そのとき、スマホが鳴った。ひまりの法律事務所の部下からだ。俺はスピーカーに切り替えた。「叶太さん、犯人について新しい手がかりが見つかりました。10日後、犯人はある地下闘技場で取引するそうです。本当に危険です。叶太さん、絶対に行かないでください!」通話を切ると、俺はその場にいる全員を見渡した。胸にぽっかりと穴が空いたように感じた。ゆっくりとその場にしゃがみ込み、だぶついたズボンの裾と袖口をまくり上げた。現れたのは、全身に残る無数の傷跡だ。足首には、肌がボロボロに焼けただれた跡がある。船の上で犯人を追っていたとき、覆面の男に、赤く焼けた鉄のかたまりを押しつけられてできたものだ。その手がかりを教えてくれたのは、俺の一番の親友、滝井和也(たきい かずや)だった。家を買うためにギャンブルで多額の借金を抱えていた和也を、俺は借金ごと肩代わりし、まともな仕事まで見つけてやった。背中一面に残る黒紫色の棒で殴られた痕。ギャンブル場で犯人を追っていたとき、ヤクザに捕まり、まる一日にわたって殴られ続けて残った傷だ。この手がかりをくれたのは、ひまりの親友だった。その母親が癌になったとき、俺は160万円を渡した。それだけ恩を売ったのだから、向こうは俺に借りがあるはずだった。下腹には、深く刻み込まれた刀傷がある。廃墟になった屠畜場までたどり着いたとき、犯人の一人にナイフで腹を刺された。傷は深く、運よく持っていた薬で血を止められたが、それがなければあの場で死んでいた。その手がかりをくれたのは、俺が12年間世話をしてきた後輩だった。そして今、その一人一人が、ここにいる。本当に聞きたかった。ひまりも想太も生きていること、そして犯人が偽物だと知っていたのに、どうして俺に、命を奪われてもおかしくないような手がかりを渡したのだろう、と。新しい傷と古い傷が幾重にも重なる俺の体を見つめても、みんなの目には、俺が想像していたような罪悪感はない。そこにあるのは、むしろ――当然のことだと言わんばかりの落ち着きだ。しばらく沈黙したあと、ひまりが人垣をかき分け、ゆっくりと俺のもとへ歩いてきた。そして、俺の体に残る傷跡をそっと撫で、困ったように息をついた。「叶太は昔から抜け目がないもの。私たちが偽の手がかりを使って
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