3ヶ月前、友人の集まりで大翔と出会った瞬間、愛夏は恋に落ちた。そこからは迷うことなく、猛アプローチを仕掛けた。彼と一緒にいると、なぜか懐かしい気持ちになって、不思議と安心できた。まるでずっと前から一緒にいたような感覚だった。愛夏は友人たちにも、「こういうの、運命っていうのかもね」なんて冗談っぽく話していた。思い立ったらすぐ行動に移すたちの愛夏は、同棲を始めてしばらく経つと迷わず結婚を決意し、自分からプロポーズした。大翔が頷いてくれたその足で、役所へ婚姻届の事前確認を予約しに行った。サプライズにしたくて、彼には黙っていた。出張だと嘘までついて。まさかその嘘が、これほど大きなサプライズになって返ってくるとは。わけがわからないまま、とりあえず新しい予約だけ取り、放心状態で家路についた。屋敷には、煌々と明かりが灯っていた。大翔は数日間の出張だと言っていたはずなのに……愛夏は手足を冷たくこわばらせながら、そっと裏口から中へ入った。庭からは、耳をつんざくようなロックミュージックが響いてくる。華やかな照明と酒宴の喧騒の中、大翔は気だるそうにワイングラスを揺らしながら、庭の大きなアオギリの木に寄りかかっていた。シャツのボタンは無造作に外され、胸元がのぞいている。「大翔、愛夏さんの記憶障害も、もう何年になる?彼女がプロポーズするたびに、こっそり薬をすり替えて治療を止めさせてるんだろ。いつか本当に、お前のことを全部忘れられちまうのが怖くないのかよ」愛夏は信じられないというように目を見開き、自分の耳を疑った。その瞬間、記憶が怒涛のように脳裏へ押し寄せてきた。凄まじい勢いで次々と蘇り、やがて彼女を完全に呑み込んでいく。思い出した。すべて、思い出してしまった……この8年間、自分は何度も大翔を忘れ、そのたびにまた彼に恋をしていたことを。愛夏が大翔と出会ったのは大学時代だった。一目惚れだった。彼を落とすためなら、女としてのプライドなんてどうでもよくて、思いつく限りのロマンチックなことを片っ端からやった。校内放送に何度も曲をリクエストし、彼を思いながら選んだ曲を流してもらったこともある。街中のフォトスポットを巡っては、【大翔、大好き】と書いたメッセージボードを手に写真を撮った。彼がアオギリの木を好きだと知ったと
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