Todos os capítulos de 人外娘さんと真面目にファンタジーしちゃう本: Capítulo 11 - Capítulo 20

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精霊ノーム

 最奥に向かう三人の行く先が緑色の光が見えた。壁前面に生えた光苔が暗い坑道を、松明がなくても洞窟内を見渡せる程明るくしていた。「なんか、神秘的……」 アーニャが呟くのも無理はない。こここそが、この山。この土地を守る精霊『ノーム』がいる場所なのだ。 先は行き止まりになっているがかなりの広さがあった。その中央には。「ノームっ!!」 エグゼが語り掛けるとノームがこちらを向く。しかしその様子はおかしい。目の焦点はあっておらずこちらを認識していないかのようだが、こちらを向いていた。「っ」 ノームがこちらを見た途端、アーニャが壁際によると、胃の内容物を吐瀉する。「なに? あれ……」 更なる吐き気を我慢しつつアーニャが立ち上がる。異様なのはエグゼやソウマにも理解できたが、彼女は一体なにを見たのか。「たす……、けて……」 涙を流しながらノームは助けを求めた。意外、といっていい反応だった。問答無用で攻撃を仕掛けてきてもおかしくない雰囲気だったが。「うぐっ!」 エグゼはこれ以上アーニャがノームがを見つめないように、ノームの視線からアーニャを守るように立ちふさがる。「ノーム、どうしたんだい?」 精霊使いであったソウマの声は届くのか。ノームはエグゼを見る。「エ、ぐぜ……?」 彼らの頂点に立つ『大精霊』と契約していたエグゼを知らない精霊はいない「おね、が、い。ぼくが、ぼくでい、られ……る、うち、に……」「どういうことだ、エグゼ。敵はどこだ? ノームは一体……?」 唯一事情がよくわかっていないソウマ。それも無理なことだった。魔眼使いと精霊使い。この二人だからこそ気づいた異変。「魂が……、二つ融合してる」 吐き気を抑えてアーニャが言葉発する。その言葉を受けてノームの表情が一転する。「殺す。ここに立ち入る者は、すべて殺す」 今までの悲しみが一変。憤怒の表情を浮かべると、三人に向かって手を掲げる。「?!」 最も早く動いたのはソウマだった。坑道内の通路や壁が敵を穿つ巨大な槍のように隆起し、三人に襲い掛かる。 ソウマは拳を振るい、その巨岩を薙ぎ払う。エグゼはアーニャを庇いながら撤退をした。「くそ、何だってんだ!」   先ほどの雰囲気からはとても攻撃を仕掛けてくる感じではなかった。それがいきなり敵意を剥き出しにして襲い掛かってきたのだ。ソウマがいち
last updateÚltima atualização : 2026-08-09
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山崩れ

 坑道内から急ぎ脱出し、ソウマは臨戦態勢を。エグゼはアーニャを守る態勢をとっていた。「ころ……す。殺す?」 ノームが頭を抱えて倒れこむ。「エグゼ……! 僕を殺して……!!僕がこの大地を破滅させる前に!!」「ノーム?」 先ほどまでは強力な敵意を剥き出しにしていたノームは一転して自分を殺せと懇願してきた。「どういうことだ?」 なお止まないノームの攻撃をいなしながらソウマは混乱していた。ただ、エグゼに言われた「ノームを殺すな」という命令を守っているだけだ。「ノームの……、魂に気持ち悪い魔物の魂が、融合してるの……」 アーニャが振り絞るように言葉を発する。「魂に魂が融合?」  それなら、二重人格のようにノームの意識が入れ替わっていることも納得がいく。完全に融合しきれてはおらず、二人の意識が代わる代わる出てきているのだろう。「そんなんどうすればいいんだよっ!」 事ここにおいて、このレベルの戦闘になるとエグゼではなんの役にも立たなかった。 ソウマは二人をかばいながら、ノームの連撃を躱し続けている。『なかなか粘りますね、ソウマ君』「っ!!?」 ノームが今までにない声色で話し始めた。「その声は……っ!!」 聞き間違うはずもない。王を、国を乗っ取った裏切り者。そして今は新たな国を作り恐怖政治を持って民衆を支配する暴君。「ミハエルっ!!」 エグゼの怒号。それはソウマとアーニャが初めて聞く怒りの声だった。『まだ生きていてくれたのですね、エグゼ君。楽しみがまだ続くようで嬉しいですよ。そして、初めましておチビさん』 今度はアーニャの方を向き直り飄々と挨拶をする。『魔眼持ちだとは聞いていましたが、まさかこのノームの魂まで見通せるとは……。確かに、貴女なら黒のカーテンの秘密を解き明かせるかもしれませんね』 それでもミハエルは余裕を崩さない。『さて、そろそろお相手しましょうか』 言い終わると、ノームはスルリとソウマに近づく。その足運びは熟練した武闘家のそれだった。「っ!」 先ほどまでは力任せに魔法を使い、大地を操り攻撃を繰り返すだけだった。それが、今は人が変わったように流れる攻撃を仕掛けてきた。「ソウマ、気をつけろ! ノームの魂に寄生してるのは『造魔』だ! 造魔はミハエルが遠隔で操ることもできるんだ!」 そしてミハエルは格闘技だけはな
last updateÚltima atualização : 2026-08-10
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決着

第12話 決着 ミハエルの気配が消える。遠隔操作を解いたのだろう。だが、目の前の脅威が過ぎ去ったわけではない。「さて、これは本気でかからないとな」 未曽有の大災害へと向かいたいところだが、目の前のノームがそれを許してはくれないだろう。「ソウマ!!」 一度は避難したエグゼとアーニャの姿があった。傷口は塞がってはいるようだがそれはあくまでも表面上に過ぎないようだ。無理をすればまた傷が開くような最低限の治療。「ノームは僕とアーニャに任せろ。もしソウマにあの山崩れを何とかすることができるなら、そっちを頼む」 逡巡したソウマ。エグゼの力量では本気を出したノーム相手に一秒も持たずに殺されることだろう。 そんな相手をエグゼと、戦闘力皆無のアーニャの二人に任せる。それこそ自殺行為だ。 なんの策もなくただ玉砕するほど愚かなエグゼではないとわかっている。なにかノームを抑える手立てがあるのだろう。「わかった」 ソウマは二人を信じて山崩れを止めに行く。「させない……」 それを阻止しようとするノームだが、それを遮りエグゼが叫ぶ。「ソウマ、アーニャ目を閉じろ!!」 エグゼが放った一つの魔水晶。その中に込められた魔法は。──閃光。  かろうじて目を閉じるのが間に合った三人は即座に次の行動に移れたが、目をかばえなかったノームはもろにその閃光を食らい、体をよじった。「アーニャ、頼む!」「うんっ!」 アーニャとともにノームの懐に飛び込む。いくら閃光を食らったと言ってもノームの隙を作れるのはほんの一瞬。 その一瞬にアーニャはノームの歪んだ魂を見る。 変わらずに醜く融合した魂だが、確かにノームと造魔の結合部分が見えた。この場所に寸分たたがわずに剣を入れることが出来れば。 失敗は許されない。造魔の魂をノームの魂に残さないように。ノームの魂を傷つけないように。『大いなる精霊王の剣』が淡く光り始める。 ノームという精霊の魂とパスを繋ぎ、違和感の正体を探る。アーニャの言葉通りに剣を進めると、そこに違和感の正体が現れた。 造魔の魂は激しく抵抗するが、今のエグゼにもアーニャにも反撃する余裕はない。大けがを負ったエグゼはさらに傷付きながら剣を振り下ろした。「やったよ、エグゼっ!!」 切り離した造魔の魂に最後の剣を振るう。(ありがとう……) 造魔の魂と同時に『大
last updateÚltima atualização : 2026-08-10
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シスカの町

スミカの村を出てから5日。エグゼの鍛錬をしながら時間をかけてようやくシスカの町に辿り着いた。「やっと着いた……」 連日の修行につかれたエグゼはようやく重い荷物を下ろすことが出来た。修行で鍛えた筋肉は、十分な休養を取ることで強靭になっていく。「まだまだ! そんなに辛くないはずだぞ」「荷物持ってもらってごめんね、エグゼ」 対して元気なのはソウマとアーニャ。自分たちの荷物を鍛錬と称してエグゼに預けてゆっくりと歩いてきていた。毎日こんなやり取りを続けている気がする。「この町に腕のいい武具職人がいるのか?」 鍛冶で栄えた町をぐるりと見渡す。 どの家の煙突からも煙が上がり、鉄を叩く音や刃物を研ぐ音が聞こえてくる。 アーニャは汗を拭うと、そのタオルが真っ黒になっているのを見て悲鳴を上げた。「なにこれっ!?」 炭を燃やたその煙には粉塵が含まれていて、町中にいるだけで皮膚や服を汚していく。それはこの町いる限り仕方のないことだった。「今日はお湯に浸かれると思うから」 苦笑いして、エグゼが先頭に立って進む。この鍛冶の町においても「腕利き」と称される職人の鍛冶場は町の中でも奥の方。良質の鉱石が採れるという山の麓に建てられていた。「これでいい装備を手に入れることが出来る訳だ」 ソウマはウキウキとエグゼの後をついていく。「痛てっ!」 がらん、と音を立てて地面に落ちたのはトンカチだった。「誰が偏屈だ? 私の顔をみてもう一度行ってみろ」 建物の前に立っているのは一人の少女。 大きな一つ目に、一本しかない足。その細腕に似つかわしくない巨大なハンマーを手に持ち、エグゼを睨んでいた。「んで、この人が腕利きの職人さんかい?」「可愛い!」「なんだお前らは」 三者三様。お互いのこともわからない他人同士が自己紹介を始めた。「何が可愛いだ。これでも300年生きている一本多々良だ」 一本多々良。彼女の容姿がまさにそれで、一つ目に一本足の魔物だ。「この子が火ノ元たたら。素晴らしい鍛冶師だ」 素晴らしい、を強調してソウマたちに紹介する。「俺とこっちのアラクネのアーニャは『メリクリウス』の代表としてここまで来たんだ」 いつも通りの気さくな態度。 しかし、たたらの態度は柔らかくなる所かさらに厳しくなる。「ほう。有名な反乱軍のリーダーが私のところになんの用だ?
last updateÚltima atualização : 2026-08-11
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最初の夜

「ぬぅ……」 その夜のご飯はソウマ作。野宿の時ですらお店に負けない味を出せる腕前である。新鮮な食材の揃った家庭において、その味は正に高級レストランにも劣らないものだった。 長年の一人暮らしでそれなりに家事もこなせるたたらからしてみれば、こんな年下の野鼠な男に家事能力で負けるのは少々癪だった。「さっきも言った通りお前たちは少し他の奴らとは違うようだ。そこで、一つ試練をやろう」 この町の裏山。そこには大精霊の住む山がある。 聖なる山それは言葉通りの意味で、決してむやみに近づいてはならない聖域だ。 さらにこの山では『精霊石』という、精霊の力を通しやすい鉱石が採れる。この鉱石を使えば精霊魔法の威力は格段に跳ね上がるだろう。 この街に辿り着く方法は二つに限られている。 一つはこの町より北東にあるツクヨミの街を通過するか。 もう一つはツクヨミの街の背後にある『霊峰メイルストローム山脈』を越えてくるかだ。 しかし験峰として知られているあの山脈を軍隊を引き連れて越えることは不可能。「一体どうやって現れたのか。その原因も探ってほしい」 なるほど。ソウマのやることは。 エグゼの護衛。軍隊の壊滅。いきなり現れた軍隊の謎を解く。 この三つになるようだ。「軍隊の秘密を探るにはアーニャの力が必要かもな。戦闘はいつも通り俺に任せておけばいい。山登りは先のスミカの鉱山の比じゃないと思うが、一緒に行くか?」「もちろん!」 アーニャは1も2もなく答える。「それが成功したならば、お前らの要求を考えてやらないでもない」 引き受ける、とは言わないあたりがたたららしいのか。 エグゼは苦笑しながら肩をすくめた。「山の頂上付近に、スミカにあったような『精霊の寝所』があるんだけど、そこには結界が張られていて認められた人間しか入れないんだ」 エグゼの顔に陰が落ちる。「魔法力のなくなった僕も、もしかしたらその結界の中に入れないかもしれない。そうなったらそこで僕が大精霊と契約することは叶わなくなる」 それでもその顔には決意が浮かんでいた。 たとえ大精霊の力を使えなくても、エグゼは前王の仇を取るために王政グランベルトに立ち向かうことだろう。 たとえそれが叶わずに死ぬことになったとしても。「どちらにしろ全ては山に登ってみなければわからん。貴様らは今日は早く休むといい」
last updateÚltima atualização : 2026-08-12
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聖山へ

「聖山という割には普通の山だな」 ソウマが道なき道を歩きながら声をかける。「今はまだね。この先にもっと特別な場所があるんだ」 アーニャも特に息を切らすことなく付いてくる。アラクネ族の彼女は元々こういう場所に住んでいたのかもしれない。 更に山を登ること数十分。「ん、なんだ? すごい違和感があるぞ。感覚全てが狂ったような」 ソウマが身体の異変に気づいた。 アーニャの瞳が緑色に輝く。「意識、魔法……?」 ポツリと呟く。「良く知ってるね!」 突如上空から聞こえた、楽しげに弾む幼い声。目の前でにパタパタと飛んできた、小さな陰。「えぐぜ! ひさしぶり!」 妖精。体長30センチ程の大きさの森の番人だ。「意識魔法、と言ったか? それはなんだ?」 ソウマが妖精の正体とともに使えないはずの魔法について尋ねる。「意識魔法はねー、シンボルマジックともいって、見つかりにくい紋様とか魔法陣なんかで人の感覚を狂わせる魔法だよ」 ティアラ、と名乗った妖精は人懐こく話しかけてくる。「催眠術のようなものだからね。魔力がなくても効果を発揮するんだ」「ここから先は、わたしか案内するねー」 これだけ人の感覚を狂わせるような魔法陣がある森の中。エグゼは迷うことなく進んでいくが、ティアラの案内なしではその姿すら見失いそうだ。「その意識魔法とやらはこんなにも効くものなのか」 ソウマが感嘆の声をあげる。「でもソウマはすごいよ。普通の人だと、違和感にすら気付かないからね」 何事もないように平然と歩いていく。 しばらく進むと、エグゼが立ち止まる。「どうした?」 ソウマが進もうとするが、そこには壁があるように先に行けない。「これは?」「ここから先は精霊の寝所。普通の人には入ることもできないんだ」 エグゼだけはその見えない壁の向こう側にいる。「僕はこの先に進むよ。ソウマは例の軍隊のことをお願いしたい」「わかった」  エグゼとソウマ、アーニャ、ティアラは二手に分かれて行動することになった。「いったい何をしておる!」 大きな声で部下を叱咤している大柄の司令官。「し、しかし私たちが何度この山を踏破しようとしても、まったく頂上に着くことができなくて……」 部下らしき騎士が膝をつきながら報告する。 苛立ちながら話を聞く「ミハエル様から賜った精鋭部隊の10
last updateÚltima atualização : 2026-08-13
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日の大精霊・サニー

木々が、輝いてる。 それは比喩ではなく、まるでエグゼが訪れたことを喜ぶように、柔らかな光を放っているのだ。 先にある草木が、自然に道を作るかのように、左右へ別れる。 そして、歓迎するかのように花は蕾を綻ばせ、綺麗に咲き薫って見せた。 エグゼを森の奥の奥へと誘おうとしているようだ。 「ありがとう」 エグゼがお礼を言うと、植物たちは、嬉しそうにその身体を揺らす。 この森の在り方は、いくらエグゼが復讐にその心を焦がし、修羅の道を征くことを決めても、変わることのないエグゼの魂の姿を映しているかのようだ。 視界が開け、森を抜ける。 そこは、草原だった。 陽の光を浴び、柔らかな植物たちがそこで育まれている。 「ただいま」 小さく。 声ではなく、心を届けるようにつぶやく。 ーーしかし、返事はないーー 来るのを歓迎してくれていた。 「やはりいないのか、それとも……」 本当はここにいて、自分が知覚できないだけなのか……。 エグゼは、心にぽっかりと穴が空いたような喪失感を味わっていた。 ここにくれば、精霊に会える。 そうすれば、ミハエルに対抗する術が、見つかるかもしれない。 そう思っていた。 しかし、現実は甘くはなかったのだ。 「仕方ない、精霊石だけでも、手に入れないと!」 エグゼは気を取り直して、その草原を後にした。 草原を抜け、再び森の中に入る。 その先には緩やかな丘があるのだが、その丘の入り口に、小さな洞窟があった。 エグゼ1人がようやく入れるかどうか、という狭い入り口を入る。 しばらく窮屈な思いをしながら進むと、奥の方から淡い光が見えた。 精霊石は精霊のチカラに反応すると、光を放つ。 ということは、ここには確かに精霊がいるのだ。 「見えないだけなんだ。感じられないだけなんだ!」 広くない一本道を、エグゼは思わず駆け出してしまった。突出した岩壁が、エグゼの肩や頬、足を擦り、怪我を負わせる。 しかし、エグゼは構うことなく走り続けた。 その先にいた。 まるで、エグゼが来るのがわかっていたかの様に。当然の様に佇む少女。柔らかい、陽射しの如き暖かな光を、その身体から放っていた。 ゆっくりと、ゆっくりと振り返る。長い髪が、ふわり、と舞いその美しい瞳とエグゼ
last updateÚltima atualização : 2026-08-14
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造魔、相対する

「なにかわかったか? アーニャ?」 ソウマがアーニャにたずねる。「あれは……」 言いにくそうに口ごもる「確かに魔法、だったわ……」 「そんな! わたしたち、魔法つかえないよ!?」 ティアラが大声を出すが、アーニャの返答は変わらない。「敵さんだけ魔法が使えるのか? それとも他に可能性が……」 思案したソウマだが、すぐになにかに気が付いた。「なにかくる!」 敵の軍隊を退け、『精霊の寝所』の入り口で待機していたソウマが、いきなり叫んだ。 敵意をもった何者かが、まっすぐ、迷うことなくこの『精霊の寝所』に近づいて来ている。 その気配が、ソウマには手に取るようにわかった。「え? でも、意識魔法が…」「効いてない。迷うことなく、妖精の森に入ろうとしてる。人数は、5人だ」 緊張を含んだ声で、ソウマが状況を話す。「そ、そんな……! みんなに、やっつけてもらわないと……」 テレパシーのようなものが使えるのか、ティアラが、意識を集中しようとする。「やめておけ。犠牲がでるだけだ」「で、でも!」 慌てふためくティアラを、ソウマが制する。「ここは俺に任せろ!」 わざわざこちらから出向く必要はない。むこうが向かってくるのなら、このまま、迎え討つのみ。 間を置かずして、目の前の草木が、驚いて退くような動きをして、道を作る。 そしてその先には、見たこともないような醜悪な魔物がいた。 素体は人狼か。 しなやかな肉体に、鋼のような体毛。触れるもの全てを傷付けんとする、鋭利な爪と牙。 鋭い眼光は、どんなに素早い動きでも翻弄することは敵わないであろう。「そーま! なんか、おかしいよ?これ、魔物じゃない!」 ティアラが胸を押さえながら、叫ぶ。「魔物じゃ、ない?」「造魔……っ!」 アーニャが呟く。 ミハエルに作られたと言われる、人造の魔物。 高い戦闘能力と、天才軍師であるミハエルの戦略を兼ね備え、ミハエルの思惑通りに動く、最高の駒。「自分自身の思考能力なんて、ないんだからな。そりゃ、意識魔法も効かないか」 目前に迫った脅威に対し、ソウマ平然と構えていた。 確かにいい兵士だ。 しかし。「取るに足らん!」 会心のタイミングで襲いかかる造魔。 ソウマはまるでそれを見越していたかの如く、ゆるり、と動く。 流水のように、静かに。 相手よ
last updateÚltima atualização : 2026-08-15
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条件

「よくやったな、エグゼ、アーニャ。ティアラも来たのか」 ものの見事にソウマを無視して、たたらが出迎えてくれた。「ミハエルの手下は、引き上げて行ったぞ」 喜びを露わにするたたらに、4人は暗い面持ちで、話をする。 敵の駐屯地を破壊し、兵たちは敗走を余儀なくされたこと。『日を司る精霊』サニーと会話できたこと。 造魔と交戦したこと。 精霊と精霊石を求めて、ミハエルが強力な造魔の軍団を、このシスカの町に送り込もうとしていること。 そして、ミハエルが魔法を使えるかもしれないこと。 話を聞いていたたたらは険しい表情に、一変した。「馬鹿者! 状況は悪化しているではないか! 私は兵を追い払え、と言ったんだ。さらに増やしてどうする!」「しかし、収穫はあった。精霊と交信できた」 ソウマが初めて意見を挟んだ。 というか、今まで発した言葉はものの見事に、たたらによって無視されたのだった……。「そんなことは貴様にいわれなくても、わかっている! こうなってしまっては、仕方がない。早く剣を仕上げるぞ。今回は、エグゼ。お前のチカラも借りるぞ」 そう言ってたたらは側に置いてあった、巨大な鉄槌を手に取る。「え? 僕、鍛冶なんてやったことないけど」「それでも、お前がいないとダメなんだ。特に今回は、魔法に頼ることが出来ん。その代わりに、お前自身の念が必要なんだ」 まじめに話すたたらの顔は、心なしか、赤いような気がした。「ソウマ」 たたらは気をとりなおして、ソウマに向かう。「もしこの戦で、造魔以外誰一人死者を出さなかったら、貴様からの話し考えてやらないでもないぞ」 たたらは、誰一人、というところを強調して言った。「それは、敵味方問わず、ということだな?」「そうだ。敵の人間の兵であろうが、だ」 村の人間はおろか、敵の兵すらも、造魔以外は殺さない。 命のやり取りの場で、そのようなことが果たしてできるのか?「いいだろう。その代わり、一つ条件がある」「ものによっては、聞いてやろう」「戦場に立つのは、俺一人。もしくは『大いなる精霊王の剣』を手にしたエグゼと二人。それ以外の助っ人や、戦力は出さないでほしい」「ほう……。面白い。相手がどれだけの戦力を揃えてくるかもわからないのに、か?」「そうだ」「なっ!?」 エグゼは、激昂したように声を荒げる。「馬鹿
last updateÚltima atualização : 2026-08-17
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房中術とは

「……。話はまとまったな。今、見張りの者から連絡が入った。 グランベルトの旗を持った兵が、こちらに向かっている。 俺があえて迎撃はせず、そのままこちらに向かわせるようツクヨミの街の責任者には伝えた。 進軍スピードからして、この町につくのは3日後。 それまでに準備を整えておけ」 かなりのスピードの進軍である。「3日後か。なら、2日後に、町の前の草原で迎え討つ。 エグゼは、それまでに『大いなる精霊王の剣』を、仕上げてくれ」 腕組みをしたソウマが、静かに言う。「わ、私はなにをしたら……」 あわてて、アーニャが声を発するが、ソウマは片手でそれを制する。「たたらとの約束だ。手を出すな。俺一人、もしくは、剣を手にしたエグゼの二人でやる」「そんな……」「俺を信じろ!」 有無を言わさない、ソウマの言葉にアーニャは口をつぐみ、うなずく。 圧倒的に不利な状況が覆るわけでは、もちろんないのだが、ソウマが言い切ると自然となんとかなる気がする。 それほどの信頼を寄せられるなにかが、ソウマにはあった。「先ほどは途中でこっちに来てしまったが、改めて行くぞ、エグゼ。 お前は、トレーニングなりなんなりしておけ。施設は好きに使わせてやる」「ありがたい。久々に身体を動かすか!行くぞ、アーニャ!」「はぁ?私、つかれてるんだけど…」 ごねるアーニャの襟首を掴み、ソウマ二の句も告げさせず、家の外へ出て行った。「お前はもう少し空気を読め!」 と言い残して……。「騒がしい奴らだ」 悪態をついた、たたらの頬は真っ赤になっていた。「ところで、たたら。僕は、剣を作るにあたってどんな手伝いが出来るんだい?」 エグゼがいつもの笑顔で話しかける。 先ほどの話の続きは、するつもりがないとの意思表示でもあった。「まぁいい。追い追い意思がついてくることもあるだろう」「まずは剣を作る上で、前回と違うのは、私が魔法を使えない、と言うことだ」 剣を作る一振りひとふりに、絶大な魔法力を込めて鍛えていた。 それが今回は使えない。「しかし魔法を使えないのは、僕も一緒だ。腕力という面においても、もちろん技術的な面でも、僕がたたらの役に立てるとは思わないんだ」 それは率直な意見だった。「で、でもあれだ。私が女で、貴様が男、という利点を生かせば、一つだけ、魔法を使わなくても、前
last updateÚltima atualização : 2026-08-18
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