All Chapters of 妻が娘を連れて昔の男と旅行に行った: Chapter 11 - Chapter 12

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第11章

悠真は慌ただしく駆け寄ってくると、美月をかばうように俺の前へ立った。そして険しい顔で睨みつけてくる。「航平さん、俺がいる限り、美月には指一本触れさせないぞ!言っておくけどさ、今まで美月に養ってもらってたくせに、結局離婚したくなくてしがみついてるだけだろ?同じ男なんだから、考えてることくらい分かるんだよ!」どうせまた俺を悪者にして、自分のいいところを見せたいだけだ。相手をする気にもならず、俺は片手を上げて悠真の言葉を遮った。「黙れ。くだらない話を聞いてる暇はない」そのまま立ち去ろうとした。ところが悠真はしつこく追いすがり、俺の腕をつかもうと手を伸ばしてきた。俺はすぐさま振り返り、その腹に拳を叩き込んだ。悠真は腹を押さえ、その場に崩れ落ちる。「まだやるなら相手してやるぞ」大勢の前で恥をかかされたのがよほど悔しかったのだろう。悠真が顔を歪め、立ち上がって殴りかかろうとした――その瞬間。乾いた音が響き渡った。美月が、悠真の頬を思い切り平手打ちしたのだ。突然のことに呆然とする悠真を、美月は憎々しげに睨みつけた。「消えて!あなた何様のつもり?航平に手を出したら、この街にいられなくしてやるから!」悠真はその場に立ち尽くしていた。今起きたことが信じられないらしい。「美月……俺を殴ったのか?航平さんのために?」以前、美月が悠真に向けていた優しい眼差しはもうどこにもなかった。代わりに、その目を満たしているのは怒りと恨みだった。「殴って何が悪いのよ!あなたさえいなければ、航平がここまで怒ることもなかった!私の家庭だって壊れなかったのに!全部あなたのせいよ!」悠真は呆けたような顔で口を開いた。「でも……美月、前は俺たち三人が家族みたいだって言ってたじゃないか。ひまりだって、俺のこと好きだっただろ?」その瞬間、ひまりはきっぱりと言い返した。以前、俺に向けていたのと同じような冷たい顔だった。「好きじゃない!悠真お兄ちゃんのせいで、ひまりはパパがいなくなったんだもん!もう大っ嫌い!悠真お兄ちゃんなんか、もう家族じゃない!」美月も冷たい表情のまま言い放つ。「聞こえたでしょ。早く消えて」悠真はしばらく黙っていたが、やがて自嘲するように笑った。「分かったよ。そうだな。全部、俺が余計なことをしたせいだ」
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第12章

美月は空を仰ぎながら、車にもたれかかっていた。着ている服は皺だらけだった。指には細い煙草が挟まれ、立ち昇る煙がその顔を覆っている。けれど、眉間に刻まれた憂いだけは隠しきれていなかった。しばらく会わないうちに、美月もひまりもずいぶん痩せていた。少し強い風が吹けば、そのまま倒れてしまいそうなほどだった。俺は気づかないふりをして、その横を通り過ぎようとした。「航平……やっと帰ってきたのね」美月が俺の前に回り込んだ。その声には、いくつもの感情が入り混じっていた。これ以上時間を無駄にする気はない。俺は単刀直入に聞いた。「何か用?」美月はかすかに口元を上げた。浮かんだ笑みは、ひどく苦しげだった。「私たち……本当に、もうやり直せないの?」俺は遠くへ目を向けたまま、淡々と答えた。「美月。俺たちはとっくに終わってる。もうやり直すことはない」目の前にいる女を、俺は十年間、命がけで愛してきた。けれど、すべてを手放した今、心にはもう何の波も立たなかった。あれほど好きだったことさえ、まるで遠い昔の出来事のように感じる。美月の目尻から、一筋の涙がこぼれ落ちた。唇をわずかに震わせながら、弱々しい声で言う。「ごめんなさい……この十年間、本当にひどいことをしたと思ってる。もう私には、あなたに愛してもらう資格なんてない。それも分かってる。でも……この先、あなたみたいに私を大切にしてくれる人なんて、きっともう現れない。私、本当にあなたがいないと駄目なの。航平、お願い……別れないで。もう一度だけ、やり直してくれない?」昔の俺なら、美月が目の前で泣いているだけで、胸が締めつけられていた。涙を流させたくなくて、どんなことでも許していただろう。でも今は、かわいそうだとすら思わなかった。むしろ、いつまでも縋られることにうんざりしていた。俺は小さく笑い、一歩下がって距離を取った。「無理だよ。俺はもう自分に嘘をつけない。もう終わりにしよう。これ以上憎み合う前に、きれいに別れればいい」そして俺は、ひまりへ視線を向けた。ここで何もかも、はっきり終わらせておきたかった。「離婚が成立したら、俺たちも親子としてはこれで終わりだ。その代わり、俺が歳を取っても、お前に面倒を見てもらおうとは思わない。将来、俺のことで負担を背負わせるつもり
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