大晦日、妹のららがかくれんぼをしようと、しきりに私にせがんできた。私、三浦琴葉(みうら ことは)は両手で目を覆い、30まで数え終えた。その瞬間、頭の中の消しゴムがまた動き出した。私はしばらくその場に立ち尽くしたあと、家に戻ってテレビを見始めた。1時間後、母の三浦桂子(みうら けいこ)が私の前にしゃがみ込んだ。「琴葉、妹はどこにいるの?」妹?私は目を瞬かせた。「私に妹なんていないよ?」母の表情が一瞬で変わった。みんな年越しそばにも手をつけず、大雪の中へ飛び出していった。けれど、どれだけ捜しても妹は見つからなかった。母は目を真っ赤にして、私に平手を振り上げた。「妹から目を離さず、ちゃんと一緒に遊んであげなさいって言ったでしょう!ららはどこに行ったの!どっちへ行ったのか、早く言いなさい!」私は突き飛ばされ、雪の上に倒れ込んだ。「どうしていなくなったのが、あんたみたいな馬鹿な子じゃないのよ!どうせ何も覚えていられないくせに!今度は妹を忘れた。次は何?私とお父さんまで忘れるつもりなの!」母はさらに殴りかかろうとしたが、父の三浦正志(みうら まさし)に止められた。二人はずっと泣いていた。私も胸が苦しかった。そうだよね……どうしていなくなったのが、こんな馬鹿な私じゃなかったんだろう。母の手は、私の頬まであとわずかというところで、父に強くつかまれた。「もうやめろ!」父の声はかすれていた。「琴葉は病気なんだ。病気なんだぞ、分かってるのか?」「病気だからこそ、妹を連れて家から一歩も出るなって言ったのよ!」母は父の手を振りほどいたが、もう私に近づいてはこなかった。ただ、真っ赤に充血した目で私を睨みつけていた。「あの子はまだ4歳なのよ……こんな大雪の中、いったいどこへ行けるっていうの!」4歳?口を開こうとしたのに、声が出なかった。妹って、あの子のこと?あの子が4歳なの?でも、本当に何も思い出せない。さっきテレビで再放送されていた大晦日のバラエティ番組のコントと、今も空から舞い落ちている雪しか、頭の中には残っていなかった。騒ぎを聞きつけ、近所の人たちも集まってきた。「もう一度よく捜そう。そんな遠くまでは行ってないはずだ。仲のいい子の家に行ってるんじゃない
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