تسجيل الدخول時効成立の最終日。 怜佳はついに、父が殺害された事件を覆す決定的な証拠を見つけ出した。 だが、その証拠を裁判所へ提出した直後、無罪判決が下ったというニュースが目に飛び込んできた。 SNSで拡散され、トレンド1位になった写真には、夫の柊が純玲の顔を手でかばい、眩しいフラッシュから守っている姿が映っていた。 次の瞬間、純玲がSNSを更新した。 【彼は「どんなことがあっても、必ず支えてみせる」って言ってた。その約束、彼は本当に守ってくれた】 怜佳は血が一気に頭へ上り、我を忘れて柊の執務室へ駆け込んだ。 「犯人を必ず裁かせるって約束したから、証拠をあなたに預けたというのに......どうして彼女が無罪になるの!?」 柊は顔も上げず、純玲にケーキを一口食べさせながら、静かに言った。 「怜佳、君のお父さんが亡くなってもう20年だ。そろそろその恨みも手放せ。それに、当時の純玲は故意じゃなかった。あの人が彼女を刺激しなかったら、正当防衛なんてことにも......」 「正当防衛ですって!?」 怜佳は涙を浮かべ、声を張り裂けんばかりに叫んだ。 「20か所......何度も、何度も心臓を刺したのよ!それのどこが正当防衛なの!」
عرض المزيد3年後。ある大学のキャンパス。澄み渡る青空の下、学生たちが次々と講堂へ集まってくる。法学部の学生たちは皆、この瞬間、怜佳を待っていた。20年もの歳月をかけて父の冤罪を晴らし、自らの手で父の仇と裏切り者を法の裁きへ送り込んだ女性。その後も、自らの力だけで重大事件の冤罪被告人を弁護し、正義の光を取り戻してきた伝説の弁護士である。やがて、怜佳は白いシャツに端正なスラックス姿で、落ち着いた足取りで講堂へ入り、穏やかな笑みを浮かべながら壇上に立った。「皆さん、こんにちは。岩上怜佳です」彼女は難解な法律論を語ることも、自らの輝かしい実績を誇ることもしなかった。ただ静かに、20年前のあの日の午後について語り始めた。父と久村おじさん――二人のごく普通の建設作業員が、粗悪な鉄筋の使用を知り、住民の安全を守ろうとして命を奪われたこと。父の亡骸を抱き締め、雨の中で一晩中泣き続けたこと。学費すら払えない孤児だった自分が、20年をかけて弁護士になったこと。脅迫され、仕事を奪われ、最も愛した人に裏切られたこと。それでも、どれほど暗闇に突き落とされても、正義を守る信念だけは決して捨てなかったこと。「私は何度も思いました。正義は本当に訪れるのだろうか、と」怜佳の声は穏やかだったが、その一言一言は会場中にはっきりと響いた。「力とお金ですべてを覆い隠す光景を見てきました。真実が20年間埋もれたままでいたことも。善人が報われず、悪人がのうのうと生き延びる現実も。法律を捨て、自分のやり方で復讐しようと考えたことさえありました」会場は水を打ったように静まり返る。学生たちは息を呑み、壇上の彼女を見つめていた。怜佳は手を上げ、掌に残る幾筋もの薄い傷痕を見せた。3年が過ぎ、傷跡はだいぶ薄くなっていたが、それでもなおはっきりと残っている。「それでも最後に私が選んだのは、法律を信じることでした。被害者すべてに最も公正な答えを与えられるのは法律だけだからです。そして悪事を働いた者に当然の裁きを下せるのも法律だけです。陽の当たる場所に立ってこそ、私たちは本当の意味で闇に打ち勝つことができます」彼女は若い学生たちの顔をゆっくりと見渡した。「ここにいる皆さんは、未来の法律家です。いつかバッジを胸に掲げ、正義を誓う日が来るでしょう。どう
柊の裁判まで、あと数日となっていた。彼は会社の仕事を一切顧みず、ただ怜佳を取り戻すことだけに心を注いでいた。怜佳は二人が暮らしていた家へ戻り、自分の荷物をまとめ始める。柊は目を赤くしながら彼女の後をついて回り、必死に言葉を重ねた。「怜佳、そんなことしないでくれ。俺たち、この20年間ずっと一緒にいたじゃないか......」「怜佳、もう一度だけチャンスをくれないか。俺は君がいないと、生きていけないんだ......」「怜佳......」あまりにもしつこく、怜佳はうんざりして振り返り、彼を睨みつけた。「あなたが買ってくれた物は全部いらないから」柊の顔は紙のように青ざめ、彼女の手首を必死に掴んだ。「だめだ、怜佳......!訴えを取り下げてくれ。俺の個人資産は全部君に渡すから」怜佳は静かに彼を見つめ返した。「でも、お金をどれだけ積まれても、私が受けた傷は消えない。焼けただれたこの手は元には戻らないし、銃で撃たれたことも、米倉隆雄に乱暴されたことも、なかったことにはできない。お金で時間を巻き戻すことなんてできないのよ。私たちは、もう昔には戻れないの」「そんなはずない!」柊は慌てて首を振った。「戻れるさ、怜佳。俺を信じてくれ。俺は君のことを、本当に愛してるんだ。君のためなら何だって――」「もういい加減にして」怜佳の目には、隠しきれない疲労がにじんでいた。「これ以上つきまとったら、ストーカー行為で訴えるわ。私はもう喜多村さんの事務所に所属している。最強の弁護団を率いて、あなたを徹底的に潰すことだってできるから」柊の表情が一変し、声を荒らげた。「喜多村......?やっぱりあいつだったのか!もう次の男を見つけていたから、あんなに急いで俺と離婚したんだな!」――パシッ!言い終わる前に、怜佳の平手が彼の頬を打った。「私を侮辱するのは勝手よ。でも、喜多村さんまで侮辱しないで」柊は彼女の瞳を見つめたまま、動けなくなった。20年間、その美しい瞳には、真剣な眼差しも、優しさも、悲しみも映っていた。だが今そこにあるのは、ただ冷え切った嫌悪だけ。まるで氷の刃が、真っ直ぐ彼の胸を貫いたようだった。痛い。息もできないほどに。怜佳は冷たく手を振り払い、一度も振り返ることなく去っていった。
柊は唇を震わせ、信じられないという表情で怜佳を見つめた。かつて誰よりも優しく、自分を包み込み、心のすべてを捧げてくれた女性。その彼女が今、自分と法廷で争おうとしている。「そんなこと言わないでくれ、怜佳。本当にごめんって。全部俺のせいだ」目を真っ赤にし、彼はこれまで見せたことのないほど弱々しい声で懇願した。「君が家を出たときから、もう後悔していたんだ。本当は純玲を刑務所に入れるだけじゃ生ぬるいと思っていた。俺の手で苦しめて、君の仇を討つつもりだった。俺を訴えたいなら訴えればいい。どんな罰でも受ける。それは全部、俺が君に負っている借りだ。でも離婚だけは......離婚だけはしないでくれ!愛している。この先もずっとだ。俺のすべてを君に捧げる。だから、もう一度だけやり直す機会をくれないか」怜佳は冷たく笑った。その笑みには、悲しみと痛烈な皮肉だけがあった。「人殺しの共犯者からの愛なんて、私には受け止めきれないわ。柊、あなたが米倉に手を貸して、父の殺害事件の証拠を焼き捨てたことを、私は一生忘れない。あなたみたいな人間と一緒に生きるくらいなら、死んだほうがましよ」柊の顔から血の気が引いた。しかし、もう何一つ言い返すことはできなかった。真っ白なフラッシュが彼の顔を照らし、昼のような強い光の中で、隠してきた闇はすべて白日の下にさらされる。長い沈黙の末、いつも誇り高かった彼は初めて頭を垂れ、小さくつぶやいた。「......すまなかった」怜佳はしばらく黙っていたが、静かに答えた。「もう遅い」そう言い残し、振り返ることなく歩き去った。20年前の殺人事件が覆されたことで、世間は大騒ぎとなった。怜佳に向けられていた数々の中傷や誹謗も、すべて自然と否定された。ネットユーザーは次々と彼女のSNSに押しかけ、謝罪の言葉を書き込んだ。一方、米倉家の父娘は完全に社会の敵となり、ネット上では激しい非難を浴び続けた。柊も例外ではなかった。会社の株価は暴落し、取引先も次々と契約解除を申し入れる。かつて彼が純玲をかばって裁判所を出た写真も再びトレンド入りしたが、今回はコメント欄は罵倒一色だった。【妻があんな目に遭ったのに犯人をかばうなんて、こんな男と結婚したら人生終わり】【久村グループなんてさっさと潰れろ
彼はもう、何ひとつ気にしていなかった。自分が刑務所に入るかどうかも、人生が破滅するかどうかも。彼女はただ、計画どおりに復讐を遂げようとしているだけだった。自分を傷つけた者を、一人残らず地獄へ送り込む。その中には、柊も含まれている。苦しい記憶が一気によみがえり、柊の肩は激しく震えた。コンクリートの中に埋められた父の姿。そして、岩上のおじさんが慈しみに満ちた目で言ってくれた言葉。「大丈夫だ、柊。これからはおじさんと怜佳が、お前の家族だから」幼い頃の数少ない温もりは、すべて岩上のおじさんと怜佳が与えてくれたものだった。それなのに今の自分は、純玲一人のために、かけがえのない二人の家族を自ら壊してしまった。20年前の血の借り。20年間積み重なった無念。そして、自分が彼女に与えた数え切れない傷。なかでも彼女が口にした「元夫」という一言は鋭い刃となり、彼の胸を容赦なく貫き、心をずたずたに切り裂いた。彼は歯を食いしばり、崩れ落ちて泣き出すのを必死にこらえた。裁判長が力強く木槌を打ち鳴らし、判決が言い渡される。その結果は、怜佳を裏切らなかった。被告人・米倉純玲氏を故意殺人罪により無期懲役。被告人・米倉隆雄を死刑に処する。3秒後。法廷の静寂を切り裂くような悲鳴が響いた。「あの時の私はまだ子どもだったのよ!わざとじゃない!無期懲役なんておかしいよ!ねえ、柊!助けてよ!約束したのに......!」だが、誰一人として耳を貸さなかった。怜佳は純玲を冷たく見つめ、静かに口を開く。「子どもだったからといって、人を殺した責任から逃れられると思ったの?この国の法律では、14歳以上の未成年者が故意に人を殺害した場合でも、刑事責任を負う。最高刑は無期懲役よ。ましてあなたは、はっきりとした意思のもとで致命傷となる20か所もの刺傷を与え、父が亡くなったあとも怒りをぶつけるように刺し続けた。あなたのしたことは、どれも目を覆いたくなるような凶行......あなたはもう人間じゃない。悪魔よ」傍聴席からも怒りの声が次々と上がる。「親子そろって悪魔だ!」「一族まで徹底的に調べるべきだ!先祖代々ろくでもない連中だったんじゃないか!」会場中に支持の声が高まる中、純玲は紙のように青ざめ、全身から力が抜け、そ