飛行機がM国に到着した頃、ちょうど夕方だった。夕風に吹かれ、頬に残っていた涙もすぐに乾いた。到着ロビーへ出ると、迎えに来ていた親友・小野寺莉子(おのでら りこ)が目に入った。顔を合わせるなり、莉子は澪花を抱きしめた。「やっと来たね。ずっと待ってたんだから。疲れたでしょう?」澪花はどうにか笑みを作り、うなずいた。「大丈夫」澪花の青ざめた顔と、ひどくやつれた様子を見て、莉子は目を見張った。「澪花、何があったの?どうしてそんな……」莉子は慌てて澪花を支え、車に乗せた。今にも倒れそうな澪花を、そのまま腕の中へ抱き寄せた。澪花は長く息を吐いた。ここ数日ずっと気を張っていたが、ようやく少しだけ肩の力が抜けた。車の窓から見知らぬ街を眺め、しばらく黙ったあと、これまでの出来事をすべて打ち明けた。莉子は高校時代からの親友だ。高校卒業後、M国へ留学している。自分の大学が交換留学生を一人募集していると知り、莉子は澪花を強く推薦してくれた。だが、それまで何度勧められても、澪花は断ってきた。今回こそ来てくれたことに、莉子はほっとしていた。だが、目の前の澪花は、前に会ったときの元気な姿とはまるで別人だった。話を聞くうちに、莉子は怒りを抑えきれなくなった。「晴臣って、そんな大事なことをずっと隠してたうえに、澪花と赤ちゃんまで利用して、自分の息子を助けようとしたの?ほんと最低!どうしてもっと早く話してくれなかったの。一人で全部抱え込んでたなんて。晴臣も智紀さんも、見る目がなさすぎる。二人そろって、あんな腹黒い女に騙されるなんて。早く教えてくれてたら、すぐに帰国したのに。絶対に黙ってなかった!」本気で怒る莉子を見て、澪花は思わず笑い、なだめるように言った。「もう大丈夫。終わったことだし、あの人たちとはもう関わりたくないの」莉子は澪花を自分の家へ連れていった。寝室も、すでに使えるように整えてある。移動中に、かかりつけの先生と理学療法士にも連絡していた。家へ着くなり、澪花は先生に詳しく診てもらった。先生からは、流産直後で体が弱り、強い精神的ショックを受けてはいるが、幸い深刻な状態ではないと言われた。莉子はようやく安心し、家政婦におかゆを作ってもらった。莉子は澪花が食べ終わるまでそばに付き添った。パジャ
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