転勤で遠距離恋愛になってから、私・荻原優奈(おぎわら ゆうな)は毎月必ず八木真司(やぎ しんじ)からのプレゼントがもらえる。中身は事前に教えてくれないから、まさに「ブラインドボックス」。こういう「サプライズ」は確かに会えない寂しさを埋めてくれた。どんなに長い遠距離恋愛だって、きっと乗り切ってみせる。私はそう確信できた。2年前のある日、真司がこのように約束をした。「家の会社を継いだら、必ず君を迎えに行くよ。その時は、誰にも遠慮することなく、堂々と俺の側にいてほしい」彼のこの言葉を信じる私は遠く離れた都市で、期待に胸をどきめかして、寂しい日々を一人で過ごしてきた。こうして、今月分のブラインドボックスが届いた。それを開ける瞬間、私は今までにない一番のサプライズに襲われた。中に入っていたのは、一枚の航空券。東都行きで、ファーストクラスだった。飛行機の中で、嬉しさを隠しきれずにいる私を見て、隣の席の女の子がくすっと笑う。彼女の名前は葵絵里(あおい えり)らしい。彼女は無邪気な笑顔で、婚約者とのツーショット写真を私に見せながら、幸せそうに言った。「あと三日で、私たちは結婚するんですよ」そのスマホ画面に映るウェディングフォトを目にした瞬間、大切そうに搭乗券を撫でていた私の指が、ぴたりと止まった。その写真に写る男性は、私が会いに行こうとしていたその人だった。喜びは、一瞬にして愕然へと変わった。私はスマホを強く握りしめ、真司とのツーショット写真を隠した。あのウェディングフォトの前では、ロック画面に映る私たちのツーショット写真は、まるで私たちの恋そのもののように、絶対に見せてはいけないものだ。空港に着いてから、真司の会社のビルの前に着くまで、私は何度も彼に連絡を入れてみたが、一度もつながらなかった。受付の女性は私のスーツケースを意味ありげに一瞥すると、丁寧な口調に蔑みをにじませながら言った。「すみません、社長のオフィスはホテルでもあるまいし、どなたでも勝手にお入りいただける場所ではありません」スマホからは、相変わらず機械的な「おつなぎできません」というアナウンスが流れ続ける。その言葉に胸を刺され、私は一瞬言葉を失った。事情を説明しようと口を開きかけたその時、背後から、どこか困ったようで、それ
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