その言葉を聞き、梨花は皮肉な笑みを浮かべた。誰もが、学生時代から結婚まで続く二人の恋に羨望の眼差しを向け、凌真が彼女を心から愛していると信じて疑わなかった。だからこそ、そんな男が血の繋がらない姪の涼宮瑠奈を愛し、梨花に隠れて5年間も秘密の関係を続けていたなど、誰一人として想像すらできないだろう。彼が「会社の用事だ」と言って出ていった無数の夜が、実は瑠奈と身体を重ねていたと知った時、梨花の心は鋭い刃物で切り裂かれ、血まみれになったように痛んだ。息もできないほどの苦しみだった。真実を知ったあの夜、梨花は胸が張り裂けるほど傷つき、涙が枯れるまで泣いた。ふと、7歳の頃、初めて冷ややかな雰囲気をまとった凌真に出会い、恋に落ちた日のことを思い出した。15歳になると、梨花はどこまでも彼の後をついて回ったが、彼の態度はいつも冷たかった。18歳の時、凌真の実家が破産し、両親は借金を苦にビルから飛び降りた。薄暗く湿ったアパートの一室で、少年は手首にナイフを押し当てていた。その瞬間、梨花が部屋のドアを押し開けたのだ。それから彼女は彼の莫大な借金をすべて返済し、女優として絶頂期にあったにもかかわらず芸能界を引退してまで、彼の再起を支えた。彼が不安そうに「どうして俺を好きになったんだ」と何度尋ねてきても、梨花の脳裏に浮かぶのは、彼が身を挺して自分を守ってくれた記憶ばかりだった。中学生の頃、不良たちに路地裏で囲まれた時、彼は梨花を助けるために片腕を骨折し、大好きだったフェンシング部を辞めることになった。高校3年の冬合宿では、スキー場を雪崩が襲い、彼は梨花をかばって肋骨を2本折る大けがを負い、3か月もの間、病院のベッドから起き上がれなかった。交際を始めた日、彼は先祖代々伝わるブレスレットを梨花の腕に通し、「これから先の人生はお前だけと一緒にいたい。絶対に裏切らない」と誓った。そして、「あと3、4年だけ待ってくれ。必ず幸せにするから。頼むから、絶対に俺から離れないでくれ。お前がいなくなったら、俺はおかしくなってしまう」と懇願した。苦楽を共にした7年間、梨花は凌真を世界のすべてだと思い、全身全霊で愛を注いだ。彼も自分を命がけで愛していると信じていたのに、まさかこんな残酷な裏切りが待っているとは思いもしなかった。自分から愛を告げ、絶対に離れな
続きを読む