All Chapters of 声を失った少女を助けたら、冷徹CEOの契約妻になりました ~一年だけの偽装結婚なのに「君とこの子を、もう二度と手放さない: Chapter 11 - Chapter 12

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第11話 冷徹CEOが、私の狭い部屋にいる

第11話 冷徹CEOが、私の狭い部屋にいる 翌日の仕事を終えた結衣が自宅マンションへ戻ったのは、午後九時を少し回った頃だった。 昨夜はエマのことが気になってなかなか寝つけず、朝から続いた通訳の仕事も忙しかったせいで、さすがに体が重い。エレベーターの鏡に映った自分の顔を見れば、化粧は崩れ、髪も朝よりずいぶん乱れている。「今日はもう、お風呂入って寝よう……」 夕食はコンビニで買ったおにぎりとスープでいい。 洗濯物は明日。 部屋も多少散らかっているが、誰かが来るわけでもない。 そう思いながら自分の階でエレベーターを降りた結衣は、廊下の奥を見て足を止めた。 自宅のドアの前に、男が立っている。 黒いコート。 長身。 このマンションには似合わないほど隙のない姿。「……何してるんですか」 九条玲司だった。 彼は壁にもたれることさえせず、まるで高級ホテルのロビーで人を待っているかのように真っ直ぐ立っていた。「遅かったな」「仕事ですから。それより、どうしてここにいるんです?」「待っていた」「それは見れば分かります」 結衣はため息をつきながら近づいた。「連絡くらいしてくださいよ」「した」「え?」 スマートフォンを確認する。 着信が三件。 メッセージも一件。『仕事が終わったら連絡してくれ。』「本当だ」「見ていなかったのか」「仕事中は触れないことがあるんです」「二時間以上待った」 結衣は思
last updateLast Updated : 2026-09-12
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第12話 あなたの隣にいる理由

第12話 あなたの隣にいる理由 結衣の部屋に流れた妙な沈黙を最初に破ったのは、悠真だった。「とりあえず、これ。おばさんから」 彼は手に持っていた紙袋を持ち上げた。中から大根の葉が少しだけ覗いている。「野菜?」「大根、ほうれん草、じゃがいも。それから煮物。『結衣はどうせろくなもの食べてないから』だってさ」「母さん、私を何だと思ってるんだろう」「冷蔵庫に調味料しか入ってない女」「失礼な。卵もある」「賞味期限は?」「……昨日」「ほらな」 悠真が呆れたように笑う。 いつもどおりのやり取りだった。 なのに玲司がいるだけで、結衣には妙に落ち着かなかった。「入る?」 結衣が聞くと、悠真は玲司を見た。「いいのか?」「何が?」「いや、俺が聞くのも変だけど」「だから何なの」「相変わらずだなあ、お前」 悠真は苦笑しながら靴を脱いだ。 玄関だけで立ち話を続けるわけにもいかず、三人でリビングへ戻る。 ただでさえ広くない部屋だ。 背の高い男が二人いると、急に圧迫感が増した。「狭いな」 悠真が言った。「ほら!」 結衣は玲司を指さした。「九条さんだけじゃないでしょう!」「俺は最初から事実だと言った」「二人とも帰ってください」「野菜届けに来た俺まで?」「狭いって言う人はいりません」 悠真は笑いながら紙袋をキッチンへ置いた。
last updateLast Updated : 2026-09-13
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