佐久都は正気を失ったまま、絵里を閉じ込める一方で、一条家の事業へ圧力をかけ始めた。一条グループは業界全体の不振を受け、もともと資金繰りが悪化していた。以前、絵里と隆之が久我グループとの提携を取りつけたことで、どうにか持ち直したにすぎない。ほかの企業も久我グループに配慮し、一条グループへの攻勢を控えていた。ところが今度は久我グループ自らが出資を引き揚げた。風向きが変わったと見るや、各社は一斉に一条グループへ牙をむいた。ほどなくして、経営は深刻な危機に陥った。隆之は何度も絵里へ電話をかけたが、一度も応答はなかった。怒りに任せ、スマホを壁へ投げつけた。絵里は、全身を走る痛みで目を覚ました。怯えながら周囲を見回し、佐久都がいないことを確かめて、ようやく息をついた。佐久都は絵里をここへ閉じ込め、毎日、朱莉への謝罪を口にさせ、亡くなった子どもへ償うよう強要した。少しでも従わなければ、容赦なく暴力を振るった。近くに置き忘れられた朱莉の写真を見つけ、絵里の目が憎しみで満ちた。「水瀬朱莉、全部あなたのせいよ!私がこんな目に遭うのも、あなたがいたから!」明るく笑う写真を手に取り、近くにあった石で顔を激しく傷つけた。「絶対に殺してやる!久我佐久都も水瀬朱莉も、二人とも死ねばいい!」声を聞きつけ、見張り役が近づいてきた。「おとなしくしていろ」手にした警棒を見て、絵里は従順なふりをした。その後、佐久都が再びやって来て帰ったあと、落とされた鍵を見つけ、笑みを浮かべた。「水瀬朱莉、絶対に許さない」夜になり、見張りの注意が緩んだ隙を突いて逃げ出した。ようやくスマホを手に入れると、すぐに隆之から電話がかかってきた。「佐久都と何があった?久我グループが先頭に立って一条グループを追い詰めている。このままでは破産だ。それでも攻撃をやめようとしない」電話の向こうから強い風の音が聞こえ、絵里は胸騒ぎを覚えた。「お父さん、早まらないで。私が佐久都に頼むから」隆之は会社の屋上に立っていた。眼下には補償を求める社員が集まり、背後には債権者が迫っている。スマホには、税務調査を知らせる通知まで届いていた。「絵里。すまなかった」隆之はそう言うと、スマホを放り出し、屋上から身を投げた。絵里が必死に呼び
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