私は思い切り泣いた後、名前や個人情報を隠して、合格通知の画像をSNSに投稿した。ここから、私の新しい人生が始まるのだ。この街にいることが、急に耐えられなくなった。私は新しいカメラを買い、A国への飛行機の航空券を予約した。ここから先、4年間住むことになる場所。早めに準備を整えておきたかった。2日後、私は早起きをして、足取りも軽く階下の宅配ボックスへ届いたばかりのカメラを取りに向かった。朝早かったこともあってエントランスには誰もおらず、自分の荷物もすぐに見つかった。だが家に戻ると、思いがけない人物の姿があった。司が黒い車に寄りかかり、吸いかけのタバコを指に挟んでうつむいていた。何を考えているのかは分からない。ふと顔を上げた彼と目が合った。その虚ろだった視線が、私を捉えて固まる。司は大股で私に歩み寄ってきた。広い肩が少し力なく落ちている。「やっぱり、ここにいたんだな」私は一歩後退して距離を取り、眉をひそめた。「後をつけたの?」私の拒絶に傷ついたのか、彼は自嘲気味にこめかみを押さえた。「怖がらなくていい。尾行なんてするわけないだろ」私は冷ややかに警戒を解かず、ただ不快感を顔ににじませた。司は苦笑した。「お前のSNS、俺もフォローしてるんだ。覚えてるか?位置情報がオンになってたから、ここが分かったんだ」私はハッとして、すぐに自分の不注意を悔やんだ。いつの間にか私のアカウントをフォローしていたのだろう。まったく気づかなかった。「それで?居場所が分かったからって、何しに来たの?」「彩月……頼むから、そんなに冷たくしないでくれ」目の前の男は声を落として懇願した。その瞳の底には、痛ましいほどの哀しみの色が揺らめいている。「お前が本当に行ってしまうんだと気づいて、どうすればいいか分からなくなったんだ」このあたりは人通りも少なく、とても静かな場所だった。静けさが気に入って選んだ街だった。だが今は、ここから逃げ出す言い訳にするために、誰でもいいから人が通りかかってほしかった。司は頭を下げ、珍しくすがるように言った。「車の中で話せないか?」「話ならここでして、司。さもないと警察を呼ぶわ」彼は傷ついたような顔をし、言葉に突き刺されたように見えた。「お前は昔、そんなんじゃなかっ
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