死んだはずの私が再び目を覚ますと、婚約者である良平の結婚式は、ちょうどクライマックスを迎えていた。彼の本命である高須才加(たかす さやか)が、本来は私のために誂えられたウェディングドレスを纏い、良平と並んでケーキにナイフを入れている。周囲からは大きな拍手と歓声が上がっていた。ふたりの薬指には、私が二か月かけて心を込めてデザインした指輪が光っていた。あの指輪は私が心血を注いだものであり、私たちの愛の証だと、良平は言っていた。自分が預かっておき、大勢の祝福のなかで、私の指にはめてくれるはずだったのだ。けれど今、その指輪は才加の指にある。落ち込む間もなく、入刀を終えたばかりのふたりに向かって、誰かが茶化すような声をあげた。「ぼーっとしてないで、新郎!さっさとキスしろよ!」聞き覚えのある声だった。目を凝らすと、はしゃいだ声を上げているのは良平の友人だった。彼だけではない。傍らには、かつて私と良平の共通の友人たちの姿が何人も見える。全員、この結婚式に列席していたのだ。彼らは口々に囃し立て、なかにはクラッカーを頭上に向けて景気よく鳴らし、「末永くお幸せに」と声を張り上げる者までいた。覚えている。良平と才加が式を挙げると聞いた時、彼らはこぞって良平を最低だと非難し、「絶対に優衣の味方だ、あんな式には出ない」とまで誓ってくれたはずだった。しばらく黙り込んだ後、私は思わず笑ってしまった。考えてみれば、それも当然だった。良平の会社が軌道に乗るまで支えた後、私はほどなくして仕事を退いて家庭に入り、会社の経営はすべて彼に任せた。この友人たちは、多かれ少なかれ良平の会社と関わりがある。役職に就いている者もいれば、取引先として付き合いのある者もいるのだ。私に取り入るより、良平に取り入るほうがよほど大事だということだろう。私は苦笑しながら、目の前でタキシードに身を包み、才加の腰に自然と手を回して幸せそうに笑う良平を見つめた。複雑な気持ちだった。けれど、驚きはしなかった。ひと月前、式が目前に迫った頃、良平は突然、花嫁の座を才加に譲ってほしいと切り出した。才加の祖母の容態が日に日に悪化しており、最期の願いが、最も可愛がってきた孫娘の花嫁姿を見ることなのだという。「優衣、才加は俺の幼馴染なんだ。助けてやらないと。それに、こ
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