どうして雅臣と金城麗華が、この場所に――。 その瞬間、不意に金城麗華がこちらへ顔を向ける。 そして、私を見つけると、勝ち誇ったように雅臣の腕へさらに身体を寄せた。艶やかな赤いルージュが光るその唇が、ゆっくりと弧を描き、私の心臓は大きく脈打った。「……彩羽?」 そんな金城麗華の仕草に気付いたのだろう。雅臣が振り返り、私の姿に気付いた途端、その目が大きく見開かれた。 驚いたように私を見つめたあと、その視線は私のドレス姿へと移った。雅臣の目が、頭の先から足の先までを見るように動く。そして、普段とは違う装いに、一瞬だけ言葉を失ったように見えた。「彩羽。どうしてここにいるんだ?」 雅臣が声をぐっと潜めるように低くし、問い掛けてくる。その響きには驚きと困惑が混ざっていた。 奏介くんは、誰かに呼ばれて先に会場の中に入ってしまった。簡単に雅臣に説明して、私も早く中に。 そう思い、手話を使おうと手を軽く上げたときだ。 私の『言葉』を遮るように、麗華が柔らかな笑みを浮かべながら一歩私に詰めた。「彩羽さん、ごめんなさいね」 細められる瞳。私は、その言葉の意図がすぐには分からず、自分の眉が少しだけ寄せた。「今日、雅臣は、大切なお客様とお会いする予定なの」 麗華は困ったように微笑む。「お相手の方だって、同席する女性がまともにお話できたかったら……お困りになるでしょう?」 申し訳なさそうな表情と声のトーン。「だから、私が少しだけ付き合っているだけなの」それなのに、私に向けられるその瞳だけは愉しそうで……。「少しだけお借りしているだけだから、そんな風に怖い顔なさらないで?」 麗華は私の両手を包み込むように取った。「だって今日、雅臣は大切なお仕事で来ているのよ? こういう場所で揉めてしまったら、雅臣も困ってしまうわ」 そう紡ぐ麗華の声のボリュームが少しだけ上がった。まるで、周りにわざと全てを聞かせるように。麗華の高い声はよく通る。そのせいで、周囲の視線が私たちに向けられ始めている。「そそんな大切なお仕事の日に、わざわざ追いかけていらっしゃるなんて……。奥様である彩羽さんのお気持ちも分かりますけれど……」 その言葉を聞きながら、私は静かに息を吐いた。「私はただ、声が出ない彩羽さんの代わりに雅臣の力になりたくて来ただけなのに……」 まるで、私が
Última actualización : 2026-09-15 Leer más