一閃。 目にも止まらぬ太刀筋が、1人の首を落とす。 また一閃。 息をつく間もなく、別な1人が膝から崩れ落ちた。 むせかえるほどの血の匂いが立ち込める戦場。血の海という表現そのままの場所に、彼は立っていた。 周囲には、おびただしい数の人だった肉が落ちている。 一閃。「肉」の数が増えた。 彼の姿は、もはや人間のそれではなかった。 髪の毛、肌、革鎧、そして手にした長剣。全てが真紅の返り血で染まり、元がどんな色だったのか、もはや判別もできない。 彼が視線を巡らす。次に「肉」となる相手は何処かと。 その瞳に感情はない。目にした敵を「肉」にする。それだけのために動く、無慈悲な虫のような、虚無の瞳。「ば、化け物...」 誰かが、手にした武器を落とした。 呻き声を上げて後ずさる者。背を向けようとする者。そして、我先にと逃げ出す者。 戦意を無くした者たちが続々と現れる。 しかし、敵は「肉」になるまで敵なのだ。 一閃。さらに一閃。 彼は背を向け駆け出した者たちにも、一切の容赦なく剣を振るった。やはり、その表情に変化はない。「紅《あか》の剣鬼」 その異名の通り紅《あか》に染まった姿で、彼はひたすら「肉」の数を増やしていった。 ──そこで、ハミルは目を覚ました。
Last Updated : 2026-08-28 Read more