これは、とある街に棲む擬人化された猫たちの物語である。★ アメリ編 ★ ダンボール箱に詰められてから、どのぐらい経っただろう。時々、大きく揺れる。狭いところは大好きだけど、いささか飽きてきた。箱に入れられる前、たくさんご主人様と遊んだから、なんだか眠い。楽しかったなあ。また明日も遊べるといいな。でも、ご主人様は、なんであんなに悲しそうな顔をしていたんだろう? 今の私は、カジュアルなショートパンツルックのショートカットという姿をしている。声を上げてみると、ご主人様が、言葉を返してきた。何か音がする。確かこれは自動車とかいうものの音だ。病院というところに連れて行かれる時、聞いた覚えがあった。また病院に連れて行かれるのだろうか。 揺れが収まった。しばらく、ご主人様とご主人様のお母さんが言い争う言葉が聞こえた。何だろう? 私にも、人間の言葉が分かればいいのに。続いて、私入りの箱は、ひょいと持ち上げられたみたいだ。そして、着地の感触。そして、ご主人様が何かをしゃべりかけてくる。それが、ご主人様の声を聞いた最後だった。 いくら声を上げてみても反応がないので、天井を開いてみた。箱から身を乗り出してみると、そこは見たことがない場所だった。 一言でいうと、大きな夜の公園。街頭が周囲を照らし、人の姿がいくつか見え、中央の光を放つ大きな噴水と、その手前のステージ施設が印象的だった。どういうことなんだろう。私は、少し混乱していた。木枯らしが肌寒い。震えると、首の鈴がちりんと鳴った。「あなた、捨てられたのね」 背後から突然かかった声に驚いて振り向く。そこにいたのは、一人の少女だった。 すらりとしたボディを黒のワンピースに包み、綺麗な短い黒髪を持つ、端正な顔立ち。クールビューティーという言葉がよく似合う。「捨てられた……? 誰が?」 最初、彼女の言っていることが理解できなかった。いや、理解はしてしまったのだけど心の奥底で否定したかったのかもしれない。「あなたよ」 彼女は、淡々とそう言った。彼女の言葉を聞いたら、ふいに涙が頬を伝った。手の甲で拭いながら、私は訊いた。「あなたは誰?」「私はクロ。来なさい。今日は夜会があるから」 クロと名乗った少女は、そう言うと歩き出した。私もどうしたらいいのか分からないので、後を付いていく。 しばらく公園内を歩いていくと、ライ
Last Updated : 2026-07-16 Read more