画面に映っていたのは、悠真が莉子をスーツケースに閉じ込めた、あの日の映像だった。小さな莉子が無理やり中へ押し込まれ、ふたが閉まった直後から、怯えきった声で必死に助けを求めていた。「パパ、ごめんなさい!もうしないから、出して!怖いよ……死にたくない!誰か助けて!ママ!助けて!ママ、来て……!」その声を聞くうちに胸が締めつけられ、悠真は大きく息を吸った。あの日の自分は、少し怖い思いをさせれば反省する、その程度にしか考えていなかった。莉子がこれほど怯え、助けを求めていたことさえ知らなかった。けれど、その結果、莉子は死に、音羽との結婚も終わった。それでも悠真は、音羽が大げさに騒いでいるだけだと思い込み、娘を失った母親の怒りも絶望も理解しないまま、音羽と莉子を責めていた。悠真の表情に後悔が滲むのを見て、千鶴はため息をつき、二人の離婚成立を証明する書類を差し出した。「離婚はもう成立してるよ。私も音羽ちゃんを引き止めたけど、あんたがしてきたことを思えば、もう元には戻れない。私たち黒瀬家は、あの母子に取り返しのつかないことをしたんだよ。これからは、誰が本当に自分を大切にしてくれているのか、ちゃんと見なさい。もう二度と、そういう人を傷つけるんじゃないよ」そう言って立ち去ろうとする千鶴を、悠真は呼び止めた。「おばあさま。音羽は今、どこにいるんですか?」悠真の声に、千鶴は足を止めた。「悠真、あなた……」「音羽とやり直したい」真相を知ってからの1か月、雪乃への失望が深まるほど、悠真の中では反対に音羽の存在が大きくなっていった。夜になると決まって思い出すのは、まだ音羽と穏やかに過ごしていた頃のことだった。最初に音羽を生徒会へ誘ったのは、雪乃にどこか似ていたからだった。けれど、一緒に過ごすうちに気づいた。明るく芯が強く、理不尽なことには決して引かない。それでいて優しく、誰に対しても礼儀を忘れなかった。いじめられている生徒を見れば、自分も怖いはずなのにかばい、野良猫や野良犬のために引き取り手まで探していた。好きな相手に対してさえ必要以上に踏み込まず、自分なりの距離を守っていた。結婚してからも、悠真がどれほど冷たくしても、その優しさは変わらなかった。忙しくて食事を取れない日には毎日のように昼食を作って会社へ届け、千鶴と口論になれば
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