All Chapters of 王様!ちょっと待ってください!: Chapter 21 - Chapter 23

23 Chapters

第9話 神官長の罠?それとも救済?浄化儀式の誘い!②

 ――― 異世界 王宮 執務室(夜)――― レオンは、一人窓の外を見つめていた。 月明かりが、彼の横顔を照らしている。 しかし、その表情はいつになく険しかった。 シグルは彼の後ろで息を潜め、王の決断を静かに待っていた。「シグル」「はい」 レオンは窓から目を離さず問う。「お前は、どう思う」 レオンの問いに、シグルは慎重に答えた。「……神官長の懸念は、理解できます」「そうか」 レオンの声は、どこか疲れているように聞こえた。「ただ……」 シグルは言葉を選んだ。 一瞬、躊躇するような間があった。「創造神を『異質なもの』と呼ぶことには、抵抗があります」 レオンは小さく笑った。「お前は、カヤを信じているんだな」「もちろんです」 シグルは即答した。 その声には、一点の迷いもない。「陛下を、ここまで導いてくださった方です。私は、カヤ様を信じております」 レオンは、窓の外に広がる星空を見上げた。 無数の星が、静かに瞬いている。(カヤ……お前は、どう思う?) レオンは目を閉じ、心の中でカヤに語りかけた。 レオンは、息を止めて数秒待った。 やがて——由奈の声が響いた。『……うん、聞こえる』 レオンの肩から、わずかに力が抜けた。(神官長が、お前のことを「異質なもの」だと言っている)『……そうだね』 由奈の声は、少し震えていた。 不安と、何か決意のようなものが混じっている。(浄化儀式、というものを提案された。お前はどう思う?) 由奈は、しばらく黙っていた。 レオンは、その沈黙を待った。 彼の手が、無意識に窓枠を握りしめている。 やがて、由奈の声が聞こえた。『……王様。浄化儀式受けて』(何?) 思いもしない返答に、レオンの眉が上がった。『ここで拒否したら、きっと神殿が敵に回る。セレスからの信頼も失って、民衆もあなたを恐れるようになる』 由奈の声は必死だった。 まるで、何かから守ろうとするような強い意志が感じられた。『こういう場合、そういう展開になりやすい。特に国を担う人が浄化を拒否すると、「悪神」と揶揄《やゆ》されて、味方が次々と離れていくわ』 レオンの表情が、複雑に歪んだ。(だが……)『お願い、信じて。この先の事は大体読めてる』 由奈は続けた。 その声は震えながらも、どこか確信
last updateLast Updated : 2026-09-10
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第10話 戦場無敵王の会話壊滅を回避せよ!①

 ――― 王宮 執務室―――  浄化儀式の日程が決まったその日、レオンにはもう一つの予定があった。 シグルが、予定表を手に尋ねた。「陛下、準備はよろしいですか」「……ああ」  レオンは、明らかに気が重そうだった。 その表情は、まるで戦場に向かう前のような——いや、戦場よりも緊張しているような表情だった。「リディア様との、初めての散策でございます」「わかっている」  レオンは小さくため息をついたつもりだったが、シグルには大きなため息に聞こえた。 シグルは、その様子を見て眉をひそめた。「陛下……あの、大丈夫ですか?」「……何がだ」「いえ、その……昨夜から、執務室で何度も独り言を言っておられたと聞きまして」「独り言?」「はい。『散策とは何だ』『会話を楽しむとは』『花について何を言えばいい』と……廊下まで聞こえていたそうです」「なっ……」 苦笑いを浮かべたシグルの言葉に、レオンはわずかに顔を赤くした。「……そうか、聞こえていたか」 レオンは、昨夜から悩んでいた。 戦術会議なら得意だ。 戦場なら、敵の動向が読めれば、自分の感覚を信じて剣を振るえばいい。 敵が100人いようが、1000人いようが、剣を振るえば解決する。 しかし――(「散策」で「会話を楽しむ」とは、一体どういうことなのか? 剣では解決できない……!) レオンの頭の中は、混乱していた。 シグルは、レオンの緊張した横顔を見て恐る恐る聞いてみる。「陛下。念のため、お聞きしますが……『散策』の意味は、ご理解されていますか?」「当然だ」 レオンは、即答した。「庭を歩くことだろう」「はい。それで、その間に?」「……歩く」「他には?」「景色を、見る?」 レオンの非常に自信のない返答にシグルは、深く息をついた。(やはり、何もわかっていない……!)「陛下。散策とは、お相手と会話を楽しみながら、親睦を深める時間でございます」「会話……」 レオンは、重々しく呟いた。 まるで『戦争』という言葉を聞いたかのような重さだった。「はい。リディア様のお話を聞いたり、陛下のことをお話ししたり……」「俺のことを? 何を話せばいい?」「例えば、陛下のお好きなものとか……」「好きなもの……」 レオンは、腕を組み真剣に考え込んだ。「……剣だな」「他には?」「
last updateLast Updated : 2026-09-12
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第10話 戦場無敵王の会話壊滅を回避せよ!②

 ――― 王宮 中庭 ――― レオンは、心の中でカヤに呼びかけた。『カヤ! 助けてくれ! 何を話せばいい!?』 その声は、まるで戦場で援軍を求めるような——いや、それ以上に切実だった。 しかし、レオンはハッとして足を止めた。(待て。約束では、カヤと話す時は私室か執務室のみ……) レオンは、後方のシグルに視線を送った。 シグルは、レオンの視線に気づきすぐに理解した。(陛下、もしかしてカヤ様と話したいのか?) シグルはわずかに頷いた。 そして、音を立てないように静かに、レオンのそばへ歩み寄った。「陛下」 シグルは声を落として呼びかけた。「どうぞ、遠慮なく。私が周囲に気を配ります」 レオンはすぐには答えなかった。 答える代わりに、シグルをじっと見つめた。「約束を破ることになる」「緊急事態です」 ためらいが混じった、低く絞り出したような声に、シグルは小さく笑った。「それに陛下のその表情を見れば、誰でも助けたくなります」 レオンは、少し顔を赤くした。「……感謝する」 シグルは、リディアの方に向き直った。「リディア様、少々お待ちください。陛下が庭園の様子を確認されております」「ええ、構いません」 リディアは、優雅に頷いた。 エルザは、その様子を鋭い目で観察していた。(陛下とシグル様……何か、話している?) 一方レオンは、シグルの配慮に感謝しながら、カヤに呼びかけた。『カヤ、頼む。助けてくれ……何を話せばいい?』 *** ――― 現実世界 小林家 リビング(同時刻)――― 由奈は、スマホを握りしめていた。 その時、小説の更新通知が来た。
last updateLast Updated : 2026-09-13
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