「三日森、ちょっと相談したいことがあるんだ。ここだとなんだし、屋上まで来てくれないか?」 放課後、そう言って僕の予定を狂わせたのは滝沢だった。 いつになく真剣な顔した友人を無碍にもできず、僕は月子と話すことをあきらめて、滝沢の後について屋上まで足を運んだ。 明るく幅の広いモダン建築の階段を上ると両開きのガラス扉が見えてくる。そこを開けばプランターに色とりどりの花が植えられた生徒たちの憩いの場が広がっているのだが……「暑い……」「そ、そうだな」 僕の隣で顔をしかめる滝沢。今は半日授業なので日差しも強く、とても外に出る気がしない。 とりあえず予定を変更してガラス扉を閉めると、回れ右をして空調の効いた踊り場で話を聞くことにした。ちょうど長イスまで置いてあって雑談するにはちょうどいい。「それで滝沢、相談ってなんなんだ?」「う、うん、それなんだが……」 滝沢はこちらに顔を向けることもなく、なにやら言いにくそうにしている。急かす必要もないので、僕は気長に待つことにした。 我が校の全館冷暖房完備の謳い文句はダテではなく、こんな屋上の出入り口ですら快適だ。両開きとなったガラス扉の向こうには目映い光に照らし出された屋上が別世界のように広がっているが、こうして眺めている分にはむしろ心地良い。遠くから響くセミの声も、ここでは子守唄のようなものだ。 壁に視線を移せば大きなボードに様々なポスターやプリントが貼り出されている。中には壁新聞もあって、都市伝説も同然の屋根の上に現れるマッチョ男がどうのこうのというくだらない記事もあった。 それにも見飽きて、だんだん退屈し始めた頃、ようやく滝沢は口を開いた。「三日森、お前って月子さんと仲がいいよな」「……て、またその話かい?」「いや、そういう意味じゃなくてさ」「じゃあ、どういう意味?」「俺よりは仲がいいってことさ」「まあ……自惚れじゃないなら、友だち程度には思
Last Updated : 2026-07-28 Read more