飛行機が着陸するなり、礼司は荷物を置く暇すら惜しんで秘書に電話をかけた。苛立ちを隠そうともせず、開口一番問い詰める。「美羽は?見つかったのか?」電話の向こうで、秘書が言葉を濁した。「社長、それが……まだ美羽さんとは連絡が取れていません……」「役立たずが!」予想外の答えに、礼司はぴたりと足を止めた。「玲奈の飲酒運転の件が、どれだけ切羽詰まってるか分かってるのか?早く美羽を見つけて身代わりにしないと、玲奈が刑務所に入ることになるんだぞ!お前たちは、黙ってあいつを見殺しにするつもりか!」電話の向こうから、途切れ途切れに何かが聞こえてきた。どうせ、意味のない謝罪でも並べているのだろう。礼司は苛立たしげに吐き捨てた。「もういい!お前たちには任せてられない。俺が直接行く!」一方的に電話を切ると、そのまま車に乗り込み、かつて私と礼司が暮らしていた家へ向かった。私は宙に漂いながら、慌ただしくエレベーターへ乗り込む礼司を眺めていた。その手には、すでに捏造された証拠が何枚も握られている。冷たい顔には焦りがありありと浮かび、まるで自分だけが世界中から理不尽な目に遭わされているかのようだった。礼司がここまで必死になるのは、玲奈のことだけなんだろうな。「美羽!いるんだろ、出てこい!」礼司は玄関のドアを乱暴に蹴り開けた。だが中はがらんとしていた。積もった埃すら、誰にも掃除されていない。礼司は忌々しげに辺りを見回すと、一部屋ずつしらみつぶしに探していった。当然どこにも私の姿はない。「隠れてるつもりか?いつまで逃げられるか見ものだな!」あまりの騒ぎに、隣に住む佐藤さんが顔を出した。「ちょっと、誰を探してるの?」礼司はぎろりと睨むと、威圧的な態度で詰め寄った。「美羽がどこにいるか知ってますよね?今すぐ出てくるように言ってください」佐藤さんは眉をひそめた。「深沢美羽さん?あの子なら、とっくに亡くなってるよ」「死んだ?」礼司は鼻で笑った。「よくそんな嘘が思いつきますね。俺から逃げたいからって、死んだことにするつもりですか?」佐藤さんはため息をついた。「嘘じゃないよ。五年前に亡くなったんだ。前の事件の被害者遺族が判決に納得できなかったらしくてね。出所したその日にさらわれて、三日三晩痛
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