「みんな、お客さんよ」 たっぷりあったゴールデンウイークは瞬く間に終わり、日常が戻ってきた。 まだまだ休みボケが抜けきらないまま仕事をしていた私たちに向けて小津骨さんが声を張り上げる。 小津骨さんの隣には見たことのない男の人が立っていた。 ひと目見た印象としては普通の人。 年は私より若くて、結城ちゃんと同じ二十代前半くらいかな? 光の加減によって金髪にも見えるくらい明るい髪色の真藤くんとは対照的で、黒髪の落ち着いた印象を受ける人だった。「はじめまして。瀬田巽といいます」 瀬田と名乗ったその人は、静かに頭を下げた。「瀬田さんは雪蔭神社の神主さんで、怪異の対処についても詳しい方なの。今日は瀬田さんに怪異への対処の仕方を教えていただきますからね」 テキパキと説明をする小津骨さんの隣で彫像のように静かに佇んでいる瀬田さん。 彼の周り、半径一メートルくらいの空間だけ空気が違っているように見える。 二十代前半にしてはずいぶん落ち着いた雰囲気にも見えるし、彼からマイナスイオンでも出ているんじゃないだろうか。 ……なんて考えていたらお昼を告げるチャイムが爆音で鳴り響いた。 これにはさすがの瀬田さんも驚いたようで、わずかに目を見開いて天井に視線を移した。「毎日この音量で鳴ってるんですか?」「そうなんです。驚かれましたよね」「まあ、少し。もし良かったら僕に見させてもらえますか? 直せるかもしれません」 瀬田さんって機械の修理までできるの!? 車の運転でドヤ顔をしているうちのチャラ男にも見習ってほしいな。 真藤くんをちらりと横目で見てみると、私の心の声が聞こえてしまったのかちょっと不機嫌そうにこちらを睨みつけているじゃないか。 いや、私越しに瀬田さんを睨んでいる……? 小津骨さんは着信があったらしく、スマホを耳に当てながら小走りで廊下へ出て行って
Last Updated : 2026-09-19 Read more