เข้าสู่ระบบ家事代行業の事務員として働く坂本涼花は、10歳上の夫・郁人との冷え切った関係と、2歳の息子のワンオペ育児に疲弊していた。 ある日、代理の家政婦としてシングルファザーのエリート社長・東雲八尋の元へ赴き、4歳の娘、さくらの相手をする。 しかし、その直後、夫の不倫を目撃。問い詰めた涼花は郁人から一方的に離婚を突きつけられ、1週間以内に家を出るように言われてしまう。 行き場を失った涼花に、八尋は「うちで子供と一緒に暮らさないか」と住み込み家政婦の仕事を提案する。 孤独だった社長親子と、傷ついた母子。二つの家族が一つになり、涼花が真の愛と居場所を見つけるまでの溺愛物語。 ※表紙絵はAI作
ดูเพิ่มเติม午前七時。
朝食の支度を終えた私、デジタルカメラを用意して、ウォーキングに見えるようにジャージに帽子を被る。 これで風景写真を撮るウォーキングの人に見えるかしら。 例の女性が私の顔、知らなければいいけど。知っていたらばれるかな。 私の方はあの女性を見た記憶、ないのよね。 だから顔、知られていないと思いたい。 鏡で自分の格好を確認して、私は大きく息を吸う。「あぁ、緊張するなぁ……」 こんなことした事ないしな。 仕事は済ませた。 夕飯は、東雲さんが買ってきてくれると言っていた。 準備万端。 私は東雲さんに、彼女が通う国立大学の近くまで送ってもらった。 時間は三時半過ぎ。 私は大学のそばを散歩しながらその時を待った。 秋の初め。 まだ暑さが残っていて、動いているとじわり、と汗がにじむ。 大学の周辺には木が多く川もあって、私みたいに散歩やウォーキングをしている人の姿も多かった。 私は辺りを歩きながら、時々写真を撮って辺りを見回す。 これで風景の写真を撮る人にみえる、よね? あぁ、緊張する。 大学の四限目の講義が終わるまであと少し。 正門以外にも門があるけど……どこの門から出てくるかな。 彼女が上げていたマンションの部屋の写真を画像検索してみたら、この近くのマンションぽかった。 本当に、今の子って危機感がない。 おかげでどこの門から出てくるか、予測できてしまう。 たぶん正門から出てくる。そこからが一番マンションに近いからだ。 本当に、大学から徒歩五分のマンションなのかっていう確証はないけれど。 辺りの写真を撮って、散歩しながら私はその時を待つ。 四限目が終わるのは確か四時頃。 あぁ、なんか緊張してきた。 なるべく自然に見えるようにしないと。 心臓が口から飛び出してしまいそうな感覚を覚えながら、私は大学の正門が見える所に立って辺りの風景の写真を撮る。 しばらくして、正門から講義を終えたらしい学生たちが出てくるのが見える。 でてくる。 私は帽子を目深にかぶってじっと、正門を見つめた。 指先が震えて、カメラを握り手に汗がにじむ。 どれくらい経っただろう。 デジカメの液晶を見つめて正門の辺りを拡大していると、見覚えのある女性が友だちらしき人と出てくるのが見えた。 焦げ茶色の髪を後ろで縛っていて、茶色のジャケットを羽織っている。 メイクは
この先の方針はこうなった。 郁人にはまず子供の養育費の請求だ。そして婚姻期間中の財産分与。 私としては、とにかく俊太の権利である養育費をきちんともらいたい。 たいした財産はないけど、貰える物はちゃんと貰いたいし。 秋月さんは、クリアファイルの写真を見つめて言った。「養育費と財産分与は問題ないですが、お相手の女性についてもっと調べて裏付けをとらないと、慰謝料請求とかはできませんがどうしますか?」「そう、ですよね」 それはわかっている。 だって、今集めた情報だけだと浮気の証拠としては弱いよね。 郁人の顔が写っている写真がないのよね。 でもあのリテラシーの低さなら顔が映っている写真、どこかにありそうな気がするけれど。「私にできそうなことってなんですか?」「そうですね。探偵に依頼して彼女の身辺調査をするのが妥当でしょうか。幸い学校も本名もわかっていますから、家を特定するのは簡単でしょう」 やっぱり探偵を雇うしかないか。 そう思うと気が重い。だって何十万、ていうお金がかかってしまうからだ。 「と、とりあえずあの、養育費の請求と財産分与の請求をお願いします。それ以外についてはちょっと考えます」 そう震える声で言うと、秋月弁護士は頷いて、「わかりました。それは進めていきます」 と言った。 浮気の証拠、捜すの難しそうだな。 学校に張り込みしてあとをつければ私でも家の場所を特定できるんじゃないかな。 SNSに今日は何限の講義、とか書いていたし。 そう考えていると、隣から声がした。 「あの、有藤さん」 遠慮がちに言う、東雲さんの声だ。「探偵に、調査してもらいますか? 今さらな部分はあるかもしれませんけど」「え? いや……じ、自分でやってみようかな、と思います」 そう力なく笑って言うと、東雲さんは目を見開く。「え? あ、じ、自分で?」「はい。あの、学校はわかっていますし、本人のSNSから何曜日は何限の講義ってわかっていますから。だから学校の出入り口を見張れば家の場所を特定するのは簡単だと思います。それに、郁人と同じジムに通っているみたいだからふたりで一緒にいる所を写真に撮れるかと」「あまりお勧めはしませんが」 そう、秋月弁護士が苦笑して言う。「素人では見つかるリスクもありますし」「そうかもしれないですけど……探偵を
綺麗なビルの一画に、その弁護士事務所はあった。 鏑木法律事務所。数人の弁護士さんが所属する弁護士事務所だそうだ。 そこの応接室に通された私は、びくつきながら椅子に腰かけた。 眼鏡をかけた、スーツ姿の男性が私たちの目の前に腰かける。 なんだかホストみたいな見た目の人だ。 彼は名刺を取り出してニコニコと笑い言った。「初めまして、秋月と申します」「あ、えーと、有藤涼花といいます。よろしくお願いします」 お茶が運ばれてきたあと、秋月さんは私の方を見て言った。「東雲さんから話は伺っていますが、詳しく状況を教えていただけますか?」 静かに語る秋月さんに、私は頷いて自分の私の身に起きた状況を話した。 まとめてきたメモを見て、そのあとスクショを印刷したものを挟んだクリアファイルをバッグから取り出す。 緊張か、別の理由かわからないけれど手がずっと震えている。 「あぁ、それがお相手のお写真ですか?」「は、はい。あの、できる限りスクショして印刷してきたんですが」 言いながら私は秋月さんにクリアファイルの中身を見せた。「失礼します」 秋月さんは私が集めた画像たちを見て、苦笑を浮かべる。「今時ですねぇ。通っていた学校、行ったところ、今の学校、全部のせているなんて。これじゃあ、住んでいる場所もわかりそうだ」「し、信じられない……俺が大学生の頃はそんなの絶対にネットに書かなかったぞ」 そう、呆れたように呟いたのは東雲さんだ。 それは私も同じ気持ちだった。 個人情報をネットに垂れ流しなんて、ありえないと思うもの。 「おかげでいつ彼とどこに行ったのか全部わかってよかったですけど」 そう苦笑いして言い、私はメモを見る。「私には出張とか、ジム行って来たとか言っていた日にデートしてますからね」「こういうの見つかるって思わないんですかねえ」 東雲さんの言葉に、秋月さんは肩をすくめて苦笑した。「そこまで思っていないのでしょうね。意外と世界は狭いのに」 その言葉を聞いて東雲さんは首を横に振り、「危機感ないもんなんだなぁ……」 と呟いた。「そうですね。しかも彼が妻子持ちだとわかっていて、これだもの。呆れると言うよりもぞっとします」 まるで見せつけて自慢するかのように、郁人と撮った写真をアップしていた。 顔は隠しているとはいえ、見る人見たら
『有藤さん、返信遅くなって申し訳ないです。今月の運動会の日ですが、デリバリーを頼もうと思うのですがいかがでしょうか? 子供も喜ぶしそれに、外だとその、人の目もあると思うので』 というメッセージが返ってくる。 確かに、へたに一緒に食事とかしているのを保育園の人に見られたら面倒よね。 保育園には離婚したことを説明したけれど、保護者にいちいちそんなの説明する必要、ないし、仲いい人がいないから誰にも話していない。 「東雲さん、すごく気を使ってくれるなぁ……」 そういうちょっとした気遣いが嬉しく感じてしまう。 『そうですね。お言葉に甘えさせていただきます』『それじゃあお店は俺の方で考えておきます。あと明日ですけれど、俺もご一緒させていただきますね』 明日。 それはつまり、私が弁護士に会う日だ。 その言葉を見るとどきり、としてしまう。 ひとりじゃ心細いし、東雲さんがいてくれたら心強い、とは思うけれど。 一瞬悩んで、私は返事をする。『そんなの悪いです。私ひとりで大丈夫ですから』『でも俺にもこうなった責任がありますから』 それはそうかもしれないけれど。 東雲さんとあの日、公園で会っていなかったら私は郁人の浮気のこと、気が付きもしないままで今もあのマンションで疲れて鬱々としていたかもしれない。 結果的にどうなのかっていうのはまだわからないけれど。 でも東雲さんには責任、無いと思う。悪いのは全部郁人だ。 ちょっと押し問答した後、結局私は折れた。 東雲さん、一緒に弁護士と会う、と言って譲らなかったからだ。 ありがたいような、なんだか複雑な気持ちだ。 『明日一度会社に行ってからになりますが、十時前にお迎えにあがります』『すみません、よろしくお願いします』 私はスマホをしまい、「よし」 と、気合を入れて子供たちを迎えに行く前の仕事を始めた。 翌日。 子供たちを送り、午前中の家事を終えた頃。 バタバタとお出かけの準備をする私のスマホが鳴る。 そこで初めて時計を見ると、もう約束の十時を迎えようとしていた。「うそ、もうこんな時間?」 私は慌てて、化粧品を引っ張り出す。 いつもはファンデーション位しかしていないけれど、もう少し身ぎれいにしていきたい。 そう思って、私は大急ぎでアイシャドウとマスカラをつけ、ショルダーバッグを