ホテルへ駆け戻ると、智哉が佳奈の手を取り、誓いの言葉を口にしていた。「君に出会ったあの日から、これから先もずっと、帰る場所は君であってほしい」一瞬、息が止まった。その誓いの言葉は、私が自分で書いたものだった。7年分の想いをたった一言に込めたくて、3晩かけて何度も書き直した。昨夜、智哉は私を抱きしめながら、この言葉は結婚式で私にだけ伝えると言っていた。それなのに今、彼は一文字も変えず、そのまま佳奈に向かって読み上げていた。私の姿に気づいた瞬間、会場を満たしていた拍手がぴたりと止んだ。智哉はすぐに佳奈の手を離し、反射的に私――藤崎結月(ふじさき ゆづき)のほうへ歩み寄ってきた。「結月、今は病院に戻ってくれ。式が終わったら、ちゃんと説明する」私は抑えきれず、智哉のもとへ駆け寄った。「今、説明して!どうして佳奈が私のウェディングドレスを着て、私の指輪をつけて、私と結婚するはずだったあなたの隣にいるの?」智哉は佳奈をかばうように前へ出た。その目に、かすかな苛立ちが浮かんだ。「この結婚式は、最初から佳奈のために用意したものだからだ」その一言で、私は凍りついた。この結婚式のために、私は丸一年かけて準備してきた。なのに智哉は、最初から私の結婚式ではなかったのだと言った。智哉は佳奈の頭を飾るダイヤのベールに目をやり、淡々と続けた。「このベールは、佳奈が前から気に入ってたんだ。海外にいて試着できなかったから、お前に代わりにサイズを確認してもらった」私は智哉を睨みつけた。「じゃあ、ウェディングドレスは?」「あれも佳奈のだ。最初から佳奈のサイズに合わせてデザインされてる」全身から血の気が引いていった。だから智哉は、ウエストを直すのを許さず、ドレスに合わせて痩せろと私に言ったのだ。私はあのドレスを着るために、半年もの間、まともに夕食さえ取らなかった。けれど今になって、ようやく分かった。最初から、本当の花嫁は私ではなかったのだ。佳奈は智哉の腕に自分の腕を絡め、憐れむような目で私を見た。「お姉ちゃん、智哉を責めないで。私が智哉に、お姉ちゃんのそばにいてって頼んだの。あの頃、私は海外で治療を受けることになって、もう戻ってこられないかもしれなかった。お姉ちゃんもその頃、元彼に振られたば
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