時には、昼間ですら良平を訪ねてくることさえためらうようになっていた。私は少し不思議に思った。才加はあれほど、良平を愛していると言っていたはずではなかったか。私たちが結婚する前、才加とその両親は代わる代わる私を訪ねてきて、身を引くよう迫ってきたものだった。それが今では、こんな様子で、一体どういうつもりなのだろう。けれど、その答えはほどなく明らかになった。この頃の良平は、寝室に自分ひとりで閉じこもり、扉も窓も固く締め切ったまま、私の骨壺に向かって、思い出をうわ言のように語りかけていた。私はその部屋に縛り付けられていたが、彼に胸の内を吐露されても、少しも心を動かされることはなかった。ただただ気だるく、毎日のように、どうして私はまだ成仏できないのだろうと考えるばかりだった。半月もの間、良平はろくに食事も水分も取らなかった。本当に空腹に耐えきれなくなった時だけ、冷蔵庫から残っていたヨーグルトを少し口にした。賞味期限が切れていようがお構いなしだった。彼はどんどん痩せ細り、憔悴しきった様子で、まるで一気に何歳も老け込んだかのようだった。見かねた私は、彼の夢枕に立ち、もう私のことは考えないでほしい、このままでは私まで成仏できなくなってしまうと伝えた。夢のなかで、彼はぼろぼろに泣き崩れ、私の脚にすがりついて、行かないでくれと懇願していた。まさか翌日、彼が本当に自分のためにまともな夕食を注文するとは、思いもしなかった。てっきり生きる気力を取り戻したのだと思っていた。けれど実際は、死ぬ覚悟を決めただけだったのだ。その夜、彼は浴槽になみなみと水を張り、傍らに鋭い果物ナイフを一本置いていた。良平は果物ナイフを握りしめ、自分の手首に刃を当てようとした、まさにその時、傍らのスマホが鳴り響く。少し迷った後、彼は電話に出た。繋がった瞬間、友人の興奮した声が飛び込んできた。「黒羽社長!優衣を死に追いやった男を見つけました!」私の死を知った後、良平は雇っていた見張りの男に怒りに任せて電話をかけ続けていたが、一向に繋がらず、それきりその男の行方も掴めなくなっていた。良心が咎めたのか、その友人が自らこの件を引き受け、男を見つけ出してやると言い出したのだ。てっきり良平は、その男を警察に突き出すか、憤りをぶつけるだけだと思っていた。
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