落ちていないかと、村の外れの十字路まで歩いていきました。そこに、見たこともない黒い外套を着た商人が、まるで前から待っていたかのように立っていました。「坊や、何か売るものはないかね」 商人は低い声で言いました。トビは首を横に振りました。売れるものなど、もう何もありません。「そうかね……では、その足元にあるものはどうだ」 商人が指さしたのは、トビの影でした。「影を、売るんですか」「そうとも。影などなくても、腹は満たせるし、暖もとれる。その代わり、この金貨の袋をやろう」 商人は袋の口を緩め、中の金貨を月明かりにきらめかせて見せました。トビは唾を飲み込みました。影がなくなったら何か困るのだろうか──そう考えかけて、けれど今夜のひもじさと寒さの前では、その疑問はあまりに小さく思えました。「わかりました」 声はかすれていましたが、トビはそう言いました。商人はにやりと笑うと、トビの足元からすっと影を剥がすように取り上げ、外套の中にしまい込みました。そして霧の中へ溶けるように消えていきました。 その夜からトビの足元には、影がなくなりました。 最初のうちは、何も困ることはありませんでした。金貨のおかげで薪を買い、あたたかいスープを飲むことができました。むしろ、身体が少し軽くなったような気さえしました。 異変に気づいたのは、市場に出かけた朝のことでした。 いつものように八百屋のおかみさんに挨拶をすると、おかみさんはトビの足元にちらりと目をやり、それきり顔をこわばらせて
last updateLast Updated : 2026-07-15
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