小雪は【わかった】とだけ返信し、直子に言った。「この子、やっぱりお家の方が落ち着くみたい。連れて帰るわ」言い終えると星奈に向かって続けた。「ベッドから下りて靴を履いて。警備の人が迎えに来たから下まで送るわね」それを聞いた星奈の目がぱっと輝いた。やった、ここに泊まらなくていいんだ!嬉しそうにベッドから飛び降り靴を履くと、小雪の手を握った。「よし、ママ行こう!」そして祖父母にも手を振って挨拶をする。「バイバイ」小雪の表情はさらに冷たくなった。直子は孫娘との別れを惜しみ、ポケットから小銭を取り出して何か買うようにと持たせようとした。小雪はそれを止めた。「いらないの、お母さん。そのお金は取っておいて」そう言うと、星奈を連れて階下へ下りていく。病院の正面玄関を出ると、夜の冷たい風が顔を打った。星奈は寒さに小雪へぴったりと身を寄せ、甘えるように擦り寄った。「ママ、抱っこ……」小雪は星奈を抱き上げ、少し離れた場所に停めてある車へと歩いていく。小さな星奈は、まだ抱き上げられないほど重くはなかった。待機していた警備担当が車のドアを開けた。小雪は星奈を後部座席に乗せ、シートベルトを締めながら言い聞かせた。「夜お風呂に入ったら、早く寝るのよ」今夜ママに少し甘えたい気分だった星奈はそれを聞いて、思わず小雪の首に腕を回した。「ママも一緒に帰れないの?ママと一緒がいい」ママがいないと時々落ち着かない気持ちになる。特に今夜はパパの帰りが遅くなりそうだし、ママもパパもいない家で過ごすのは退屈すぎる。それに、千笑さんへの蒸しパンもまだ用意していない。今夜千笑さんとテレビ電話をするなら、こっそりパパの書斎に行けばいい。パパはママを書斎に入れないから、絶対にママには見つからないはず!小雪は星奈の髪を撫でながら淡々と言った。「ごめんね、ママ今ちょっと忙しいの。用事が片付いたら、また帰るからね」星奈は少し寂しそうに「はぁい」と返事をしたが、それ以上は何も言わなかった。今度ママが帰ってきたら、その時に蒸しパンを作ってもらえばいい。星奈はねだるように言った。「じゃあママ、明日のお昼、学校にお弁当持ってきてくれる?ママの作ったご飯が食べたいな」明日は南山コーポレーションに行かなければならないし、朔人と離
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