All Chapters of 俺の可愛い妹系ヒーラーが職場の鬼上司だってマジ!?: Chapter 1 - Chapter 10

10 Chapters

プロローグ

■自宅   〈サガ〉『敵は食い止めた!』 〈アイン〉『お兄ちゃん! 回復は任せて一気に行ってぇぇ!』 〈ユージン〉『おう! オレに任せろぉっ!』    岩でできた巨人——ゴーレム——を相手に3人のキャラクターと同じく3匹の動物や妖精が俺——近藤ユウ——の目の前のモニターで戦っていた。  巨大なゴーレムの腕をこれまた巨大な盾で防いでいる金髪ロングの騎士の横を通り抜けた赤髪の戦士が派手な片手剣を振るう。  魔法を武器にエンチャントして戦う勇者のユージンが俺の操作しているキャラだ。  物理攻撃があまりきかないゴーレムだが、勇者であれば魔法を武器に付与することでダメージが通るようになる。  派手な斬撃エフェクトと共にダメージがポップアップしていった。  連撃と共に派手な音共に激しいエフェクトが出る光景は何度見ても気持ちいい。    ——Vitctory—— システムの表示がでたところで、俺はパソコンから離れて伸びをした。  壁の上の方にかかっている時計が目に入る。  23時を過ぎたところだ。  俺は慌ててパソコンに戻り、チャットメッセージを入れていく。〈ユージン〉『やっべ! 明日から新しい職場だから落ちなきゃ! じゃあ、また夜に!』 〈アイン〉『お兄ちゃん! お仕事頑張ってね♪』 〈サガ〉『じゃあ、今日はここで解散だな』 俺は我先にとログアウトをして、パソコンテーブルの傍にあるベッドへとダイブする。  一番ハマっているゲームである【Familia of Eden(通称:FoE)】はファミリアと呼ばれる【使い魔】と一緒に冒険するファンタジーRPGだ。  パーティもファミリーと呼び、一緒に過ごす仲間たちとまさに家族のようになれるゲームで俺は楽しんでいる。  もちろん、ゲーム内での結婚システムもあり、俺もいずれは相手を見つけたいと思っていた。  だって、結婚したらステータス補正が上がるんだぜ? 最強を目指す俺にとってそれは避けては通れない道である。「派遣先が見つかってよかったぜ」 ベッドに寝転びながら、俺は天井を見てぼやく。  前の派遣先が雇止めになって1か月、何とか次の派遣先が見つかったのでモヤシ生活ともおさらばだ。  何より次の派遣先は【FoE】のCMとかも作っている広告会社である。  面接を受けて、ゲームへの熱意を
last updateLast Updated : 2026-08-25
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近藤は仲間を手に入れた!

■MUGENLABO 企画部「この1週間の日報を見させて貰った。君は資料整理だけしていればいい」 月曜から憂鬱になる一言が鬼上司の斎藤さんから言われた。 俺は反論しようにもできない自分が悔しい。「わかりました。やり方を教えてくださいませんか?」「資料室にいって、ここにある企画書をまとめてくれ。やり方は……沖田の手が空かないから……山南、お前が手伝ってくれ」「……了解です」 俺はあまり話したことのない巨漢の山南さんと共に資料室へと向かった。 無口というか無愛想というか、つかみどころのない人である。 野暮ったい髪に四角いフレームの眼鏡をかけていて、表情があまり読めない人だ。 チャットでも、あまり発言を見かけないのでなおさら会話に困った。 書類の束をもった男二人が、資料室へ向かう廊下を無言で歩く。 仕事で忙しくしている部屋の声を背に、オフィスの奥にある薄暗い資料室へとやってきた。 正直言って気まずい……。 「山南さん、よろしくお願いします!」「うん……よろしく。それで資料の整理の仕方だけど……」「は、はい!」 でかい図体に低い声、見下ろされていることもあってか俺は緊張してしまった。 生存本能がヤバイというのを訴えているようである。「あの……そんなに、僕……怖い、かな?」 目の前の巨漢がシュンとしょげたように見えた。 いや、見えるだけでなく本当になっている。「あ、いやそのっ、山南さん、タッパありますし声も低いから……熊みたいで」「熊って……僕は人間なんだけどなぁ」 ため息を漏らした山南さんは資料室の椅子に腰かけて、しょぼしょぼと話し始めた。「二人きりだから聞くんだけどね……近藤くんは結構慕われるタイプに見えるけど、どうしたら人と仲良くできるのなか? 特に、その沖田さんとか……とさ……」「へ? れ、恋愛相談です、か?」「ウン……そう。資料整理はこのくらいなら実際はかからないし、斎藤部長が近藤君にやらせたいことは過去の企画を見て勉強してほしいことだと思うから」 山南さんの言葉に俺は安堵の息を漏らす。 嫌われていたわけではなく、学ばせてくれるためにこの仕事を寄こしてくれたのだ。 先週はデザインソフトを触ってみたけど、上手くいかなかったり、電話の連絡を伝え忘れたりと失敗続きだったのである。 「でも、俺は失敗多かった
last updateLast Updated : 2026-08-27
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責任ある仕事

■MUGENLABO 翌日、早く寝たことで遅刻することなく出勤もした俺のそばに斎藤部長がやってくる。  昨日叱られたこともあったので、俺は緊張していた。(なんかやっちゃいました? ってラノベではよくある言葉だけど、実際につかうのは悪い意味でしかないんだよなぁ……)「近藤、これをやってみなさい」 「確認させていただき……ます」 俺が部長から受け取ったのは企画書コンペの案内だ。  それは俺が遊んでいるゲームFoEのプロモーション企画に関するものである。「ええ!? これ、俺がやっていいんですか!?」 「コンペといっても広く業界で募集されているものだ、A4用紙1枚で魅力を伝えるペライチなので近藤でもとっつきやすいだろう」 「部長ありがとうございます! 俺、がんばります!」 思わず、俺は部長の手を握ってブンブン振ってしまい、さすがに部長にひかれてしまっている。「ま、まぁ……やる気があるのはいいことだ。GWに行われるFoEのイベントへの企業招待券ももらっている。企画書を作る際の参考のため一緒に行くぞ」 「部長もゲームやられるんです、か?」 「誰かと違って仕事に影響でない程度にはな?」 「……うぐっ」 痛いところを突かれて俺は思わず声を漏らした。  ほんと、この部長には頭が上がらない。「とにかくだ。GW開けの金曜日には提出だ。会社での作業期間は1週間程度しかないからな。複数案を出すもよし、1つを突き詰めて考えるもよし。近藤のスタイルに合わせてやってみろ」 「わかりました! 斎藤部長、ありがとうございます!」 雑用ではなく、ちゃんとした仕事を渡されたので俺は気合いを入れて資料に目を通していった。〈沖田〉『近藤クン、やったね! 企画系の相談なら山南さんが詳しいよ。資料のまとめ方も上手だから、知識がすごいんだよ』 〈山南〉『沖田さんに言われるなんて……恐縮……です』 〈近藤〉『ありがとうございます! 早速なんですが……』 チャットでも沖田さんをはじめ、みんながフォローしてくれる。  俺は今の流れがとっても、オンラインゲームで作戦会議をしているような雰囲気で心地よかった。■自宅 その日はすぐに帰り、俺はパソコンを立ち上げた。  過去のFoEのプロモーション動画の確認とFoEを触ってみることをするためである。「そう、これも仕事! 
last updateLast Updated : 2026-08-27
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まさか……ね?

■FoEイベントステージ 関係者席に座りつつ、俺はイベントステージで行われるトークショーを見ながら、メモを取っていた。  山南さんからのアドバイスで、スグにメモを取る癖を付けるのが企画をやっていくには大事なことだそう。  自分自身が何を気になったのか後から俯瞰するために必要なものなのだ。「FoEの新シナリオNPCの声優さんもトークショーに参加か……こういうのもプロモーショの効果を高めるためにやっているんだろうなぁ」 名前は忘れたが、声を聞くと聞いたことのある鈴の音ような声がステージから響き、客席を盛り上げていく。  出演の経緯だったり、ゲームの体験だったりする話になったとき、俺は声優さんの言葉に耳を疑うことになった。「そういえば、|竜胆《りんどう》さんも声優をやるにあたってゲームを始められたとかで」 「はい、ただなかなか遊べなかったのでイベント前に一気にレベル上げしてもらうキャリー企画に参加したんですよ。有志の先輩ユーザーさんたちが盛り上げてくれているのはすごくいいコンテンツだと思います」 司会の人からの言葉に竜胆と呼ばれた女性声優は笑顔で答えていた。   (まさか……な?)「種族やジョブとかは聞いてもいいのかな?」 「普通に遊びたいので、外見はさすがにいえないですけど……ドラゴノイドの魔法使いです! 人気の組み合わせですし、火力が一番高く出せるので私は好きなんですよ」 「結構ガンガン行くタイプとのことですね。普段はおとなしいというか、上品なので意外な感じがいたします」 「ゲームでは結構アクティブなんですよ。高火力が正義なので楽しいですね。キャリーしていただいた先輩ユーザーさんも優しくて、今でも悩み相談をさせていただいています」 「オンラインゲームならではですね。交流の幅が広くて遊びやすく楽しいというのはゲームタイトル通り、一つの家族になれるということでしょうか?」 「そうですね。召喚獣もですが人間同士でもスマホアプリで緩い交流を通じて家族のようにつながっていければと思い開発しましたので制作者として嬉しい限りかな」 竜胆と呼ばれた声優さんの話
last updateLast Updated : 2026-08-28
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少しだけ変わった日常

■個室居酒屋「楽宴」 アインの正体が部長だという事実が発覚した後、俺はしばらく何の言葉も出なかった。  部長の方も顔が真っ赤になって固まっている。  飲みかけのビールの泡は消えているし、どうしたらいいかと分からない様子だ。「申し訳ございません、店内が混雑してきましたのでお会計をしていただいてもよろしいでしょうか?」 「あ、ああ……すまない。いくぞ……近藤」 「は、はい……」 ちょうどいいタイミングでお店の人が促してくれたので、俺達は席を立って店をでる。  無言先を進む部長についていくと、宮下公園にたどりついた。  自販機で水のペットボトルを買って、ベンチに二人して座る。  ここまで無言だ。「あの……部長?」 「すまない、少しだけ……もう少しだけ待ってくれないか?」 厳しい雰囲気をいつも放っている斎藤部長のこの焦った様子はなかなか見られない。  だから、黙ってペットボトルの水を飲みつつ部長が落ち着くのを待った。  もちろん、俺の方も部長がアインだと聞いて驚いてしょうがないが、なんかあまりにも現実感が無さ過ぎて考えがまとまっていない。「よし、大丈夫だ。まさか……近藤が、ユージンお兄ちゃんだったとは……」 「お兄ちゃん呼びは……実年齢も違うんで、勘弁してください」 「いや……ま、そうだな……近藤のままでいこう。ゲーム中は……まぁ、いいよ、な?」 不安げな上目使いで俺を見上げてくる部長の姿に、本当にいつもの部長なのか不安にすらなった。  酔っている俺が見ている夢という方が納得できる。「ええ、大丈夫です。リアルとゲームは別ですから……」 俺はそう答えると部長はえへへと笑った。  可愛い!  酔っているせいなのか、そんな風に見えてしまった。「その、アインは大学生といっていたから、部長とは思いませんでした」 「まぁ、あれはな……私の素性はゲームでは明かしたくなかったのもあるし、今の自分とは違う自分でいたかったんだ……」 ふと、遠くをみるような眼
last updateLast Updated : 2026-08-29
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コミックギャラクシーへ

■8月某日 東京国際展示場「なんだかんだあって、部長と仕事以外の話できなかった……ゲームも疲れてログインあまりできなかったしなぁ」 俺は賑わう人の波をかいくぐぐりながら待ち合わせ場所まで移動する。  朝早くからの集合ということもあって、現地集合だ。  二人きりで会うのがまたイベントというのが何とも言えない気持ちになる。「あ、斎藤部長! こっちです!」 「おはよう。近藤、朝早くからすまないな」 パンツルックのびしっとしたスーツ姿の部長の姿はいつもながらに凛々しい。  この部長がゲームでは癒し系ほわほわヒーラーのアインであることを知っているのは俺だけだ。「なんだ、ひとの顔をジロジロと……」 「いえ、なんでもありません! サークル参加なんて初めてなんで緊張しているんです!」 「まぁ、私も多いわけではないが……FoEの会社様からCMのお礼にと招待いただいたんだ。必要とあればお前は臨時スタッフとして手伝ってもらうぞ」 コミックギャラクシー……通称コミギャラは夏と冬に開かれる同人誌即売会で、最近では企業の参入も多い。  企業ブースでは限定商品が売られ、長蛇の列に並ぶも変えなかったことは多くあった。  その内側に入れるなんて、関連会社に入れてよかったと思う。「はい! むしろ、仕事があるほうが嬉しいです!」 「仕事仕事もいいが、ちゃんと休めよ……ゲームばかりで寝てないなんて困るから、な」 最後の方はぼそぼそといわれて聞き取れなかったが、メリハリつけろということは分かった。  俺は部長と共に一般参加者が列をなして並ぶ横を通って、サークル入場口へと進む。  サークル入場口も参加者が多いためか人込みになっていた。「部長、手をつなぎましょう! はぐれないために!」 「ひゃぁ! あ、ああ……そう、だな……」 部長の手を握り、俺が先に進みつつ人込みを謝りながらかき分ける。  そんな俺の手を握る部長の手は柔らかく、そして強く感じた。◇ ◇ ◇■コミギャラ企業ブース内 LYN
last updateLast Updated : 2026-08-30
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部長との食事

■MUGENLABO イベントも終わって、翌日から仕事になる。 お盆休みの最終日にだいたい開催されるのがコミギャラなのでしかたないが、今回ばかりはもっと遅くあってほしかった。「足が重い……」 ブースの部屋を開ける手がノブを握ったまま動かない。 斎藤部長の『お兄ちゃん』という言葉が重く感じていた。「近藤、入るなら入れ。そのままだとほかのメンバ―も困るぞ」 会社の福利厚生で買ってくれているコーヒーを入れた斎藤部長が俺の背中から声をかけてくる。 サガの『アインの方はユージンのことを気にしてなさそうだ。だから、お前も切り替えるべきだな。そもそもそういうスタンスだったんだろ?』という言葉がよみがえった。 深呼吸をしてからドアの中に入る。「近藤くんもおはよー。お土産だよー」「ありがとうございます」 ソラさんのいつも通りの明るさが俺にとってすごくありがたい。 手にしたお土産を見ると、半裸の褐色男が袋に描かれたチョコ菓子のようだ。 『マハラジャスティック』という名前で、なんというか……界隈のセンスを疑う商品である。「なんか、食べづらいお菓子ですね?」「え、なんで? なんでなのかなー? 何を考えたのかなー? ねーねー」 俺の周りをちょこまかと動きながらわかっててあおってくるソラさんをウザいと思う半分、気持ちが楽になるのも事実だ。「沖田も近藤も、朝のミーティングはじめるぞ」「「はい!」」◇ ◇ ◇——昼休み——「近藤、昼を一緒に済ますぞ。会議室をとって弁当も頼んでいる。打ち上げ時の報告も聞いておきたいので来るように」「は、はい……」  有無をいわさない鬼の斎藤ぶりを発揮させて俺は会議室へと向かう。 後ろからご愁傷様というような雰囲気を感じたのは気のせいではないようだ。「それで打ち上げはただ遊んでいたわけではないだろうな?」「はい、関係各社様やLYONEの方と名刺も交換しました」「その後のお礼メール等はだしているか?」 そういう風にいわれてから、俺は何もしてないことに気づく。 たしかに、名刺だけでは忘れてしまうが連絡を待つだけでなく先にメールを出せば返信の可能性もでてくる。 失念していたことに突っ込まれて、俺はますます気持ちが沈んだ。「まぁ、お前も今年入社したばかりだし営業に近い仕事は慣れていない。ちゃんと今日中にだして
last updateLast Updated : 2026-08-31
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プレゼントをキミに

■FoE内 深海監獄アクア・プリズン 第三階層 二階層目のボスも倒して進んで第三階層まできたが、だいぶ厳しくなってきた。 レベルとしては問題ないが、手数が足らない感じを〈ユージン〉は得ている。〈猫天使ぐるりゅえる〉『回復アイテムも乏しくなってきたのじゃ』〈ガルガンチュア〉『作れなくもないが、ギルドメンバーをここまでキャリーしつつ来てこの先に温存しておくのも手だな』〈ユージン〉『ボスがどれだけ強いかわからないが、ギルド単位で挑んだ方が安全なのは俺も思いました』 セーフエリアで一息ついていると、12時の知らせが届く。 時間的もここまでのようだ。〈アイン〉『今日は調べながら来ましたし、次は寄り道しないで直進すればもっと早いと思います』〈猫天使ぐりゅえる〉『アインは賢い子じゃのぅ。まさしくその通りなのじゃ。資料としてまとめる時間も別に欲しいしここまでじゃの』〈ユージン〉『社会人だらけだから時間単位で何となく切り上げられるのは助かります』 何せ今日は月曜日なのだから、無理はできない。 〈ガルガンチュア〉『では、テレボードを使ってかえるぞ』 テレボードは板状のアイテムで、乗ったメンバーをダンジョン外へと運んでくれる特殊アイテムだ。 複数人が乗れる上、何度でも使えて便利だが、かなり高いので持っている人は少ない。 そして、再びビーチに戻ったら、解散かと思ったらアインがユージンに声をかけてきた。〈アイン〉『お兄ちゃん、ちょっとだけお話してもいい?』〈ユージン〉『ああ、大丈夫だ』 時間も時間のためかビーチは夜空になっていて、ひともまばらになっている。 ビーチの隅に二人で座り、浮かぶ月を眺めた。 ゲームの中だというのにとってもきれいな光景である。〈アイン〉『ごめんね、私……気持ちがどうにも止められなくて迷惑かけているよね?』〈ユージン〉『いいさ、いろいろアインも過去にあっただろうし』〈アイン〉『ありがとう♪ 指輪は本当にうれしいから……結婚だってしてもいいからね? おやすみ♪』 最後の言葉はどっちの気持ちなのだろうか……経験の乏しいユージンにはわからなかった。■御茶ノ水駅近く 白鳥亭 アインと浜辺で語った週の土曜日、俺はナオのデートに付き合うこととなる。 待ち合わせ場所は長らく愛されている食堂が待ち合わせ場所だ。 朝からの出発で
last updateLast Updated : 2026-09-07
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頼れる先輩

■ユウのマンション 寝室 食事を終えた後、ナオに電話がかかってきて帰らなければいけなくなったということで駅まで見送り解散した。 今は寝室でベッドに寝ころびながら今日起きたことを振り返っている。 「ナオから告白されたかぁ……結論は言いそびれたけども、どうしたもんかなぁ。ネットの恋愛だって悩む俺にリアルの恋愛は無茶だぁ!」 気持ちがあれたのか、一人で叫んだ。 こういう時に頼れるのはあの人しかいない。 俺はFoEのメッセージアプリを立ち上げて、ガルさんに連絡をする。〈ガルガンチュア〉『メッセージでくるとはどうしたんだ?』〈ユージン〉『すみません、姪っ子から告白されて……年齢差もあるからどうしたものかと思って……』〈ガルガンチュア〉『なるほどなるほど、リア充ははじけるべきだな!』〈ユージン〉『ガルさんにだけは言われたくない……昔は一緒に遊んでいたけど、ちょっと疎遠になって……それから再会したら』 俺はガルさんに向けて事情を説明した。 具体的なところはぼかすが関係性についてはハッキリ伝えた。 こんなときに相談できる既婚者の男性がいるのは助かる。〈ガルガンチュア〉『明日、ユージンは暇だな? ぐりゅえるの店に来てくれ』〈ユージン〉『あー、そういえばギルドのメンバーは知っていた風の様子でしたね。場所はしらないですが』〈ガルガンチュア〉『詳しくはこちらに上げるので、夜の営業時間にでも来てくれ』 ガル山からの返信で俺はようやく心が落ち着いた。 それから、ゆっくりと目を閉じて夢の中へと降りていった。■都内某所 Cafe Cherub(カフェ・ケルブ) ケルプは最近都内に増えてきているボードゲームバーという形式の店で、天使の羽が生えた猫耳少女の看板が印象的な店だった。 ドアを開けばチリリンとベルがなり、薄暗い店内が見える。 おしゃれな空間にはかっこいいBGM……よくよく聞くと往年のレトロRPGのジャズアレンジだった。「こんばんわ。えっと初めてなんですが」「いらっしゃい、カウンターに座りなよ」 火はついていないが咥えタバコをしているワイルドな美女のマスターが俺を案内してくれる。 俺は静かな店内のカウンターに座って後ろに並んでいる酒の棚と高価そうなボードゲーム棚を交互に眺めていた。「ぐりゅさんは……まだですかね?」「何をいている。今、
last updateLast Updated : 2026-09-14
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不意の遭遇

■MUGENLABO 資料室「近藤くん、大丈夫かい? 体調悪いなら帰る?」「あ、山南さん、大丈夫……です、たぶん」 ゲームバーケルプで酒を飲み、ボードゲームで遊んだ翌日。 会社で仕事をしていた俺は気持ち割るさを感じていた。 二日酔いとは違って、妙な寒気すらある。 俺の顔を覗いてくる山南さんの顔が近いのか遠いのかすらわからなかった。「だめだよ! かなり症状が悪そうだ。まずは倉庫から出て。部長を呼んでくるから」 資料の片づけを山南さんとやっていた作業を中断し、俺はよろよろと外に出た。 エアコンがガンガンに効いていて冷たくなった壁が気持ちいい。 いや、気持ちいいと思うのほうがおかしいのかもしれない。 「近藤! 大丈夫か! 意識はあるか?」「ん……部長、大丈夫、です」「こういう状態の大丈夫は信用できないな。近くの病院につれていく、私が付き添いをするからあとのことは頼む」「了解しました」 部長が山南さんに引き継いでいたことを見たところから、俺の意識はなくなっていた。■ユウのマンション「近藤、大丈夫か?」「あ、はい……薬と休養のおかげで、だいぶ復帰しました」  タクシーで病院に運ばれ、横になって薬と点滴をしてもらったらかなり元に戻った。 診断は熱中症とのことだったが、狭い資料室での仕事が問題だったのかもしれない。 時間は16時、会社まで戻ったら定時になるくらいの時間だ。「もう時間も時間だ。家まで連れていくぞ」 タクシーの支払いを終えてともに外へ出た部長は一緒に階段を上って部屋の前まで連れていってくれる。 肩を貸されて動くのは正直言って恥ずかしいが、まだうまく歩けないので助かった。 鍵を使ってドアを開けて、一緒になかに入る。「ほら、段差があるから気を付けて」「すみません……」
last updateLast Updated : 2026-09-21
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