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第4話

Penulis: うとうと独り言
神社の元旦祭が始まった。

宮司が祝詞を奏上し、氏子の代表が玉串を捧げた。集まった人々も、静かに頭を下げた。

母もどこか上の空のまま、頭を下げた。

元旦祭が終わると、境内では新年を祝う太鼓の準備が始まった。やがて宮司が大太鼓の前に立ち、撥を構えた。

太鼓を打ち鳴らそうとした、そのときだった。

「待って!」

母が突然叫んだ。

全員の視線が母に集まった。

「うちの琴葉がまだ来てないの」

母の声は少しかすれていた。

「こんな大事な行事なんだから、家族全員そろわないと」

私は目を細めた。

やっぱり、お母さんは私のことを気にかけてくれていたんだ。

「境内のどこかで見てるんじゃないか?先に太鼓を鳴らそう。いつまでも待っているわけにはいかない」

「でも……」

「ママ」

妹が突然、母の服の裾を引いた。

そしてもう片方の手で、少し離れたところにある、雪に半分埋もれた浅いくぼみを指さした。

「お姉ちゃん、昨日……あそこにいたんじゃないの?」

母は妹の指先を追って、そちらを見た。

くぼみの底に、何かが見えていた。

父もそれに気づいた。

眉をひそめながら近づき、表面に積もった薄い雪を払いのけた。

そこにあったのは、昨夜、私が脱いだセーターと上着だった。

どちらも凍りつき、硬くなっていた。

父の手が宙で止まった。

母もそばまで歩いてきた。

母はその服をしばらく見つめたあと、勢いよく顔を上げ、辺りを見回した。

見渡す限り真っ白な雪原が広がり、人影はどこにもなかった。

妹は手の中のボタンの目をぎゅっと握りしめ、小さな声で尋ねた。

「お姉ちゃん、服を脱いで……寒くなかったの?」

父は私のセーターを持ち上げたまま、動かなかった。

「こんなところに服を捨てて、どういうつもりなの?同情を引こうとしてるの?」

母は父のもとへ歩み寄ると、セーターを奪い取り、強く振った。

細かな氷の粒が、ぱらぱらと地面に落ちた。

「ここに服を置いておけば、私たちが心配するとでも思ったの?必死になって捜し回るとでも?冗談じゃないわ!凍え死んだって自業自得よ!本当に手のかかる子なんだから!」

けれど、父の顔からは血の気が引いていた。

「琴葉は昨夜……ずっとここにいたんじゃないのか?」

母の手が一瞬止まった。

けれどすぐに、さっきより強くセーターを地面へ叩きつけた。

「芝居よ!絶対に同情を引くための芝居よ!私たちを心配させて、昨日叱ったことを後悔させたいだけ!今頃、どこかの家で暖まりながら、私たちが慌てるのを笑って見てるに決まってるわ!」

妹は母の手を振りほどき、くぼみのそばへ走っていった。

父の真似をして、小さな手で雪を掘り始める。

すると突然、雪の中から小さなものを掘り出した。

私の髪ゴムだった。

妹は凍えて赤くなった手のひらに、髪ゴムとボタンの目を並べて載せた。

それから母と父を交互に見上げた。

「お姉ちゃんの」

母は髪ゴムをひったくるように受け取った。

指先に力が入り、白くなっていた。

周りにいた近所の人たちも、何かがおかしいと気づき、集まってきた。

「服だけがここにあって、本人はいないのか?昨日の夜から帰ってないの?」

「こんな寒さの中、肌着一枚でどこへ行けるんだ。まさか……」

「変なことを言わないで!」

母が勢いよく遮った。

「あの子がどうにかなってるはずないでしょう!全部わざとやってるの!」

けれど、私には見えていた。

母の手が震えていた。

父はもう何も言わず、御神木の周りを捜し始めた。

近所の人たちも、ただ事ではないと感じたのか、辺りを捜し始めた。

妹は母に抱き上げられたまま、小さな声で尋ねた。

「お姉ちゃんも隠れたの?昨日のららみたいに、あの穴の中に隠れたの?」

母にもその言葉が聞こえた。

母は突然、その場で動きを止めた。

視線がゆっくりと、くぼみの中へ向けられる。

「琴葉……私を驚かせないで。騙してたって分かったら、本当に許さないから!」

そう言いながらも、母は妹を下ろした。

一歩ずつ、くぼみへ近づいていく。

そして、素手で雪を掻き始めた。

「私たちを騙してたら、もうあんたなんか娘じゃないから!私たちのことなんて、全部忘れてしまえばいい……」

言い終える前に、雪の下からピンク色の長袖シャツが現れた。

そして……

次に見えたのは、私の顔だった。

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