時効成立の最終日。岩上怜佳(いわかみ れいか)はついに、父が殺害された事件を覆す決定的な証拠を見つけ出した。だが、その証拠を裁判所へ提出した直後、無罪判決が下ったというニュースが目に飛び込んできた。SNSで拡散され、トレンド1位になった写真には、夫の久村柊(ひさむら しゅう)が米倉純玲(よねくら すみれ)の顔を手でかばい、眩しいフラッシュから守っている姿が映っていた。次の瞬間、純玲がSNSを更新した。【彼は「どんなことがあっても、必ず支えてみせる」って言ってた。その約束、彼は本当に守ってくれた】怜佳は血が一気に頭へ上り、我を忘れて柊の執務室へ駆け込んだ。「犯人を必ず裁かせるって約束したから、証拠をあなたに預けたというのに......どうして彼女が無罪になるの!?」柊は顔も上げず、純玲にケーキを一口食べさせながら、静かに言った。「怜佳、君のお父さんが亡くなってもう20年だ。そろそろその恨みも手放せ。それに、当時の純玲は故意じゃなかった。あの人が彼女を刺激しなかったら、正当防衛なんてことにも......」「正当防衛ですって!?」怜佳は涙を浮かべ、声を張り裂けんばかりに叫んだ。「20か所......何度も、何度も心臓を刺したのよ!それのどこが正当防衛なの!」彼女は彼の手をつかみ、懇願するように見つめた。「証拠を返して。再審を求めるから!」しかし柊は冷たく手を振り払い、目には苛立ちが浮かんでいた。「もういい加減にしろ。今の君はまるでヒステリックな女だ。純玲はこの20年間ずっと罪悪感を抱えて生きてきた。それ以上、彼女に何を望むというんだ」怜佳の唇が震えた。「証拠を処分したのね......?」柊は何も答えなかった。その沈黙が、何より残酷だった。怜佳は完全に崩れ落ち、思わず彼の頬を叩いた。「......私は弁護士よ。この命を懸けても、父の無念は必ず晴らしてみせる!」すると純玲が泣きながら窓辺へ駆け寄った。「わかった。だったら今ここで死ぬわ。それで満足なんでしょう!?」「純玲!」柊は怜佳を突き飛ばして純玲のもとへ駆け寄ると、振り返ってボディーガードに鋭く命じた。「怜佳を別荘へ連れ帰って部屋に閉じ込めろ。俺の許可があるまで、一歩たりとも外へ出すな!」怜佳は胸をえぐり取られた
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