私は思わず笑ってしまい、首を振った。新しい環境で働き始めてから、心も体も日に日に軽くなっていくのを感じた。誰かに足を引っ張られることも、意地悪をされることもない。それだけで、こんなにも爽快なものかと思い知らされる。努力すれば、それに見合った成果がきちんと返ってくる。1ヶ月後、私は幹部クラスにまで昇進した。国内で10年働き、5回も昇進申請を出しながら、一度も手にできなかった地位だった。一方の英輔は、頻繁にニュースのトップを飾るようになった。もちろん、いつも綾夏とセットで。夫婦としてさまざまな社交の場に出席しては仲睦まじさをアピールし、誰もが「お似合いの理想の夫婦だ」と口を揃えて称賛していた。おそらく英輔も、自分が本当に想っていた相手が綾夏だったのだと気づいたのだろう。それはそれで、良かったのだと思う。今の私は、ふたりが仲睦まじくしている姿を見ても、まるで他人事のように、心は波ひとつ立たなくなっていた。あっという間に、3年の月日が過ぎた。帰国して赴任成果を報告する時期がやってきた。思いもよらないことに、空港の到着ゲートで私を待っていたのは、なんと英輔と綾夏だった。英輔はサングラスをかけ、いかにも傲慢な様子で、私の姿を見るなりすぐに背を向けて歩き出した。一方の綾夏は、相変わらず穏やかな仮面をかぶったまま、棘のある口調で言う。「嘉音さん、あなたこの3年、国内より海外の方がよっぽど水が合ってたみたいね。少しふっくらした?もう帰国したくないんじゃない?」本社からの迎えという名目で来てくれた以上、無下に断るわけにもいかず、私はそのままふたりについていった。冬服のおかげでまだほとんど目立たない、妊娠3ヶ月のお腹をそっと撫でる。太ったわけではない。妊娠しているのだ。心の中でそう返しながら、口では適当に受け流す。「ええ、まあ。順調にやってるわ」地下駐車場に着くと、英輔は真っ先に運転席に乗り込んだ。綾夏は迷わず助手席のドアを開けて座り込む。シートベルトを締めながら、ふいに気づいたように言った。「あら、ごめんなさい。忘れてたわ、嘉音さんこそ助手席に座るべきよね。今すぐ降りるから」英輔がふんと鼻を鳴らす。「そんなわがままに付き合う必要はない。後ろに座らせておけばいいだろ」私は少し訳
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