All Chapters of 心を閉ざして家出したら、家族全員が死ぬほど後悔した: Chapter 11 - Chapter 12

12 Chapters

第11話

父は青ざめたまま、その場に立ち尽くしていた。大きな体を縮こまらせるように肩を落とした姿は、ついさっきまでとは別人のように老け込んで見える。何度も何か言おうと口を開くのに、結局、言葉にはならなかった。私はもう、2人の顔を見ていたくなかった。床に散らばったネックレスの欠片を拾い集め、その場を離れようとしたところで、ふと足を止める。「蓮」振り返らないまま、名前を呼んだ。「婚約指輪なら、緋奈の誕生日パーティーで返したよ。覚えてる?」背後で、蓮が息を呑んだ。「……あれ」かすかに震える声が返ってくる。「あのときの……あれ、美月だったのか?」私は小さくうなずいた。「そう。私だった」少しの沈黙を置いて、静かに続ける。「だから、これで私たちはもう終わり。何の関係もない」視界の端で、両親がこちらへ歩み寄ろうとするのが見えた。けれど私は、その手を取ることなく怜司の腕を取った。もう、遅すぎたのだ。あの誕生日パーティーの日、ほんの少しでも私のことを見てくれていたら。あの場にいたのが私だと、誰かひとりでも気づいてくれていたら――もしかすると、ここまで迷いなく手放すことはできなかったかもしれない。けれど、今となってはどうでもよかった。死にかけて、ようやく分かったのだ。私はもう、あの人たちの愛を求めなくていい。その後も、蓮は何度となく私のもとを訪ねてきた。ある日など、私の前で膝をつき、何度も自分の頬を打った。「やめて」静かに止めると、蓮の手が止まる。「そんなことしても、私は許さないよ」その目から、また涙がこぼれた。自分が何を壊したのか、今になってようやく分かったのだろう。私は確かに蓮を愛していた。だからこそ、これまでのことを簡単になかったことにはできない。蓮は泣きそうな顔のまま、どうにか笑おうとした。「ごめん。俺は緋奈を、妹と重ねてたんだ」蓮は俯き、しばらくしてから言葉を継いだ。「俺を助けて死んだ妹のことが、ずっと忘れられなかった。あの子への罪悪感も消えなくて……緋奈に優しくしてやれば、少しは楽になれる気がしてたんだ」そこで一度、言葉が途切れる。「でも、緋奈は妹じゃない。それなのに俺は、罪悪感から逃げたくて、勝手にあの子を重ねてた」やがて顔を上げた蓮は、まっすぐ私
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第12話

その後、母も私を訪ねてきた。以前より白髪がずいぶん増え、顔には隠しきれない疲れと後悔が滲んでいた。私の手を握ったまま、なかなか離そうとしない。その目には、許してほしいという思いがありありと浮かんでいた。両親は緋奈を家から追い出し、遺言書まで作って、すべての財産を私に残すことにしたらしい。けれど、今になって差し出された愛情に、もう心が揺れることはなかった。どれだけ後悔されても、これまでのことまでなかったことにはできない。それから間もなく、母は帰宅途中に大きな交通事故に遭った。父もその衝撃に耐えられず病に倒れ、ほどなくして後を追うように亡くなった。葬儀の日は、細かな雨が降り続いていた。並んだ2つの墓石を前にしていると、ふと15歳のあの日を思い出した。私を迎えに来た両親は、手を握りながら言ってくれた。これからは、今までの分まで大切にする、と。私はずっと、その言葉を信じていた。けれど、最後まで叶うことはなかった。一方、蓮もこのところ、頭を抱える日々が続いていた。怜司が事業で桐生グループを次々と追い込み、会社は立て続けに打撃を受けていた。株価は暴落し、提携先も次々と手を引いていった。それでも蓮は、彼なりに償おうとしていた。高価な宝石に、不動産の権利書、株式の譲渡書類。次々と送られてきたものを、私はひとつ残らず送り返した。それから間もなく、私は怜司と盛大な結婚式を挙げた。指輪を交換するとき、会場のいちばん後ろに見覚えのある姿を見つけた。蓮だった。以前よりずっと痩せ、顔色もひどく青白い。白いドレスをまとった私が怜司へ「はい」と答えた瞬間、蓮はこみ上げるものを堪えるように私を見つめた。それでも彼は手を叩き、何度も私たちへ拍手を送っていた。式が終わると、蓮が私のもとへやってきた。しばらく何も言わずに私を見つめたあと、ようやく口を開く。「美月……きれいだ」「ありがとう」「この結婚式、俺も何度も想像したことがあるんだ」「……」「ほとんど、思い描いてた通りだよ」蓮は笑った。けれど、その頬には涙が伝っていた。「ただ、美月の隣にいるのが俺じゃない。それだけだ」私は何も答えなかった。しばらく黙っていた蓮は、やがて静かに言った。「絶対、幸せになれよ」「
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