All Chapters of 私を見捨てた男は、仮面をつけてもう一度愛を取り戻す: Chapter 21 - Chapter 22

22 Chapters

第21話

年の瀬の羅生街に満ちる喧騒と生活の熱気は、街の端にある児童養護施設まで届いていた。真白と迅が着いた時、子どもたちはちょうど新年の贈り物を受け取ったところだった。真新しい服や本やおもちゃが、床いっぱいに積まれている。子どもたちは真白を見るなり歓声を上げ、いっせいに駆け寄った。「真白お姉ちゃん!」小さな女の子が真白の脚にぎゅっと抱きつき、顔を上げて言った。「真白お姉ちゃん、ずっと来なかったから、寂しかったよ!」真白の心はふっと和らいだ。彼女はしゃがみ込み、女の子の髪を撫でる。「これからは、お姉ちゃん、よく来るからね」少し年上の男の子が迅を見て、笑いながら秘密をばらした。「迅お兄ちゃんはよく来るよ!でも一人で来る時は、いつも笑わないんだ。あそこの古い回廊の軒下に座って、ぼんやりしてるの」男の子は遠くの古い廊下を指差した。「一度なんて、あそこで座って泣いてたんだよ!」迅は耳まで赤くし、気まずそうに咳払いをした。「たまに様子を見に来ていただけだ」真白は顔を上げ、迅を見た。冬の柔らかな日差しが彼の上に落ち、少し痩せた、それでも変わらずまっすぐな輪郭を浮かび上がらせている。彼女のいない年月を、彼が一人で過ごしてきたことを思う。胸の奥が、何かにそっとぶつけられたように揺れた。「迅さん」施設の院長が笑顔で手招きした。「ちょうどいいところに来たね。高いところにイルミネーションを掛けられなくて困っていたんだ。手伝ってくれないかい?」迅は返事をして歩み寄り、色とりどりの小さな電球が連なった飾りを受け取った。古い椅子を運んでその上に乗ると、子どもたちがすぐに下を取り囲み、口々に指示を飛ばした。「もう少し左!」「あーあ、そっち曲がってるよ!」迅はこうした細かな作業がどうにも苦手らしく、動きは少しぎこちなかった。それでも時折下を向き、子どもたちに返事をしている。真白は光の輪の中に立ち、静かに彼を見つめていた。子どもたちに囲まれている彼を。額に薄く汗を浮かべている彼を。時折こちらへ向けられる彼の視線を。かつて羅生街の血だまりの中で鋭い目をしていた少年も。蒼海湾の頂点で猛威を振るっていたあの獅堂迅も。今は小さなイルミネーションを掛けるだけのために、子どもたちに笑われ、どうしていいか
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第22話

獅堂茉白(しどう ましろ) 番外編茉白が初めて本当にこの世界を「見た」のは、よく晴れた午後のことだった。湊都の春の終わり。空気にはモクレンの香りが漂っていた。彼女は白金邸の主寝室に置かれた、体が沈み込むほど柔らかなベビーベッドの中で、ゆっくりと目を開けた。最初はぼんやりした光だった視界が、少しずつ鮮明になっていく。目に入ったのは、赤ん坊が見るようなキャラクターの飾りではなく、輪郭のはっきりした顔だった。迅は息を詰め、娘の瞳が忙しなく動き、最後には自分の顔の上でぴたりと止まるのを見つめていた。真白によく似た瞳だった。そしてその小さな口元が、ほんのわずかに持ち上がった。まだ歯のない笑みだった。その瞬間、迅は心臓を何かに激しく叩かれたように感じた。胸の奥が甘く痺れ、どうにかなってしまいそうだった。彼はおそるおそる指を一本伸ばし、娘の手に触れた。触れたかどうかも分からないほど、そっと。小さな指はすぐに折れ曲がり、迅の指先を包み込んだ。かつて蒼海湾を支配した男は、娘の小さな無意識の仕草一つで、完全に心を奪われた。茉白の成長は、「普通」という言葉とは無縁のものになる運命にあった。彼女のベビーカーは、帝都にいる大叔父の祥哉が人を遣って届けさせたものだった。黒崎家御用達の職人が手作業で仕上げた品で、木材には樹齢百年の紫檀を使い、複雑でひそやかな瑞雲模様まで彫り込まれていた。邪気を払い、心を落ち着かせるという触れ込みだった。公園へ日光浴に連れていくたび、周囲の人々は横目で彼女を見て、どこの名家のお嬢様なのだろうと噂した。言葉を覚える時期に耳にした言葉の環境も、複雑きわまりなかった。真白は娘を抱き、湊都の地図を指差しながら、柔らかくも確かな声で教えた。「ここが葵区。ここが蒼海湾。私たちが手に入れた場所よ」その言葉の端々には、女王の静かな威圧感がにじんでいた。迅は茉白が積み木で遊んでいるそばで、父娘にしか聞こえない声で、最も簡単な「均衡」と「構造」を説明した。縄張りと勢力の釣り合いを、そこに重ねているのだ。もっとも、娘に童話を聞かせようとするたび、話はいつの間にか、「この小人たちは配置に問題がある。調整が必要だ」とか、「お姫様、その剣の握り方は違う」といった内容へそれてしまった。帝都にいる祥哉は、少な
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