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episode22

Autor: 朱音小夏
last update Fecha de publicación: 2026-08-14 03:54:55

「お二人共、お疲れ様でした。これで後は撮影の日を迎えるのみです。翔汰はこれからレッスンがあるので事務所へ。......そうだ。なんなら美幸さんも見学に来ますか?」

「え?い、良いんですか?」

「お!良いじゃねぇか!美幸が来たとなればアイツらもヤル気出すぞ(笑)」

「えっと......じゃあ何か差し入れを持っていきたいのですが......。」

「翔汰さん何が良いですか?」と美幸が尋ねると翔汰は暫く考え、「甘いもんかなぁ。体力使ってっし」と答えた。休憩の合間に手軽に食べられる甘い物......。と考えていると、黒川が声をかけてきた。

「でしたらドーナツはどうでしょう?人気の店がこの近くにありますよ」

ドーナツか。フム。それなら皆喜んでくれるだろう。そう美幸は考えると、黒川に「そこに向かって貰えますか?」とお願いする。すると美幸の隣で翔汰がルンルン気分になっていた。どうやら"甘い物"と言ったのは自分が食べたいだけのようだ。

「翔汰さん。オレ、まだ皆さんの好みが把握出来ていないので翔汰さんに選んで貰っても良いですか?」

「!仕方ねぇなぁ!オレに任せろ!」

何ともまぁ、扱いやすい人だろう。美幸
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  • 推しゴト!!   episode38

    聖以外のメンバーは、美幸と聖のキスシーンを見てビックリしたのと同時に、なんだかもやりとしたものを感じた。いちはやく立ち直ったのは理だった。「聖がいいなら、オレがしても......構わないな?」「......え?」そう言うと、理は美幸を壁際に追いやって壁ドンをしてきた。美幸は心の中で「さ、理さんの壁ドンだー!!」と表には出さないではしゃいでいたが、次の瞬間、今度は顎クイをして目線を自分に向けさせた。そして静にキスをしてきた。唇を重ねた後、理は美幸の唇をべろりと舐め、満足げに美幸を抱きしめた。「他の奴には渡したくない......。いいから黙ってオレの物になれ」「さ、理さん?え、冗談......?」「冗談なんて心外だ。はじめて出会った時からお前だけを思っている」......もう頭がパンクしそうだ。この2人に想われるような事をしてきただろうか......?「理さん?オレ、貴方に何か想ってもらえるような事しましたか......?」「覚えてないのも無理がない。あの時はまだ子供だったからな。小学生の時、公園で揶揄われていた所を助けてくれたのはお前だった。その後しばらく公園で会うようになったが、オレの親の転勤で会うことがなくなってしまった」「......もしかして、さっ君?」......覚えている。忘れもしない。急に会えなくなったのを寂しく思っていたのだから。でも、記憶にあるさっ君とは随分と雰囲気が変わっていて気がつかなかった。「お前にまた会いたくて、見つけてほしくてアイドルになった。......でも、お前はオレの事を忘れているようだったし......」「ご、ごめん!!忘れてたわけじゃないんだ!......あまりにも記憶の中のさっ君と別人だったから...。」「それは......お前に見合う男になれるように鍛えたからな」「お前のため」そう言われて喜べないわけがない。最高のファンサだ。「でも、よくオレだって気がついたね?名前だってお互いあだ名で呼んでたのに......」そうだ。美幸は理の事を"さっ君"と呼んで、理は美幸の事を"よっちゃん"と呼んでいたのだ。けれど、理はどうして美幸の事に気がついたのだろうか?あの頃はまだメガネも何していなっかった。だから、謎で仕方がない。「......さっ君はどうしてオレに気づいたの?」そんな疑問に理は満面の笑みを

  • 推しゴト!!   episode37

    美幸はウキウキとした面持ちで玄関のドアを開けた。早くデモ曲が聴きたいからだ。重い買い物袋なんて苦に思わない。「ただいまー。聞いたよデモ曲出来た......んだ、よね?」喜々としてリビングに入った美幸を出迎えたのは......暗い雰囲気をまとった五人の姿だった。一体どうしたというのだろうか。「あ、あの......どうかした?デモ曲に何か問題でもあった?」「......問題なんてもんじゃねーよ!完全に社長の趣味だろう?!知ってんだぞ?社長含め女子社員全員が"腐女子"だって!」「......ふじょし?」翔汰が一体何にキレているのかまったく理解が追い付かない美幸だったが、澪里に差し出されたデモ曲の歌詞を見た。なんだ。普通のラブソングじゃないか。「これのどこが問題なの?ふつうのラブソングでしょ?」「普通じゃねーよ!意味を考えて、もう一回!読み直せ!」"結ばれることの許されない僕たち"、"同じじゃなければよかったのに"、"君と手を繋ぐ事すら許されない"...。身分さのあるラブソングの様に聞こえるが......。翔汰の言った"ふじょし"とやらが関係しているのだろう。「翔汰さん、"ふじょし"って何?」「知らなかったんかよ!"腐った女子"で"腐女子"!男同士の恋愛が好きな奴らの事!!」美幸は翔汰からの説明を聞き、眩暈を起こした。まさか喜子にそんな趣味があるなんて。そして......初めての映像作品になるであろうものに、なんていうものをぶつけてくるのだ......。「い、今は多様性の時代だからね!ま、まあそういう曲も悪くはないと思うよ!」「......お前、初の映像で男とキスできるんかよ?」「キ、キス?!」「ない話じゃないからな」と言う翔汰は少しげんなりしていた。その時だった。聖が美幸の元へと歩み寄ってきた。そして無言で見つめてきたかと思うと、美幸の顎をすくいあげた。「き、聖さん?!」「シー。......黙って?」次の瞬間だった。聖の唇が美幸のそれを塞いできた。美幸はもちろん、他の四人も固まって動けなくなり思考回路が停止した。「んン...!アッ聖さん!......ま、待って!!」「んー?もうギブ?可愛いねー」情報量が多すぎる......。え、これを撮影では何度もするってこと?!しかもLUMINOUSと?!ファンに殺されるんじゃ......。

  • 推しゴト!!   episode36

    撮影スタジオから外に出て事務所へと向かう。事務所に着くや否や待ち構えていた喜子に「良くやった!」と背中をバシバシと叩かれた。「あのオレ様我儘王子を負かすなんて流石私の弟!いやぁ、黒川君から連絡がきたときはどうかしたのかしらと心配したのに、まさか美幸が自ら志願したって言うじゃないの!一体どういう風の吹き回し?」「......いや、見学してたらなんだかつまらない画だなって思ったのと......」「のと?」「LUMINOUSをバカにされたのが許せなくって!!」やはり美幸は美幸だった。推しがバカにされたのが黙っていられなかったらしい。「......それに、あの高飛車な鼻をへし折ったら面白そうだなって思って」「美幸...貴方黒くなったわね......。そうそう。LUMINOUSの新曲のMVについて明日会議を開くから、主演として貴方も参加して頂戴?」「......モデルは動かなくていいけど、演技ってなると不安が......」あぁ、また気弱さが出てしまう。けれど、喜子はそんな美幸に強い言葉をかけた。「"MIYUKI"。貴方はもうプロよ。大丈夫。カメラの視線を自分の物にする程の実力がある。その役になりきることができるわ。貴方はもう立派な演者よ。自身を持って」喜子の言葉に美幸はハッとする。あぁ、自分は評価されているのか。自分のやってることが"おままごと"になっていなかったのか、と安心することができた。「ありがとう、姉さん。オレ、自信持って挑戦してみるよ」「その勢いよ。うん。いい顔してるわ」「それで......今日皆は?」「今日はデモ曲のデータを渡して終わりよ。今頃家で聞いてるんじゃないかしら?」そうか。皆も前に進んでるんだ。後ろ向きになってる場合ではない。「貴方も帰ったら聞いておいて頂戴?曲の雰囲気を掴んでいたほうが撮影に臨みやすいわよ」それもそうだ。でも一ファンからすると世に出る前のデモ曲を聴くことができるなんて......。と興奮してしまう。美幸は楽しみで仕方なくなっていた。とりあえず、今日の芸能の仕事は終わり。これからの時間は"シェアハウスのお手伝いさん"だ。今日のご飯は何にしようかな。そう考えながら黒川の運転する車に乗り込んだ。

  • 推しゴト!!   episode35

    「こちらとしては願ってもない申し出です!話題のMIYUKIさんが出てくれるなら是非!」「......いいですよね?黒川さん。」「ハァ......仕方ありませんね。MIYUKI、思う存分暴れてきてください」そうして急遽撮影に参加する事になった美幸。それに対して面白くないのはGRAYだ。「なんでオレ様が新人と撮らなきゃなんねーんだよ」「ま、まぁまぁ。所詮GRAY君の引き立て役だよ」「フンッ。なら精々いい駒になってもらわねぇとな」美幸がヘアメイクをされている時、黒川の耳に入ってきたGRAYとそのマネージャーの会話である。これは面白い事になりそうだ。せいぜい今だけ可愛く吠えているがいい。黒川はそうほくそ笑んだ。「MIYUKIさん、準備完了でーす!」そうして出てきた美幸に言葉を失ったのはGRAYだけではない。それもそうだ。先程まで気弱そうな青年だったのが、自信に満ち溢れ、隠していた色気を全面に押し出しているのだから。「それじゃあGRAY君。よろしくね?」美幸はそう言うと不敵に笑う。GRAYは思わず見とれていた自分に気がつくと「そんなバカな」と呟く。「それじゃあまず、GRAY君、椅子に座って。MIYUKI君はその足に頭を乗せて目線をこっちに!」カメラマンの指示に従いポーズを次々に決めていく。その場にいる誰もかが息を飲んだ。カメラマンもシャッターを切る手が止まらない。「最後に一輪の花に二人で口づけるように......そう!いいよいいよ!......ハイ!以上で撮影は終わります!」その言葉でようやく皆が息をする事が出来るようになった。「凄いよあの新人......MIYUKI?だっけ?リテイク無しじゃん」「GRAY君も途中から引っ張られてたよね......」撮影が終わったので着替えに入ろうとした美幸だったが、その時、「あの!」と声をかけられた。声の主はGRAYだ。「さっきは生意気言ってすんませんでした。......途中から引っ張ってもらって......助かりました」「少しは役に立てたかな?」「役に立つなんて......!とんでもないっす」「そう?なら良かった。それじゃあ、最後にこれだけ」美幸はそう言うとGRAYにそっと耳打ちした。「今度LUMINOUSをバカにしたら......許さないからね?」

  • 推しゴト!!   episode34

    スタジオの中に入るとスタッフ達が忙しなく動いている。美幸は黒川に促され、椅子に座って水を飲んでいる人物に挨拶をしに行った。「初めまして。本日見学させていただきます、persicumのMIYUKIといいます。よろしくお願いします」美幸はそう言うと笑顔を向けて見せた。しかし、その人物は美幸を上から下まで値踏みするように見ると、「ハッ」と笑ったのである。「LUMINOUSも大概大した事ねぇけど、モデルもレベルが低いんだな。どう見てもモブ顔じゃねぇか。こんなんがモデル名乗れんなら誰でもなれるわ」「は?LUMINOUSが大した事ない」だと?美幸は思わずピキッた。彼らの努力をバカにされたような気がして。「あの、挨拶をされたらきちんと返すのが礼儀というものじゃありませんか?あぁ、貴方はまだ子供のようですもんね。大人の世界の常識は分かりませんか。すみません」「あぁ?オレ様よりチビの癖して何偉そうに言ってんだよ。それにオレは先輩だぞ?それこそ非常識じゃあねぇの?」「......所詮顔だけのくせして」美幸はキレていた。思った事がつい口から零れてしまうくらいに。「オレ様が顔だけだと?言ったな?なら今日オレ様の撮影をしっかりと目に焼きつけろよ?終わる頃には"ごめんなさい"を言わせてやるよ」「そう言えば貴方の名前を聞いていませんでした」「は?知らずに来たのかよ。......耳の穴かっぽじって聞けよ?」そう言うと水の減ったペットボトルを机に置いて立ち上がり、美幸に目を向けた。「オレ様の名前は"GRAY"。しっかり覚えておくんだな」そう言うと彼、GRAYはスポットライトの元へ足を踏み入れた。「MIYUKI......挑発してどうするんですか」「LUMINOUSをバカにしたんです。許せるはずがありません」「ですが、それで彼に火をつけて......」黒川は美幸に飽きれた様子を見せた。しかし美幸もこればかりは譲れない。そうしていると、撮影が始まった。しばらく静かに見学をしていた美幸だったが...…何かが物足りない。翔汰との撮影は燃えるような気持ちになったのに。「所詮口だけのお子様、か......」「MIYUKI?」「あぁ、いえ。すみません。......彼つまらないなと思って」「......一応人気モデルなんですよ?」黒川の言葉に美幸は「フハッ」と笑った。

  • 推しゴト!!   episode33

    美幸は黒川と共に喜子に連れられ事務所へとやってきた。「これからMIYUKIのマネージャーは黒川君に任せるわ。いいわね?」「勿論です。声をかけたのは私ですからね。責任を持ってマネージメントさせていただきます」「......よろしくお願いします。黒川さん」マネージャーが気心知れた黒川で良かった。そう思っていると喜子は「早速だけど」と声をかけてきた。「例の広告の噂を聞きつけた雑誌出版社からたくさんオファーが来ているの。安心して。むやみやたらに承諾の返事はしてないわ。いち早くMIYUKIの名を売り込むために大手さんの数社に絞り込んだから」「何社程でしょうか?」「一応五社程度ね。最初の撮影は二週間後。いいわね?」美幸は息をゴクリと飲み込んだ。これが芸能事務所というものか。未知なる世界だ。手が震える。その様子に気が着いた黒川が美幸の手を取った。「安心してください。貴方は人を惹き付けられる程の魅力の持ち主です。だから、この撮影、思う存分見せつけてやりましょう!」「黒川さん......。はい。オレに出来ることなら全力で取り組ませていただきます!」黒川の言葉によって、美幸の心を占めていた不安が期待へと変わっていく。「美幸。よければこれからファッションモデルの撮影現場に見学に行く?勉強になるわよ。......ただ、今日のモデルは一癖あるヤツだけどね......」「一癖?」「一言で言えばわがまま王子。って所かしら。翔汰よりもオレ様よ」......再び不安がおとずれた。だが、二週間後のためだ。「オレ、いくよ。見学。いいですよね?黒川さん」「勿論です。勉強しておいて損はありませんからね」「分かったわ。向こうのマネージャーには私から連絡しておく。撮影開始は...丁度今から一時間後よ」「撮影スタジオはAスタジオだから」そう聞くと、美幸は黒川を伴い事務所を後にした。「......やっぱり、なんだかドキドキします」「大丈夫ですよ。最初は皆緊張するものです。けれど私は美幸さんなら、MIYUKIなら何も心配していません」「撮影現場は貴方のためのステージです」そう言って黒川は美幸に笑って見せた。まぁ、今日は見学だけだ。何も心配する事は無いだろう。......と、思っていたのはスタジオに着く前までであった。

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