非常に不義理で、狡いことをしている。 自分に好意を持っている青年に同居を持ち掛け、且つ彼が自分の為に就職先を決めたことを知りながら、いつも通り振舞っている。最低だ。完全無欠な青年が俺なんかを好きということ自体、まずおかしいのだけど。一番まずいのは、なあなあにして逃げている俺自身だろう。多分、不安なんだ。息が苦しくなる一番の原因は、俺は彼に何も返せない。……どころか、むしろ負荷をかける存在するだと確信してしまっているから。嬉しいけど、それと同等の錘に押し潰されそうになる。一緒にいちゃいけない。雨の日に動けない俺なんかが……。「戸波さん、こんにちは♪」「あ。お疲れ様です、三澄さん」二週間ぶりのヘルプ日、品出しをしていると笑顔の三澄さんが現れた。必要な資料を受け取り、店長を呼ぶ為裏へ行こうとしたが、「今日は戸波さんが出勤してると聞いて、急いで伺ったんですよ」「え。ええと、どちらから……?」「戸波紫信さんです。紫信さんの甥っ子さんだったんですね」うっ……!ここで働いてる人にはバレて当然だけど、外部の人に知られると改めて申し訳なくなる。封筒を胸の前に持ち、苦笑しながら頷いた。「はい。実は俺、持病がありまして……。以前の仕事を辞めた時に、ここを紹介していただいたんです」「良いじゃありませんか。でも戸波さんが二人いることになるので……俺も、宙さんとお呼びしてもいいですか?」幸い、仕事に関する話題はスライドされた。わざとなのかもしれないけど、有り難く受け取る。「えぇ、もちろん」「それは嬉しい。宙さんには滅多にお会いできないので、会えた時は良いことが起きる、っていいきかせてるんです」「ふえぇ……」なんて乙女思考だ。透夜並に毎日輝いてそう。やっぱり生きる世界が違うよな、とビビりつつ、「俺なんかに福があると良いんですけど」、と返した。「三澄さん、いつもバイトの子ともお話されてるんですか?」「はい。売れ筋は記録を見れば分かりますけど、まだ出回ってない希望の品は現場の方の声を聞くのが一番なので」彼は黒のブリーフケースを脇に寄せ、並べられた石を覗き込んだ。「宙さんも、お客様のこんなものがあれば良いのに、って声があったら教えてくださいね」「は、はい!」運営に回る者としても、日々流行やトレンドには敏感でいないといけない。受動的な姿勢など有り
Última actualización : 2026-09-20 Leer más