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39 Capítulos

episode20

翌朝、朝食を六人でとっていると、チャイムが"ピンポーン"と鳴らされた。インターフォンを確認すると、白田と黒川が立っていた。美幸がパタパタと玄関へと向かうと、二人が「おはようございます」と言って入って来た。「翔汰達はもう起きていますか?」「はい。今は朝食を食べてますよ」「コーヒー飲みますか?」と尋ねると、二人共「いただきます」と言ってリビングのソファーへと腰掛けた。「黒川さんも一緒にいると言う事は......」「お察しの通り、私は美幸と翔汰の迎えに来ました。先方が撮影前に一度お会いしたいと仰っているので」「な、なる程......」「そう固くならなくて大丈夫ですよ。......ちょっと変わった人らしいのですが......」"変わった人"と言う発言に美幸は少し不安になるが、黒川の"大丈夫"と言う言葉を信じる事にした。「あ、あの今更なんですけど......」「?なんでしょう?」「モデルって一体なんのモデルなんでしょうか?」美幸がそう言うと、みそ汁を飲んでいた翔汰がみそ汁を吹き出しそうになった。ゴホッゴホッとむせて、落ち着きを取り戻すと、翔汰は大声で美幸を責め立てた。「お、お前!何も知らないで仕事受けたんかよ!信じらんねー!!」「そ、そこまで言わなくてもいいでしょう!」「そうですよ翔汰。私も"モデル"としか言わなかったのがいけなかったんですから」黒川はそう言うと、コーヒーカップをテーブルに置き、美幸を見やった。「今回は香水のイメージモデルです。男性の色気と魅力を引き立たせると言うモチーフだそうです」「い、色気、ですか?」「はい。色気です」美幸は急にやれるか心配になった。自分に色気があるとは思えない。そう感じたからだ。「美幸。ビビってんじゃねーよ。安心しろ。オレがお前の色気を引き出してやるよ」翔汰はそう言うとニヤリと笑った。「と、言う訳です。大丈夫。翔汰に任せておけば自然と世界に入り込めます」「翔汰は他人の魅力を引き出すのに長けていますから」黒川はそう言うと残りのコーヒーを飲み干した。そうしている間に全員がちょを食べ終えた。「さぁさ、皆さん!今日も楽しいお仕事が待っていますよ!」白田がそう言うと全員が動き始める。今日も今日とて、美幸にとって目新しい一日が始まる。
last updateÚltima actualización : 2026-08-12
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episode21

美幸は翔汰と共に、黒川に連れられてとあるビルへとやって来た。コスメに疎い美幸でも分かるコスメブランドだ。名前は"virtus"。女性層だけでなく男性層にも人気の高いブランドである。「今日はこちらで顔合わせとなっております。翔汰、くれぐれも先方に失礼の無いように」「......なんでオレだけなんだよ」「美幸さんにはそう言った心配は無いので。......でもそうですね......美幸さんはもう少し自信を持った方が良いかもですね」「自信......ですか」美幸はそう呟くと、一瞬目を閉じて深呼吸をする。そして目を開けると、顔つきが少し凛々しくなったように見て取れた黒川であった。「良い顔つきになりましたね、美幸さん。その調子で顔合わせよろしくお願いしますね?」「それじゃあ行きますよ、二人共」そうして黒川の後ろについて美幸と翔汰の2人もビルへと入って行く。そして受付に行くと受付嬢に、約束を取り付けている事を伝える。「すみません。本日時よりデザイナーの森様とお約束させて頂いている"persicum"の黒川と申します。」「黒川様ですね。......確認致しました。三階会議室で森はお待ちしております」「エレベーターで上がって左手の部屋になります」と案内され、三人は会議室へと向かった。そしてたどり着くと、部屋の扉をノックする。すると中から「どうぞ」と返答があった。部屋に入るとそこにいたのは、長い髪を一括りにした男性であった。「初めましてぇ。デザイナーの森 花太郎よ。よろしくねん♡」「は、初めまして。persicumの黒川です。こちらの二人はモデルの赤羽と桃瀬です」「んー、なかなかいいじゃない?赤羽チャンはイケイケな感じだし」「赤羽"チャン"?!」「桃瀬チャンは清楚かつエレガントな感じで......。うん。二人共合格よ!よろしくねん!」森はそう言うと、「三人共そちらにおかけになって?」と席に着くよう勧めた。そして三人が席に着くと、商品の詳細が書かれたプレゼンの資料を渡された。「二人共、今回の香水のイメージにピッタリなのよね。香りは2種類。情熱的な雰囲気を出すウッディ系とエレガントで大人っぽいオリエンタル系。この2つが絡み合う様なセクシーな広告にして欲しいのよ!」「悪くねぇな。思いっきしエロい雰囲気出してやるよ。な?美幸!」「エ、エロって.....
last updateÚltima actualización : 2026-08-13
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episode22

「お二人共、お疲れ様でした。これで後は撮影の日を迎えるのみです。翔汰はこれからレッスンがあるので事務所へ。......そうだ。なんなら美幸さんも見学に来ますか?」「え?い、良いんですか?」「お!良いじゃねぇか!美幸が来たとなればアイツらもヤル気出すぞ(笑)」「えっと......じゃあ何か差し入れを持っていきたいのですが......。」「翔汰さん何が良いですか?」と美幸が尋ねると翔汰は暫く考え、「甘いもんかなぁ。体力使ってっし」と答えた。休憩の合間に手軽に食べられる甘い物......。と考えていると、黒川が声をかけてきた。「でしたらドーナツはどうでしょう?人気の店がこの近くにありますよ」ドーナツか。フム。それなら皆喜んでくれるだろう。そう美幸は考えると、黒川に「そこに向かって貰えますか?」とお願いする。すると美幸の隣で翔汰がルンルン気分になっていた。どうやら"甘い物"と言ったのは自分が食べたいだけのようだ。「翔汰さん。オレ、まだ皆さんの好みが把握出来ていないので翔汰さんに選んで貰っても良いですか?」「!仕方ねぇなぁ!オレに任せろ!」何ともまぁ、扱いやすい人だろう。美幸は勿論、黒川も同じ感想を抱いた。そしてドーナツ店の近くのパーキングに車を停めドーナツ店へと向かった。平日ではあるが、そこそこ列が出来ている。「土日はもっと並ぶらしいですよ」黒川の言葉に翔汰は「うげぇ」と声を漏らした。「翔汰、貴方が選ぶと了承したんでしょう?大人しく列に並びなさい」「......お前らは良いよな。帽子もマスクもしなくて良いんだからよ」「仕方ないでしょう。貴方はオーラが凄いんですから帽子とマスクをしていないと騒ぎになります」「......それでも、コッチをチラチラ見ている人はいますけどね......」それはそうだ。翔汰だけでなく、黒川もスーツを着こなし、大人の男と言う雰囲気を醸し出しているし、美幸もイメチェンのお陰もあり美形の部類に入る。そんなイケメン三人組がドーナツ店に並んでいるのだ。目立たない訳がない。そうこうしている間に順番が美幸達に回って来た。翔汰は並んでいるドーナツの中からメンバーの分、美幸の分、黒川、白田、喜子の分を注文した。黒川は財布を取り出そうとしたが、美幸がそれを阻止した。「差し入れをしたいと言ったのはオレです。だからオレに出させて下さい」
last updateÚltima actualización : 2026-08-14
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episode23

差し入れを持ち事務所のレッスンスタジオに着いた三人はレッスン部屋の中へと入って行った。そこでは翔汰を除いたメンバーの四人とマネージャーの白田、そして丁度様子を見に来ていた喜子が揃っていた。美幸達が入って来たのに一早く気が付いた澪里が、「ヨシくーん!」と抱きついてきた。「どうしたの、こんな所に!あっ、打ち合わせご苦労さま!」「ふふっ。ありがとうございます。これ差し入れです」「わっ!ここのドーナツ食べてみたかったんだぁ!ありがとう!」「わざわざすみません」「いえいえ!皆さん頑張ってらっしゃるので、これくらいさせて下さい」皆はレッスンを中断すると美幸達の元へとやって来て一つずつ取っていった。「姉さんと白田さんも。良ければ」「あら、良いの?」「僕まで良いんですか?」「人数分あるので。食べないと翔汰さんが食べちゃいますよ?」「おい。なんでオレなんだよ?!」翔汰がそう反論するとその場の全員が笑い出した。「ホラホラ。皆食べたらレッスン再開するわよ。翔汰は着替えてらっしゃい」「ウィッス」翔汰は残りの一口のドーナツを口に放り入れると着替えをしに一度スタジオを後にした。「ねーねー、打ち合わせどーだったー?」「......変わった人でしたね......。あはは」美幸は森を思い浮かべると乾いた笑いを漏らした。「でも、森氏はこの道では有名なデザイナーだからね。私の最大限のコネを使ってモデルの仕事をウチに持って来たのよ」「コネ?」「森氏......花ちゃんは私の高校の頃からの同級生なの。結構仲良かったのよ?」喜子の"花ちゃん"呼びに、会っていないメンバーはあまりピンと来ていなかったが、美幸と黒川は「あぁ......花ちゃん......」と何故か納得してしまった。「でも花ちゃんはこだわりが強いからモデルを見る目はなかなか厳しいってもっぱら噂だったのよ?それを一度会っただけで......。やっぱりウチの子達は優秀ね!」「撮影には私も同席するから」と喜子が言った時、着替え終えた翔汰が戻って来た。「それじゃあ、レッスンを再開しましょう。美幸は見学するならコッチに座りなさい」初めて見るアイドルのダンスレッスンに美幸は興奮を隠せず、食い気味に見学するのであった。
last updateÚltima actualización : 2026-08-15
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episode24

あれから一時間程経った頃、そろそろ夕飯の買い出しにも行かなければいけないので、美幸はお暇する事にした。「姉さん、オレそろそろ......」「ん?帰る?」「うん。買い物に行かないといけないから」「そう......。分かったわ。皆ー!美幸帰るわよー!」別に言わなくてもいいのに......。そう思っていると五人は一斉に美幸の元へと集まって来た。「もう帰ってしまうんですか?」「寂しー」「すみません。夕飯の買い出しがあるので......」「オムライス!僕オムライスが食べたい!」オムライスか......簡単に出来るしいいかもしれない。「分かりました。では夕飯はオムライスにしましょう。シーザーサラダも作るのでお野菜も食べて下さいね?澪里さん?」「グッ......。ヨシ君は騙せないのね......」「それでは失礼します。レッスン、見学させて下さりありがとうございました!凄く楽しかったです!」今までにない程子供っぽい笑みを浮かべた美幸に、五人はぽわぽわした気持ちになった。「黒川、美幸の事家まで...あ、でもどうせなら荷物持ちしてもらおうかしら?」「いや、姉さん!悪いって!」「大丈夫ですよ。私は今、担当しているタレントはいないので。」「あ!そ・れ・な・ら...」喜子は急にニヤニヤとし始め何かを企んでいるようだった。いけない。これはいけないぞ......。「ね、姉さ......」「黒川君!貴方に美幸のマネージャーを命じます!」「え?!マネージャーって......オレ、モデルしか了承してないよ?!」「いえ......。私の予感......。この仕事が上手くいくと貴方にも仕事が入ってくる!そしたら貴方も私の事務所のタレントとして所属してもらうわ!」......そんなに上手くいくのだろうか。そう考えていたのが顔に出ていたようで、喜子は美幸の肩をポンと叩くと、グッと親指を立て「大丈夫!」と言った。「あの花ちゃんからのお墨付きも貰ったし、今回の広告は大きな物にもなるから......」「あれ?黒川さんからは"ちょい出"みたいな事を聞いてたんだけど......」「そうですよ社長。だから私は美幸さんに話しを持っていったのに......」美幸と黒川の言葉を喜子は目を閉じて聞いていた。そして"カッ"と目を開くと、「だって本当の事言ったら二人共反対す
last updateÚltima actualización : 2026-08-16
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episode25

もうレッスンどころではなくなってしまった。喜子と美幸は事務所のテーブルで向かいあって座っていた。そしてテーブルの上に置かれた紙。そこに書かれていたのは"契約書"の文字。「さぁ、美幸。あとは貴方がサインをするだけ。逃げる事は許さないわよ」「......姉さん。なんの取り柄もないオレがタレントになるなんて無理だよ」「大丈夫よ。最初からテレビに出ろとは言わない。まずはモデルから始めていってくれれば......」「そのモデルも!オレには荷が重いんだって!」「LUMINOUSの家事手伝いだから、その仕事を受けただけ!」と言うと、喜子は「実はね......」と話し始めた。「花ちゃんから連絡があったのよ」たしかにレッスン見学中に喜子は一度席を外していた。「花ちゃんが貴方を見た瞬間、新作コスメのデザインを思いついたらしくてね。貴方に"virtus"のモデルになってくれないかと打診があったのよ。......まぁ、まだ撮影はしてないから貴方の実力は分からないけれど......。花ちゃんは凛とした姿に見惚れたらしいの」「どうかしら?チャレンジだけでもしてみない??」美幸はどうも喜子のお願いには弱いらしい。「本名でやるのは嫌だよ」「!!じゃあ......!」「あ・く・ま・で!仮契約ならしてあげる」「良いわよ!きっとモデルの仕事、貴方なら楽しめると思うの!」「仮契約用の書類に作り直すわね!」と喜子はデスクに向かった。「美幸!良く決断したな!」「僕らとも仕事出来そうですね」「美幸。身体作りならオレを頼ってくれて構わない」「サト君どーせプロテインの布教でしょう?」「あのー、話しの腰を折ってゴメンなんだけどー」聖がそう発言すると皆が「なんだなんだ?」と聖に注目した。「本名が嫌なら芸名?はどーするのー?」「あっ」と全員が固まった。誰もそこまでは考えていなかったらしい。「決まってないならさー、オレ、良いの思いついたんだけどー」「え?!なになに?!」「白田さーん、紙とペン貸してー」と言うと、聖は白田が持ってきた紙にペンをスラスラと走らせた。「"美幸"って、"みゆき"とも読むじゃん?だからさー」聖はペンを置くと紙を掲げ、「"MIYUKI"とかどーかなー?」と提案してきた。
last updateÚltima actualización : 2026-08-17
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episode26

さて、とうとう来ました撮影日。美幸は"MIYUKI"としての初仕事だ。美幸は緊張して固くなっていると、それに気がついた翔汰が美幸の頬を両手で挟んで自分の方へと向けさせると真剣な眼差しで見てきた。「美幸。いや、ここでは"MIYUKI"と呼ぶ。仕事を受けた以上、オレ達はプロとして仕事をこなさなきゃならねぇ。周りの人間なんて見なくていい。お前が見るのは"カメラ"とこの"オレ"だけだ。大丈夫。オレがお前の魅力を最大限に引き出してやるよ」「......翔汰さん」「翔汰、MIYUKI。そろそろメイクに入って欲しいそうですよ」「分かった」「ハイ」美幸は人生初のメイクを施される。メガネを取られるとコンタクトをはめられた。そしてどんどんとメイクをされていくと、まるで自分が自分ではないように感じた。そして衣装へと着替える。美幸は白いシャツに白いパンツ。翔汰は黒いシャツに黒いパンツと真逆の衣装になっていた。「お!良いじゃねぇか。......ボタンもう1個外せ」「あ、ハイ」「うっし、カンペキだな。それじゃあ行こうぜ?」美幸は翔汰に手を引かれスタジオへと出て行った。二人の様子を見ていた黒川はそのまま二人の元へと行き、「挨拶に行きます。」と声をかけ、二人を引き連れ森とカメラマンの元へと向かって行った。「お待たせ致しました。persicumの赤羽とMIYUKIです。本日はよろしくお願い致します。」「あら?桃ちゃんもしかして芸名つけたの?」「ハイ。まぁ、まずはモデルからって姉に押し切られて......」「よっちゃんらしいわ。うん。良い顔してるじゃない。あまり力まずに自然な貴方を見せて頂戴な」......"自然な自分"......そう言われると何かがストンと落ちたような気がした。「ハァハァ......まだ始まってない?!」「あらよっちゃん。えぇ、これからよ」「よっし、ギリギリセーフ!翔汰!MIYUKI!リラックスしてね!」「おう!」「ハイ」「それじゃあ撮影開始しまーす!」そう言うと照明が美幸達を照らした。
last updateÚltima actualización : 2026-08-18
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episode27

撮影が始まってからは怒涛の勢いで、緊張などしている暇が無かった。翔汰とのツーショットは、まるでワルツへと誘うかのような翔汰のフォローにより、自分には程遠いと思われていた"色気"が引き出されているかのようだった。一番歓声が高く上がったのは、ソファーでの写真だった。美幸がソファーへと横たわり、翔汰がそれに覆い被さる。美幸はそれだけだとなんだか物足りないように感じて、翔汰のシャツの首元を引き顔を近づけさせた。翔汰は最初、驚いたような顔を見せた。が、それも一瞬で、ニヤリと笑ったかと思ったら熱烈な視線を絡ませ合い、雰囲気だけでその場に熱が、色気が充満した。「MIYUKI、良い顔してるぜ?その顔、カメラに見せてやれ」「......ハイ」翔汰に言われるがまま流し目をカメラに向けると、現場の空気が一段と熱を帯びた。「......よっちゃん、本当にあの子、これが初めて?」「え、えぇ......。私も驚いているわ」美幸と翔汰のまるで濡場のようなシーンに周囲は息を飲んだ。そして、ツーショットが撮り終わると、個別の撮影に入る。翔汰は持ち前の情熱さを思う存分醸し出し、一発OKとなった。そして美幸の番となった。美幸は一度目を閉じ深呼吸をすると、先程までの熱烈な色気とは打って変わって華やかな笑顔をカメラに向けた。カメラマンはシャッターをきる事をやめる事は無い。カメラマンの要望を聞くがままに表情を変え、ポーズを変え...。スタジオにいる誰もが美幸に釘付けとなって息をするのも忘れる程だった。「ヒュー♪良いねいいねぇ」「翔汰、貴方......」「オレは何もしてないぜ?もともと素質があったんだろう。......まぁ、オレもここまで化けるとは思ってもみなかったがな」「よっちゃん。彼は逸材よ。なんで今まで気が付かなかったの?審美眼がある貴方が今の今まで気が付かなかったなんて......」「......子供の頃から愛嬌があって可愛らしくって。誘拐されかけたり、ストーカーにあったり......。それで地味な見た目に擬態してたのよね......」「それに慣れたせいで私も抜けていたのよ」と喜子が言うと、森は「なるほどねぇ」と返事をした。そして喜子に向けてこう言った。「よっちゃん。あの子、私のブランドに頂戴?」その言葉に反応したのは翔汰だった。「MIYUKIはpersicumの所属タレ
last updateÚltima actualización : 2026-08-19
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episode28

「MIYUKI、いえ、もういいわね。美幸、今日はどうだった?」喜子が帰り道の車内で問いかけてくると、美幸は先程までのオーラは何処へやら。どっと疲れが押し寄せてきていて座席の上で溶けていた。「もう疲れたよ......。あんなに人が多いんだね。......やっぱりオレには向いて「なくはないわ!」」喜子は思わず美幸の言葉を遮った。「森ちゃんがね、是非ともモデルを続けてほしいって言ってたのよ。私もビックリしたわ。......貴方は世界に染まる才能があるわ。今日の撮影で確信した。だからどうか仕事を続けてはくれないかしら?」「オレも良いと思ったぜ?最初はオレに着いてくる形だったが、一人でも十分過ぎる程の色気が醸し出されてたぜ?だから自信持てよ。な?」「......翔汰さん......。ありがとうございます」美幸がお礼を言いながらふわりと笑うと、翔汰は頬を紅潮させ、「お、おう......」と吃りながら返事をした。そんな翔汰の様子に喜子と黒川は「落ちたな」と心の中で呟いた。「相変わらず、翔汰ったら分かりやすいわねぇ」「ですね」「な、何がだよ!」「そんなんじゃ、まだまだウチの美幸を任せる事は出来ないわよ?」「ハァ?意味わかんねぇ!」「まったく......まだまだお子ちゃまなんだから」と喜子が言うと、翔汰はぶーたれながら美幸の肩に頭を乗せた。条件反射で美幸はその頭を撫でる。すると翔汰は気持ち良さそうに目を細め、次第に眠りへと落ちていった。その様子をバックミラー越しに見た喜子と黒川は、「あの翔汰が?!」とビックリしていた。「え?なになに?どうしたの?」「いえ......。翔汰って人懐っこいように見えて警戒心バチバチだから......。ここまで許す事なんて無いのよ?」喜子はそう言うが、美幸はイマイチピンと来なかった。思い返してみると、シェアハウスに入居した時から翔汰は美幸に懐いていたからだ。「翔汰さん、シェアハウスだと大体こんな感じだよ?昨日の夜もソファーに座ってるオレの膝を枕にして寝てたし」「他のメンバーさんも同じ感じだよ?」と言うと、喜子と黒川の頭の中には同じ言葉が浮かんでいた。"生粋の人たらし"と。
last updateÚltima actualización : 2026-08-20
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episode29

「美幸、翔汰。今日はお疲れ様。今日の仕事がいい方へ転ぶのを楽しみにしているわ」そう言って去ろうとした喜子と黒川に美幸は「折角だからコーヒーでも飲んで行ってよ」と言って2人をシェアハウスへ誘った。ところが玄関の扉を開けた瞬間、キッチンの方から"ガシャーン"と言う音が響いてきた。なんだなんだとキッチンへ向かうと、晴達がキッチンで何かを作っていたようだった。材料を見る限り......これはケーキか?と答えを導き出した。「......一体何をしているんですか?」「!美幸君!もう帰ってきちゃったんですか?!」「......おいおい、なんだよこの大惨事は?」「あ、あはは!サプラーイズ!......的な?」澪里の乾いた笑いに他の3人もつられて笑いだした。翔汰は美幸にコソリと「オレ達は料理はてんでダメだぜ」と耳打ちすると、美幸はワナワナと震え出し、「第2回!大掃除大会を開催します!!」と宣言した。それに晴達四人は「はいぃ!」と言うと片付けを始めた。喜子はその光景を見て、「トップアイドルとは思えないわね...」と言うと、美幸に家事を頼んでおいて良かった、と思うのだった。美幸はテキパキと指示を出すと三十分程で元の綺麗なキッチンへと戻った。「ところで、どうして苦手な料理を?それにサプライズって?」美幸は四人へと疑問をぶつけた。するとおずおずと口を開き始めた。「美幸君がモデルとしての初仕事だったので......丁度オフでしたしサプライズでケーキでも作れば喜んで貰えるのではないか......と。」「...材料を無駄にしちゃってゴメンね。キッチンも......戦場のようにしちゃったし......」シュンとした様子で反省する4人に美幸は「ハァ」とため息をついて、微笑みを向けた。「そんな事言われたら怒れないじゃないですか......。まさかこんなに嬉しい事をしてくれるなんて」「ありがとうございます」と言うと四人は顔を見合せあい「あはは!」と笑い出したのだった。「慣れない事はするものじゃなかったな」「ケーキ屋さんに行けば良かったー」理と聖の言葉に今まで黙っていた喜子が口を開いた。「手作りであろうと、既製品であろうと、美幸は喜ぶわよ。ね?」「もちろん!オレの為にありがとうございます。凄く嬉しかったです」「それじゃあ、気を取り直してケーキ買ってこいよ」「..
last updateÚltima actualización : 2026-08-21
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