「今晩は。今日は独り?」「ええ。考え事をしたかったので、別行動で」 教会に招き入れられた私は、参列席にまりあさんと並んで座り、歌の作成を願い出て受けたこと、二人の個性が両極端で上手く噛み合わず悩んでいることを打ち明けた。 私の話に耳を傾けていたまりあさんが、私に問いかけた。「これは私の想像なのだけど、あなたはアメリさんと一緒に歌の場に立ちたいから、歌を創ろうとしているのじゃない?」 私は口から心臓が飛び出しそうになった。まったく、まりあさんは何でもお見通しだ。私は赤面しながら一言、「はい」と答えた。「ねえ。あの二人歌の場に立ちたいのは、あなただけではないのではないかしら。二人とあなたの関係から、発想を一歩飛躍させてみてはどう?」 思わず、あっと叫んで立ち上がってしまった。夕方の、子供たちの歌真似合唱がフラッシュバックする。それに、お馴染みミケ、夜会の聴衆。色んな猫が、歌姫と一緒に歌いたいのだ。私は、自分の願望ばかりが先行して、こんな基本的なことがお留守になっていることに気付かされた。「まりあさん、ありがとうございます!」「何か大事なことに気づけたみたいね。よかったわ。頭を上げてちょうだい」 深々と礼をする私に、まりあさんが言う。「二人の個性のぶつかり合いも解決できそう?」「はい! そっちの方も何とかなりそうです。失礼します。ありがとうございました!」 私はもう一度まりあさんに深く礼をすると、家路を急いだ。「お帰りカンナ! どうだった?」 帰宅すると、居間でストレッチしていたアメリが飛びついてきて、お帰りのキスをしてきた。「ただいま。手応えあったわよ。アメリたちはどう?」「相変わらず順調だよ。そうだ、ご飯にしよう。カンナ待ってたから、お腹ペコペコだよ。カレー、温め直すね」 そう言って、アメリは寸胴鍋の乗ったコンロに火を点ける。カレーが温まるまでの間、明日の予定について話すことにした。「え、明日も一緒に行かないの?」「ごめんなさい。新譜を書き上げるまでは、『ライジング・バード』の影響を受けたくないの。もちろん、他の歌も。だから、しばらく家で歌の執筆をすることになると思う」 目に見えてしょんぼりとするアメリ。私は、アメリの頭を撫でてなだめた。そうこうしていると、カレーのいい匂いが漂ってくる。「さ、ご飯にしましょ」 私は、カレ
Last Updated : 2026-07-16 Read more