午前七時。 朝食の支度を終えた私、涼花は、ベッドで眠る二歳の息子、俊太を抱きかかえてリビングへと連れていく。 それは、夫、郁人を起こさないようにするためだ。 ホームセンターで働く十歳年上の夫、三十九歳の坂本郁人は平日休みが多く、今日は休みだ。 なのでこの時間に起こしたら可哀そうだし、怒られてしまうから俊太をリビングに連れていってから起こす。 「俊太起きて」 「んー……」 寝ぼけた息子をお昼寝用の布団に座らせて、パジャマを脱がせる。 俊太は眠い目を擦って、腕を上げ、肌着を着たあと私が持ったTシャツを見て言った。 「電車やだ。パトロールがいい」 「それは昨日着たでしょ? だから今日は電車なの」 「やだ」 俊太は今、いわゆるイヤイヤ期。 パトロールは犬が救助隊をしている人気のアニメのことだ。 今着せようとしているのは、こちらも人気の電車が変形するアニメのシャツだ。 電車が好きになったり、車が好きになったり。本当に忙しい。 「ほら、靴下はパトロールだよ」 そう言って、私は靴下を見せるけど、俊太は不機嫌だ。 「やだ」 と、むずがる俊太を抱きかかえて、洗面所に連れていき顔を洗わせて口をすすがせる。 「ほら、朝ご飯食べたら保育園だよ」 「んー」 俊太はずっと不機嫌だ。 それでもなんとか朝食のおにぎりとおかずを食べて、保育園の準備をする。 息子を保育園に送ったら、私は仕事だ。 夫が休みなのに預けるのは気がひけるけど、郁人じゃああんまり面倒見られないしな。 前に預けたら、 「ジムに行けなかった」 って不機嫌になってしまったことがある。 三十九歳の郁人は、結婚前からジムに通っていて、私ともそのジムで知り合った。 私は妊娠したからやめたけど、郁人はずっと続けているし、休みや夜、時間があるとジムに行っている。 「ストレス発散だから」 ということだし、気持ちはわかるから強く止めないけど。 「もう少し子供の相手、してくれたらいいのに」 と思う時がある。 今日だって休みなんだから、子供の準備をしてくれてもいいのに、絶対に起きてこない。 でも全然相手をしないわけじゃないのよね。 月に二回は外に連れて遊びに行っては
Last Updated : 2026-07-31 Read more