All Chapters of 天寿を全うしたら美少女閻魔大王に異世界に転生を薦められました。~戦国時代から宇宙へ~: Chapter 11 - Chapter 20

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第十話 信長と龍之介

第十話 信長と龍之介 明智光秀が毛利攻めへ向かうために本能寺を出ると、謁見の間には織田信長と龍之介が残された。 信長は光秀が去っていった方へしばらく視線を向けていたが、やがて龍之介へ向き直った。「さて、中納言殿。儂は以前から、一度そなたと腹を割って話してみたいと思っておりました」「それは奇遇ですな。それがしも、安土様とは一度、ゆっくりお話をしてみたいと思っておりました」「では、茶室へ場所を移しましょう。蘭丸、茶室の支度はできておるか?」 信長が声をかけると、襖の外で控えていた森蘭丸が、間を置かずに返事をした。「はっ。すでに整っております」 蘭丸は、信長が龍之介と二人で話すために茶室へ移ることを予想し、謁見が始まる前から準備を進めていたらしい。 信長が細かな指示を出すより先に、その意図を読み取って動く。蘭丸が小姓として寵愛されているのは、容姿が美しいからだけではなく、主人の考えを先回りできる有能さを備えているからなのだろう。「中納言様、こちらでございます。茶室までご案内いたします」 龍之介は信長に続いて立ち上がると、蘭丸の案内で本能寺の庭へ出た。 庭園の一角に、周囲の景色へ溶け込むように小さな茶室が設けられていた。 建物そのものは質素で、華美な彫刻や金銀の飾りは見当たらない。しかし、庭の石や木々との釣り合いが見事に整えられ、窓からは季節の草花を借景として楽しめるよう工夫されている。限られた空間の中へ自然の美しさを取り込む造りには、武将としてだけでなく、文化人としても優れた感性を持つ信長の才能が表れていた。 龍之介と信長は、身体をかがめなければ通れない狭い躙り口から茶室へ入った。 室内に入ったのは二人だけであり、森蘭丸は外で待機している。わずかな物音にも対応できる位置にはいるが、二人の会話を邪魔することはなかった。 茶室の中には畳と土壁の落ち着いた香りが漂い、庭から聞こえる鳥の声と、時折風に揺れる葉の音だけが、静かな空間へ届いていた。 信長は龍之介の前へ座ると、自ら茶を点て始めた。
last updateLast Updated : 2026-09-04
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第十一話 初めての自宅屋敷

第十一話 初めての自宅屋敷 本能寺の変を未然に防ぎ、織田信長の娘との婚姻まで決まった龍之介は、ようやく帰路につくことにした。 これまで世捨て人のように暮らしていた龍之介も、ついに時代の大きな流れへと漕ぎ出したのである。 本能寺の外へ出ると、日はすっかり高く昇っていた。境内には初夏の明るい日差しが降り注ぎ、木々の青葉を鮮やかに照らしている。「中納言様、中納言様。しばし、お待ちください!」 門へ向かって歩いていた龍之介を、背後から呼び止める声がした。 振り返ると、森蘭丸がこちらへ駆け寄ってくるところだった。朝の光を受けたその姿は、やはり美しく、可愛らしい。龍之介は思わず、我が家の家臣に迎えたいものだと考えてしまった。「何ですかな、蘭丸殿」「嵐山のお屋敷まで、徒歩でお帰りになるおつもりですか?」 龍之介は本能寺へ来る際、明智光秀の軍勢から馬を借りていた。しかし、今はその馬もない。 本能寺から嵐山までは、徒歩で向かうには少々遠い。電車もなければ、バスもないこの時代、馬がなければ自らの足で歩くしかなかった。「御館様より、中納言様を屋敷までお送りするよう命じられております。馬を一頭、それから失礼ながら、腕に覚えのある者を二名、護衛として付けさせていただきます。どうか、お使いくださいませ」 そう言って蘭丸が示した先には、立派な馬と二人の武士が控えていた。 本来ならば、龍之介に護衛など必要ない。洛中ではその剣の腕前を知らぬ者は少なく、また、これまでは世捨て人同然の公家と思われていたため、命を狙われる理由もなかった。襲ってくる者がいるとすれば、事情を知らぬ物取りか強盗くらいであろう。 とはいえ、織田信長は祝言前とはいえ、すでに義父となる人物である。その厚意を無下に断る理由もない。「これはありがたい。安土様のお心遣い、謹んでお受けいたしましょう」 龍之介は丁寧に礼を述べ、馬と二人の護衛を借りて屋敷へ帰ることにした。 本能寺の門を出たところで、龍之介は周囲に目を配りながら静かに呼びかける。「影鷹はお
last updateLast Updated : 2026-09-05
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第十二話 御所からの呼び出し

  翌朝、嵐山の山々に朝の光が差し始めた頃、龍之介の屋敷へ御所からの使者が慌ただしく訪れた。「帝よりのお召しにございます。正装を整え、ただちに参内するようにとの御命令でございます」 帝から呼び出されること自体は、これまでにも何度かあった。龍之介は帝の話し相手を務めることがあり、宮中行事の際にも参内していたからである。 しかし、わざわざ正装を指定されることは珍しい。「承知した。支度が整い次第、ただちに参内するとお伝えくだされ」 使者へそう答えながら、龍之介には今回の呼び出しの理由が分かっていた。 昨日、本能寺で織田信長と交わした話が、早くも動き始めたのだろう。 龍之介は急いで身支度を整え、正装である束帯に身を包んだ。腰には、三上家に伝わる家宝の金太刀『金胴鳳凰宝相華文兵庫鎖太刀』を佩く。 鏡の前で装いを確認した龍之介は、屋敷の前に用意された牛車へ乗り込み、御所へ向かった。 車輪が軋む音を響かせながら、牛車は朝の京をゆっくりと進んでいく。すれ違う人々は三上家の家紋を目にすると、道の端へ寄って深々と頭を下げた。 やがて御所へ到着し、帝に拝謁するための広間へ向かうと、そこにはすでに大勢の公家が集まっていた。廊下では衣冠を整えた者たちが慌ただしく行き交い、誰もが突然の召集について小声で言葉を交わしている。 龍之介は権中納言という身分であり、本来ならば相応の位置へ着座することになる。しかし、これまでは余計な注目を避けるため、自ら進んで末席へ座ることが多かった。 ところが、この日に限っては着座する場所があらかじめ指定されていた。 案内されたのは、上座から二番目という極めて高い位置である。 龍之介がそこへ腰を下ろすと、周囲の公家たちは驚きを隠せなかった。何人もの者が、訝しげな視線をこちらへ向けている。「なぜ、三上の権中納言殿があの席に……」「帝の御子であるとはいえ、これまでは政治に関わらぬ世捨て人であったはずだ」 そんな囁き声が、広間のあちらこちらから聞こ
last updateLast Updated : 2026-09-06
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第十三話 祝言、そして……初夜

 織田信長の娘である歩美姫と、正二位左大臣に任じられたばかりの三上龍之介正圀との祝言は、驚くほど急に執り行われることとなった。 本来であれば、織田家と三上家、さらには朝廷にも深く関わる縁組である。相応の時間をかけて支度を整え、諸国の大名や公家を招いた盛大な祝言となるはずだった。しかし、信長は関白兼征夷大将軍として毛利攻めを進めるため、近いうちに中国地方へ遠征しなければならない。ひとたび京を離れれば、しばらく戻れなくなる可能性もあった。 そのため、まずは両家の身内だけで仮祝言を挙げ、正式な披露については天下の情勢が落ち着いてから改めて行うことになったのである。 安土から急ぎ京へ呼び出された歩美は、父である信長から縁談を告げられた時、さすがに困惑を隠せなかった。「父上、私が三上様へ嫁ぐというお話は、本当に決まったことなのでございますか。せめて、もう少し前にお聞かせくださってもよかったのではありませんか」「前もって話しておれば、そなたは余計なことを考え、眠れぬ夜を幾晩も過ごしたであろう。決まったことを長々と悩ませるより、早く伝えて早く嫁がせたほうがよい」「そのような理屈で納得できる娘が、世の中にどれほどいるとお考えなのですか。父上は戦の支度も娘の祝言も、同じようにお考えなのですね」 歩美が呆れた顔を見せても、信長は悪びれる様子を見せなかった。「相手が気に入らぬというなら話は別だが、三上龍之介殿は帝の御子にして正二位左大臣、剣術にも優れ、何より天下の行く末を見通す目を持っておる。あれほどの男を婿にできる機会など、二度と巡ってはこぬぞ」「私は、まだ三上様のお顔すら、まともに拝見したことがございません」「ならば祝言の後、飽きるほど見ればよい。龍之介殿は朴念仁ではあるが、女子を粗末に扱うような男ではない。そなたが織田の娘であることを鼻にかけず、三上家の妻として誠実に仕えれば、必ず大切にしてくださるであろう」「父上がそこまで他人を信頼なさるとは、少々意外でございます」「儂とて、人を見る目くらいは持っておる。よいか、歩美。これは確かに政略による縁組だ。しかし、政略から始まった夫婦が、すべて
last updateLast Updated : 2026-09-07
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第十四話 天下統一への一歩

第十四話 天下統一への一歩 織田信長が従一位関白兼征夷大将軍へ任じられ、朝廷から錦の御旗の使用を許されたという知らせは、早馬や使者によって瞬く間に全国へ広まった。 これまで信長と敵対してきた大名にとって、この任官が持つ意味はあまりにも重かった。今後も織田家との戦を続ければ、単に信長の天下取りへ逆らうだけでは済まず、朝廷へ弓を引く朝敵とみなされるからである。 諸国の城では連日のように評定が開かれ、織田家へ恭順するのか、それとも徹底抗戦を続けるのか、重臣たちが激しい議論を交わしていた。家の誇りを守ろうとする者、領民の命を優先しようとする者、降伏を装って時節を待とうと考える者など、その思惑は一つではなかった。 信長と敵対していた有力大名の一人、越後の上杉景勝もまた、春日山城で難しい決断を迫られていた。 広間には越後と北陸の地図が広げられ、織田軍の進路を示す駒がいくつも置かれている。上杉家は柴田勝家をはじめとする織田方の軍勢と戦を続けていたが、ただでさえ戦況は厳しく、そこへ信長の関白兼征夷大将軍就任という知らせが届いたのである。 景勝を執政として支える直江兼続は、しばらく地図を見つめた後、覚悟を決めて口を開いた。「景勝様、もはや戦を続けることは得策ではございません。取り急ぎ停戦の使者を柴田勝家のもとへ送り、上杉家に朝廷へ逆らう意志がないことを明らかになさるべきでございます」 上杉景勝は、すぐには答えなかった。厳しい表情のまま腕を組み、地図の上に並ぶ織田方の駒を睨みつけている。「兼続、そなたは儂に、信長へ膝を屈せよと申すのか。上杉は幾度も織田と刃を交えてきた。その戦で命を落とした者たちに、どのように言い訳をすればよい」「信長に屈服するのではございません。朝廷の御命令に従うのでございます。ここで意地を通して戦を続ければ、上杉家は朝敵となり、領内の寺社や国人衆までもが動揺いたしましょう。そうなれば、敵は織田軍だけでは済みませぬ」「言葉を飾ったところで、世間から見れば降伏と同じであろう」「たとえ世間に何を言われようとも、御家と民が残れば、再び力を蓄えることができます。しかし、朝敵の汚名を
last updateLast Updated : 2026-09-08
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第15話 家臣募集中

第十五話 柳生宗矩と西洋備え 近江八幡十万石の大名となった龍之介であったが、その家臣と呼べる者は、漆黒の装束をまとった忍びの影鷹ただ一人しかいなかった。 もちろん、嵐山の屋敷には炊事や掃除、馬の世話などを担う下人たちがいる。新たに領地となった近江八幡にも、織田家から引き継いだおよそ三千人の足軽が待機していた。しかし、足軽たちを率いる侍大将や、領地の政務を取り仕切る奉行となる家臣が、三上家には一人もいなかったのである。 これまでは世捨て人として暮らしていたため、それでも困ることはなかった。しかし、十万石の領地と三千の兵を預けられた以上、いつまでも影鷹一人へ何もかも任せておくわけにはいかない。 龍之介は嵐山の屋敷にある自室で、近江八幡から届けられた人別や年貢に関する書付を眺めながら、深いため息をついた。「領地を頂いたのはありがたいが、人がおらぬのでは何も始められぬ。民を治めるにも兵を動かすにも、信頼できる家臣が必要だな」 独り言を漏らした龍之介は、書付から顔を上げると、部屋の外へ向かって声をかけた。「影鷹はおるか」「はっ、ここにおります」 返事が聞こえた時には、すでに影鷹が龍之介の斜め後ろで平伏していた。 いつ部屋へ入ってきたのか、戸が開いた音も、畳を踏む気配もなかった。龍之介は武芸において常人とは比べものにならないほど鋭い感覚を持っているが、それでも影鷹が本気で気配を消して近づくと、姿を現すまで気づけないことがある。「相変わらず、どこから現れたのか分からぬな。味方だと知っていても、少しばかり肝が冷えるぞ」「忍びが姿を見せてから気づかれるようでは、日頃の鍛錬が足りぬということでございます」「褒めておるのだが、なぜ儂が説教されているような気分になるのだ。まあよい、影鷹に尋ねたいことがある。そなたの里、あるいはこれまでの修行で知り合った者の中に、三上家へ仕えてくれそうな人材はおらぬか。腕が立つだけでなく、兵を率いることのできる者が欲しい」 影鷹は少し考えるように目を伏せた後、静かに答えた。「それでしたら、かつて同じ師のもとで技を学ん
last updateLast Updated : 2026-09-09
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第16話 新装備

第十六話 新装備 龍之介は以前から、戦国時代の合戦において、持ち運びのできる『盾』がほとんど活用されていないことを不思議に思っていた。 前世で見た戦国時代を題材とする物語でも、槍や刀、弓や火縄銃は盛んに登場していたが、盾を持って戦う兵の姿はめったに描かれなかった。実際の戦場でも、木の板を並べた盾は陣地の守りなどに使われていたものの、最前線で兵が手に持って運用する大型の盾は、あまり普及していなかったのである。 西洋の戦場と違い、日本には山や谷が多く、戦場となる土地も起伏に富んでいる。大きく重い盾を持ったまま山道や湿地を進むことは難しく、そのため日本では、武士が携行する盾が大きく発達しなかったのだろう。 もちろん、防具としての盾がまったく使われていなかったわけではない。火縄銃が広まってからは、細い竹を幾重にも束ねた『竹束』が弾除けとして使われていた。竹束は比較的手に入りやすく、銃弾の勢いを弱めることもできたが、龍之介は自軍の防御力をさらに高められないかと考えていた。「三千の足軽へ西洋式甲冑を着せるだけでも、従来の軍勢よりは頑丈になる。しかし、銃弾が飛び交う中を進ませるのであれば、身体を隠せる盾も欲しいところだな」 そこで龍之介は、洛中で腕を認められている甲冑師や鍛冶師を嵐山の屋敷へ呼び集め、自らが考える盾の姿を説明することにした。 龍之介が用意させた紙には、大きな盾の絵と寸法が細かく書き込まれていた。集められた職人たちは、その見慣れない形を前にして、何度も首をかしげている。「作ってもらいたいのは、兵一人の身の丈をほとんど隠せる盾だ。高さは、およそ一間より少し低い程度、今の尺度で申せば百七十センチほどを考えている。前方を確認するための覗き穴を設け、火縄銃を支えられる場所と、そこから撃てる射撃口も欲しい」 年長の甲冑師が図面を覗き込みながら、慎重に尋ねた。「これほど大きな盾を鉄で作れば、相当な重さになります。火縄銃の弾を防ぐだけの厚みを持たせれば、屈強な足軽でも長い距離を運ぶことは難しいでしょう」「それは承知している。まずは実際に作り、その重さと強度を確かめたい。図面だけを眺めていても、分からぬ
last updateLast Updated : 2026-09-10
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第十七話 双胴鉄甲船

第十七話 双胴鉄甲船 日の本で織田信長に対抗できる勢力が次々と姿を消していく一方、九州では島津家がすでに全土の平定を成し遂げていた。 島津家は信長が中国地方や四国へ勢力を広げる動きを見ながら、残された時間は少ないと判断し、九州における勢力圏の拡大を急いだのである。九州統一を果たした後には、本州から織田軍が攻め込んでくる事態へ備え、関門海峡を押さえるため、門司と小倉に海城を築いた。 海へ突き出すように築かれた城には兵と武具が集められ、海峡を通過する船を監視するための物見櫓も設けられている。狭い関門海峡を渡ろうとする織田軍を陸と海の双方から迎え撃ち、本州側へ圧力をかける構えだった。 島津家も、ただ織田軍を恐れて守りを固めているわけではない。九州を統一した大名としての誇りがあり、信長が関白兼征夷大将軍に任じられたからといって、戦わずに臣下へ下るつもりはなかった。 その頃、安土城へ戻っていた信長のもとを、龍之介が訪れていた。 安土城の上層に設けられた一室には、西国から九州に至るまでを描いた大きな地図が広げられていた。中国地方と四国には織田家の支配を示す印が置かれ、九州だけが島津家の色に染められている。 信長は地図の前に座る龍之介へ、いつになく真剣な表情を向けた。「左大臣殿、いよいよ九州征伐を始める時が来ました。島津を降せば日の本は一つとなりますが、それだけに敗北はいっさい許されぬ戦となりましょう。一度でも大きく敗れれば、北条や奥州の大名たちは、織田も恐れるに足らぬと考え、再び野心を起こしかねません」「恭順したばかりの大名たちは、我らへ心から忠誠を誓ったわけではございませんからな。信長様の力と朝廷の権威を恐れ、今は頭を下げているだけの者も少なくないでしょう」「そのとおりです。ゆえに九州征伐では、勝つだけでは足りませぬ。織田家へ逆らうことが、いかに無益であるかを天下へ示すほどの勝利が必要となります。しかし、島津は関門海峡の向こうで待ち構えておる。大軍を無理に渡らせようとすれば、海上と岸辺の双方から攻撃を受けることになるでしょう。左大臣殿、海峡を渡るために何かよい案はございませんかな」 龍之介は地図上
last updateLast Updated : 2026-09-11
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第十八話 ハーレムルート解禁

第十八話 ハーレムルート解禁 龍之介は、織田信長の娘である歩美姫を妻に迎えて以来、夫婦として仲睦まじく暮らしていた。跡継ぎを望む気持ちもあり、二人で子宝に恵まれる日を待っていたものの、祝言から一年近くが過ぎても、歩美が身ごもったという知らせはなかった。 この時代、婚姻から一年ほど子ができないこと自体は、さほど珍しい話ではない。歩美もまだ若く、医師から身体に問題があると言われたわけでもなかったため、龍之介自身は、それほど焦る必要はないと考えていた。 しかし、正二位左大臣藤原朝臣三上龍之介正圀は、いまや公家の頂点に立つ人物の一人であり、近江八幡十万石を治める大名でもある。その家に跡継ぎがいないとなれば、本人たちだけの問題では済まなかった。 三上家と縁を結ぼうとする公家や大名からは、娘を側室として迎えてほしいという話が、毎日のように持ち込まれていた。美しく装った姫の絵姿や、家柄と教養を並べ立てた書状が屋敷へ届き、使者によっては返事をもらうまで帰ろうとしない者までいる。 龍之介は、歩美の心を傷つけたくないという思いから、それらの申し出をすべて断り続けていた。 ところが、義父である信長からも、三上家の存続を考えるなら側室を持つべきだと勧められた。自分の娘だけを大切にせよと言われるならともかく、その父親から許しを出されてしまえば、龍之介にも断り続ける理由がなくなってしまう。 悩んだ末、龍之介は側室を迎れることを決めた。 その話を聞きつけた恵梨香と深雪は、龍之介の自室へ勢いよく乗り込んできた。「うわっ、お兄ちゃん、本当に側室を迎えるの。歩美お姉様のような綺麗で優しい奥方がいるのに、まだ女の人を増やすつもりなの」「お兄様、私は失望いたしました。歩美お義姉様がお可哀想ではありませんか。あれほどお兄様を立て、この家のために尽くしてくださっているのに、子ができないというだけで別の女性を迎えるなんて、あまりに薄情でございます」 二人から左右に座られ、責めるような目を向けられた龍之介は、手にしていた書付を静かに置いた。「そなたたちは、誰からその話を聞いたのだ。まだ家中へ正式に申し渡したわけではない
last updateLast Updated : 2026-09-12
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第十九話 側室は黒ギャル 童顔姫 美男子

第十九話 側室は黒ギャル⁉ 童顔姫⁉ 美男子⁉ 帝から直々に勧められたこともあり、龍之介は摂関家の一つである近衛家から、側室を迎える運びとなった。 相手は美乃利姫という、近衛家の血を引く娘である。家柄だけを見れば、正二位左大臣である龍之介の側室として申し分ないどころか、これ以上を望むのは難しいほどの縁談だった。 しかし、龍之介は話を聞いた時から、少なからず不安を感じていた。「近衛家の姫となれば、いかにも公家らしい、気位の高い娘なのではあるまいか。朝から晩まで家柄や作法の話をされ、何かするたびに下品だと叱られるようでは、家に戻っても気が休まらぬぞ」 そんなことを考えている龍之介自身も、帝の血を引き、藤原朝臣を名乗る正二位左大臣である。誰よりも公家らしい立場にいる自分のことは、見事に棚へ上げていた。 美乃利を迎える日、嵐山の屋敷では、側室の輿入れとしては異例ともいえる祝言が執り行われた。 大勢の客を招いた華やかな宴ではなかったが、相手は摂関家である近衛家の娘である。何の儀礼も行わず屋敷へ迎え入れるわけにはいかなかったため、形ばかりとはいえ、三々九度の盃を交わすこととなった。 花嫁衣装に身を包んだ美乃利は、近衛家の者たちに付き添われて屋敷へ到着した。白を基調とした衣には淡い金糸で花が縫い取られ、歩くたびに裾の模様が光を受けて静かに揺れている。 祝言へ招かれたのは、三上家の側近と、龍之介が以前から付き合いを持つ数名の公家だけだった。 公家たちを招いたことには、近衛家への礼を尽くす以外にも意味がある。龍之介が織田信長との関係だけを重んじているのではなく、これからは左大臣として公家社会とも誠実に付き合い、朝廷を支えていくという意志を示すためだった。「左大臣殿が近衛家から姫を迎えられたことで、武家と公家の双方を結ぶ御立場が、いよいよ確かなものとなりましたな」「織田関白殿の娘を正妻に、近衛家の姫を側室に迎えるとなれば、三上家へ異を唱える者も減りましょう」 祝言の席では、そのような言葉が公家たちの間で交わされていた。 龍之介は盃を傾けながら、側室を一人迎える
last updateLast Updated : 2026-09-13
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