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第7話

ผู้เขียน: 六月の心
怜佳は唇をわずかに動かしたが、何も言わないうちに――

柊が眉をひそめた。

「断ることは許さない。久村家の妻が、最低限の礼儀もわきまえないようでは困る」

そう言い残し、彼は振り返ることなく部屋を出て行った。

怜佳は深く息を吸い込み、何度か呼吸を整える。

そのとき、ちょうどスマホに律人からメッセージが届いた。

【すべて準備は整いました。あとは岩上さんだけです】

怜佳はスマホを強く握り締める。

胸の奥に、揺るぎない決意が込み上げた。

――誕生日会へ行く。

純玲に最後の一撃を与え、自白を手に入れる。

そしてそのままA国へ渡り、柊との縁を完全に断ち切る。

翌朝早く。

怜佳は身支度を整え、身体の線を美しく見せるロングドレスに着替えて柊の前へ立った。

「パーティーには付き合ってもいいわ。でも、その代わりに埋め合わせをして。お店を一軒買ってほしいの。お花屋さんを開きたいから」

柊は従順な彼女の様子を見て笑みを浮かべ、内容もろくに確認せず署名した。

「最初からそうすればいいのに」

彼は知らない。

自分が署名したのは――離婚協議書だった。

怜佳は何事もなかったように書類をしまい込み、彼とともに郊外の別荘へ向かった。

「料理は全部できている。純玲が自分で作ったんだ。あとは俺たちだけだ。

ああ、そうだ。今日はもう一人、大事な客がいる」

玄関の扉が開いた瞬間。

怜佳は食卓に座るもう一人の人物を見て、全身の血が一気に逆流した。

純玲の隣に座っていたのは、本来なら刑務所で服役しているはずの――米倉隆雄だった。

押し殺していた苦しみが、一瞬で胸に押し寄せる。

怜佳は思わず後ずさったが、柊が腰を抱き寄せた。

「落ち着け」

彼は耳元で声を潜める。

「今日は純玲の誕生日だ。彼女の唯一の願いは父親と一緒に食事をすることだった。だから俺が手を回して、彼を医療目的の一時外出という形で一日だけ出してもらった」

――あまりにも理不尽だった。

怜佳は柊を突き放し、震える声で言った。

「彼は無期懲役の受刑者。あなたのお父さんを殺した仇でもあるなのよ。どうしてそんなことを......」

柊は眉間にしわを寄せる。

「やめろ。今日は純玲の誕生日だ。空気を悪くするな」

純玲はすぐに柊の腕へ抱きつき、怜佳へ勝ち誇った視線を向けた。

「柊、ありがとう。お父さんと一緒に食事ができるなんて、最高の誕生日プレゼントだよ」

柊は愛おしそうに純玲の鼻先を軽くつつき、そのまま彼女の手を引いて食卓へ向かった。

長年刑務所にいた隆雄は、すっかり老け込み、おどおどした様子だった。

怜佳を見るなり立ち上がり、反射的に姿勢を正して頭を下げる。

「隆雄さん、そんなにかしこまらなくても大丈夫だよ」

柊が淡々と言った。

「ここは刑務所じゃない」

純玲は笑顔で言う。

「そうよ、お父さん。怜佳は何年も証拠を集めてあなたを刑務所送りにしようとしてたけど、もう弁護士じゃないんだから。怖がる必要なんてないわ」

怜佳の手は震えていた。

爪が掌へ食い込むほど力を込め、必死に平静を装って席に着く。

レコーダーはポケットの中にある。

あとは純玲と二人きりになる機会を待つだけだ。

酒が進んだ頃、純玲がようやく席を立ち、化粧室へ向かった。

怜佳も後を追い、洗面台の前で気分が悪そうに吐き気をこらえるふりをした。

化粧室から出てきた純玲は、その姿を見るなり顔色を変える。

「え......まさか妊娠した?」

怜佳はわざと尊大な態度で彼女を見た。

「ええ、そうよ。柊は大喜びしてるわ。生まれてくる子どもに全財産を残すって言ってた。そういえば、あなたって妊娠しにくい体質だったっけ?今は柊に可愛がられていても、子どもを産めるの?」

「は......!?」

怒りに任せて純玲が突き飛ばそうとしたが、怜佳は身をかわした。

「何?私の子どもまで殺したいの?そんな度胸、あなたにあるかしら?この前の強盗も、あなたが手配したんでしょう?自分では手を下せないから、他人を使って私を殺そうとした。

やっぱりね。あなたには私の父を殺す度胸なんてないとわかってたよ。何をするにも他人任せの臆病者なんだから」

怜佳が背を向けると、純玲は一歩先に動き、勢いよくドアを閉めた。

「私が臆病者?」

純玲の目は復讐の快感で真っ赤に染まった。

「ねえあなた、自分のお父さんがどうやって死んだか知ってる?私のボディーガードがあいつを地面に跪かせて押さえつけ、腕も脚も全部へし折った。

それから私は、自分の手で、何度も何度も思い切り胸へ突き刺したの!死ぬ間際まで、あいつは『怜佳......怜佳......』って何度も叫び続けてたよ。うるさくて仕方なかったから、口いっぱいに土を突っ込んでやったの。やっと静かになったわ。

そうそう、お父さんが死んだ日って、あなたの誕生日だったわよね?ポケットには、あなたにあげるつもりだった輸入フルーツキャンディーが一箱入ってた。1万円以上もする高いやつ。ずいぶん可愛がられてたのね。でも残念、あんなもの、とっくに捨てちゃった。一生食べられなくて、可哀想~」

怜佳の手は激しく震え、爪が掌に食い込み、血が滲んだ。

それでも純玲を絞め殺したい衝動を必死に抑え、レコーダーの保存ボタンを押す。

――証拠は、ついに手に入った。

怜佳は静かに息を整えた。

「......話はそれだけ?なら、もう行くわね」

純玲は一瞬きょとんとした。

その隙に、怜佳は録音データをスマホへ転送し、そのまま律人へ送信する。

そして何事もなかったように食卓へ戻った。

そのとき、隆雄がグラスを手に近づいてきた。

「怜佳......あの頃のお父さんと柊のお父さんの件は、本当に申し訳なかった。この一杯を、どうか受け取ってほしい」

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