俺は自分を痛めつけるかのように、そのままコメント欄を読み続けた。親友の森川拓海(もりかわ たくみ)だけではない。ほかにも、俺と美雪の共通の友人が大勢、二人に祝福の言葉を送っていた。【悠真は私が今まで会った中で一番いい男なんだから、もし泣かせたりしたら、親友の私が真っ先に許さないからね!】美雪の一番の親友だ。つい先週俺に会ったときも、「冬弥さん」と親しげに呼んでいた女だ。【一番愛してる人と結婚できるなんて、美雪、本当によかったな!今夜はみんなで朝まで飲み明かそうぜ!】こいつは大学時代、俺と同じ部屋で暮らしていたルームメイトだった。【集まるのはいいけど、姉ちゃんと悠真さんの幸せのためにも、みんなちゃんと口裏を合わせといてよ。絶対に「あの人」にバレないようにね】美雪の弟だ。数年前、商売を始めるために金が必要だと俺から160万円を借りたことがあり、そのときは「俺が義兄さんって呼ぶのは、一生冬弥さんだけだ」とまで言っていた。【任せとけって!王子様とお姫様の幸せのために、悪いドラゴンには絶対バレないようにするから!】これは美雪の会社に入ったばかりの若いアシスタントだった。要領が悪く、何度もクビになりかけていたのを、俺が口添えし、仕事のやり方まで一つひとつ教えてやったからこそ、どうにか試用期間を乗り切れたのだ。俺は意地でも泣くまいと顔を上げ、こぼれそうになる涙を必死に堪えた。美雪が8年も別の男と付き合っていたことを、みんな知っていた。それなのに、誰一人として俺には教えなかった。彼らが隠れて交わす会話の中の「あの人」とは俺のことだった。王子様とお姫様の幸せを邪魔する悪いドラゴンも俺。俺はただの笑いものだったのだ。画面を更新すると、美雪の投稿は消えていた。その直後、スマホの着信音が鳴った。丸一日連絡がつかなかった美雪からだった。「ごめんね、冬弥。今日、会社のシステムで大きな不具合が起きちゃって、ずっと対応に追われてたの。今までスマホを見る暇もなくて。最近仕事も忙しいし、入籍のことは……ひとまず延期にしない?そういえば今日、SNSで何か面白い投稿とか見なかった?」その声には緊張が滲み、見え透いた探りを入れているのが、ありありと分かった。俺は必死に平静を装って答えた。「今日は電話してもつながらなかったし、
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