All Chapters of 巫女は恋をしてはいけないー三姉妹の巫女の禁断の恋ー: Chapter 11

11 Chapters

第十二話 旦那様、顔を見せてください

『今度こそ、ちゃんと顔を見て言うから』雷鳴とともに、鳴雷の声が消えた。「……え?」ことねぇは夕焼けの空を見上げた。「ちょっと待って。何を言うの?」返事はない。「雷様?」沈黙。「そこ一番大事なところ!」ことねぇが叫ぶ。ことのが隣で首を傾げた。「告白じゃない?」「こ、告白?!」「愛してるって、もう言ってたけど」「それは三人まとめてだったじゃん!」イズミが困ったように笑う。「まとめて、ではなかったと思うけれど」「じゃあ何?! プロポーズ?!」「もう結婚してるらしいよ」「そうだった!」ことねぇは頭を抱えた。恋愛の順番がおかしい。顔も知らない。名前も知らない。付き合った記憶もない。なのに結婚している。「乙女心を完全に置いていってる!」「何の話?」ことのの冷静な声が刺さる。そのとき。ドン――。再び山が揺れた。三本の光。青。金。赤。それらは夕空を貫き、やがて一つの円を描き始めた。祖母が本殿へ走る。「三人とも、中へ!」「おばあちゃん、あれ何?!」「神域と人の世を隔てる門です!」ことねぇの足が止まった。「……門?」イズミが息を呑む。「では、向こう側には……」祖母は答えなかった。答える必要もなかった。水の音。雷鳴。そして、炎が爆ぜる音。三姉妹には分かった。――いる。あの向こうに。自分たちを知っている三人が。「高龗様……」イズミが呟く。ことのも胸元に手を当てた。「火の人……」ことねぇは空を睨んだ。「雷様!」ドォン!「返事くらいしなさいよ!」バリバリバリッ!「雷で返事すんな!」ことのがぼそりと言った。「会話成立してる」「してない!」祖母が本殿の扉を開いた。三人が中へ入る。神前には、古い神楽鈴が置かれていた。誰も触れていない。それなのに。ちりん。鈴が鳴る。青い光。ちりん。金色の光。ちりん。赤い光。三度目の音が響いた瞬間。神前の空間が歪んだ。「……何?」ことねぇがイズミの袖を掴む。歪みの向こうに、別の景色が現れた。どこまでも広がる水面。雷雲に包まれた金色の空。赤い花が咲き乱れる庭。三つの景色が重なっている。そして。そこに。人影があった。三人。「……嘘」イズミが震える。最初に姿を現したのは、水の中に立つ男だっ
last updateLast Updated : 2026-09-30
Read more
PREV
12
SCAN CODE TO READ ON APP
DMCA.com Protection Status