訓練所跡地にて、ローザは適当な的の前に立つと、ポキポキと指を鳴らしながら呟いた。 「そういやお前、名前は?」 「名前ぇ…?」 名前ないな、そういえば。 この世界に来た時から、ずっと食屍鬼と呼ばれ続けてきたし、モニカからすら、アンタとか、食屍鬼って言われてたし。 特段、名前らしい名前はない。 「名前ないな…」 「はぁ?んなワケねえだろ、言いたくねえのか?嫌いな名前なら、適当に偽名名乗りゃ良いだろ。」 「うーん…」 そう言われると悩む。 ローザは訝しんでいるが、名前がないのは本当だし、今更決めるのもなんかな…。 「今まで通り食屍鬼でいい。本当に名前ないし。」 「食屍鬼はこの施設にもいんだよ、いちいち個体識別番号で呼んでたら混ざるだろ。」 「ああ、そうか。」 私は見た事ないけど、食屍鬼もこの施設にいんのか。 ゲーム開始地点の名前を決める所で、デフォルトネームがダメみたいな感覚に陥った。 「うーーーん……じゃあ、モニカで……」 「モニカ?」 「うん。モニカ。」 「お前、“聖女モニカ”知ってんのか。」 え、知らないけど。誰それ。 「誰?聖女モニカって。」 「逆に知らねえのに、なんでモニカなんだよ。」 「私が世話になった人の名前……いやちょっと待って、やっぱ知ってるかも、聖女モニカ。」 確か、モニカの名前の由来が、まんま聖女モニカからだった気がする。 『昔々にいたお姫様の名前を付けられるとはね。こんなのが聖女なんて笑わせてくれるよ、ったく。』 そう言って、一度だけ、モニカが話してくれたことある。 この異世界、この連邦国における、モニカという名前の由来。 コムハニーにより発足した、魔法を持つ元人間の人外達。 時折、それらは暴走したり、破壊したりで、国を壊しかねない存在となり得る者もいた。 特にドラゴン種なんかが、魔力を暴走させ、自我を失ったら、それこそ国が崩壊してしまう。 下手すりゃ、他国にまで被害が及ぶのだ。 そんな中で、暴走した者を唯一、魔法で鎮られる、文字通りの“聖女”がいたと。 聖女という役職には、種族は関係ない。 私の世界で言う所の、看護師とかと同じ。 そして、一際、暴走した魔力を鎮られるヒールの力が強いとして、連邦国で名を馳
Huling Na-update : 2026-09-28 Magbasa pa